業務の属人化を解消、物流DXシステム導入の当日から100%ペーパーレスを実現。業務時間が約51%も削減したことで効率的な配車手配のための時間を確保できるようになった。
1944年の創業以来、総合物流企業として「物流」の領域を超えた付加価値の高い3PLサービスを展開している日本ロジテム株式会社。長年培った物流のオペレーションシステムやノウハウをもとに、お客様ごとに最適な物流システムを構築・運営しています。近年は、アジア地域を軸としたグローバルネットワークを活用し、お客様の幅広い物流ニーズに柔軟に対応しているそうです。しかし現場では、膨大な配車業務を紙の出荷依頼書をもとに遂行しているという非効率さと、配車計画を担当者しか把握しておらず、最適な配車を行える人が限られるという属人化が課題になっていました。そこで導入したのがハコベルの物流DXシステム(「ハコベル配車計画」・「ハコベル配車管理」)。導入したその日から100%ペーパーレスを実現した今、どのようなことに取り組んでいきたいと思っているのかを、システムの導入を決めた高橋秀樹さんと現場でシステムを利用している阿部祥尭さんにお聞きしました。
ハコベルを選んだ理由
1) 配車業務におけるペーパーレス化を実現したい
2) 配車状況を見える化し、業務の属人化から脱却したい
3) 日々の業務をデータ化することで、CO2排出量削減や積載効率の向上を目指したい
――貴社は2023年6月にハコベルの自動配車システム(「ハコベル配車計画」)を導入しました。導入前はどのような課題を抱えていたのでしょうか?
高橋 秀樹(以下、高橋):当社では、車両の配車業務において出荷依頼書を紙で管理していました。毎日数百枚の紙を利用するのに、配車が終わればすぐに廃棄するというもったいないことを日々くり返していたのです。加えて、その配車業務は、1人が1社を担当していて、何かあったときには、その担当者に聞かないと状況が分からない状態でした。
と言っても、これらの課題は現場から上がってきたり不満の声として届いたりしたわけではありません。もともと現場出身で、営業所で車両の配車管理や所長業務をしていた私が、今のDX推進課に異動して一歩引いた視点から現場を見ることで気づいたものです。そこで、まずは自分が担当していた業務を行っている坂戸営業所から課題解決に取り組んでみることにしました。
業務部 副部長 兼 DX推進課長 高橋 秀樹さん
阿部 祥尭(以下、阿部):正直、現場にいる身としては入社したときから紙を使って配車手配していたので、これが当たり前だと思っていて不満につながらなかったんですよね。ただ毎日廃棄される大量の紙を見て、もったいないなとは思っていました。
――同様のサービスを他社でも提供していると思いますが、なぜハコベルの自動配車システムを選んだのですか?
高橋 :私が求めているものと、一番マッチングしそうだと思ったからです。他社のサービスは、ある程度パッケージが決まっていて、そこに自分たちのサービスを当てはめていくものでした。これだとペーパーレスにつなげるのは難しいな、と。当社のWMSとも連携できるハコベルの自動配車システムなら、ペーパーレス以上の課題解決ができると考えました。
――実際の現場ではどのように利用しているのですか?
阿部 :まず荷主から出荷指示をメールで受け取ると、WMSを通してハコベルの自動配車システム「ハコベル配車計画」にその内容を取り込みます。するとシステムが自動計算して配車してくれるので、それを元にスタッフが多少の手直しをして配車内容を確定。そして、その情報をもう一つの物流DXシステム「ハコベル配車管理」に組み込み実際に配車、という流れです。荷主からは同様の出荷指示が1日6回届くので、同じ作業を毎日6回くり返しています。
配車システム導入前とやっている仕事内容は同じなのに、所要時間が大幅に削減したのには驚きました。業務時間が約51%も削減したのです。今は、より効率的な配車手配をするために思考する時間を多く確保できるようになりました。
坂戸営業所 阿部 祥尭さん
――とはいえ、新しいサービスを導入する際は現場に負荷がかかると思います。大変なことはありましたか?
阿部 :以前の方法から切り替えると聞いたときは、日々の業務をしながらのシステム導入なので負荷が大きいし、フローがガラッと変わるので大変そうだなと思いました。システム導入後の様子がなかなかイメージできなかったので、ハードルの高さを感じました。けれどハコベルの物流DXシステムはとても操作性が良く、見やすさにこだわっているのが伝わってくる仕様だったので、すぐに慣れました。
何よりハコベルの担当者さんが、週1で定例MTGを設けてくれていて、課題やトラブル、改善案を共有しています。「こんな機能が欲しい」と伝えると、すぐに導入してくれるのでありがたいです。
高橋 :ハコベルさんは、開発からアフターフォローまで親身になってサポートしてくれるので、本当に信頼しています。私たちと並走してシステムを運用してくれているので、運用に不安がありません。
――ハコベルの物流DXシステムを導入して、どのように課題は解決しましたか?
高橋 :先ほど阿部さんが話したように業務時間が削減しただけでなく、導入した当日から出荷依頼書のペーパーレス化を100%実現しました。営業所全体で見ると、33%のペーパーレス化を実現できました。これはとても大きいと感じています。
業務の属人化も大きく解消しました。まだまだ自動計算後に人の手で組み直す部分はありますが、それは最初から想定していたこと。大枠を自動計算してくれているので、配車業務に携わったことがない人でも初日からある程度の業務をこなせると思います。
もう一つ。デジタル化によって、手入力がなくなったことにより、日付などのケアレスミスがなくなりました。何か疑問やトラブルがあったときも配車状況をすぐに検索できるので、データとして記録することの重要性を改めて知りましたね。
阿部 :システムを見れば配車状況が分かるので、配車担当者に聞かないと分からないことが格段に減りましたよね。そしてデジタルで配車を管理するようになったことで、配車漏れがゼロになりました。以前は、全部配車したと思ったら、未対応の配車依頼書が1枚出てきて調整し直すということが週1程度であったのですが、導入後はそういった二度手間が一度もありません。
また個人的には、ミスに対するプレッシャーが小さくなり、肩の荷が降りた感覚があります。以前は配車する際に荷物の重量を手で計算して、すべて積めるかを検討していました。私は心配性なもので「これで合っているかな」と不安になり、何度も計算していたのですが、今はシステムが自動計算してくれて、必要なパレットの数も出してくれるので安心です。
――関係者からハコベルの物流DXシステムを導入したことについて、問い合わせがあったそうですね。
高橋 :なぜ導入したのか、経緯を聞かせてほしいと何件か連絡を受けました。DXに興味はあるけれど、導入に至っていない会社さんが周りに多いんです。そんな中で私たちが導入したので、実際にどうなのかを知りたいし、良さそうなら自分たちも導入したいと考えているようで、いろいろと聞かれました(笑)。
なお自社の別の営業所からも問い合わせを受けています。ある事業所は業務の属人化が深刻で、かつ複雑な配車管理を行っており、配車表を作成するだけでも1時間費やしています。「何か効率化する方法はないか」とDX推進課に問い合わせがあったので、ハコベルの自動配車システムを提案したところ、今は導入に向けて開発を進めている状況です。
――ハコベルの物流DXシステムを活用して、今後取り組みたいことはありますか?
高橋 :まずはCO2排出量の削減です。現在、当社ではCO2排出量の可視化に取り組んでいますが、まだ完璧ではありません。今後、積載率のデータも取れるようになると、積載効率を追求できるので、ムダな配車を減らしCO2排出量削減につなげられると考えています。
3PL業界全体で言うと、荷主と配車する当社が一緒にDXという照準に合わせて何か取り組めると良いですよね。当社が独自でできることには限りがあるので、協力することで大きな力を生み出せればと思っています。そうすることで業界全体に、良い潮流を作っていきたいです。