「課題だったデジタル化・標準化を推進! 業務を価値あるデータに変換するハコベル配車管理」日清食品株式会社

会社名
日清食品株式会社
業種
メーカー
従業員数
16,509名
所在地
東京都新宿区新宿6-28-1
ハコベル導入による成果 :

トライアル導入した運送会社からの「ぜひ本格導入をして欲しい」との声が決め手に。全国100社、1日360枚程度の紙をペーパーレス化し、データの一元管理が可能に。

世界初の即席麺の開発など、食品加工業界のパイオニアとして60年以上もトップを走り続け、現在100を超える国や地域で事業を展開する日清食品様。「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」をビジョンに掲げ、環境問題や社会問題を解決しながら持続的成長を果たすことを目指しています。そんななか、成長戦略の柱の一つとして掲げているのが、「盤石なサプライチェーン体制」の構築。これまで同社での物流業務は大量の“紙”と“FAX”を使用した体制で、データが部署ごとに存在し、データ粒度も違っていて在庫と需要が合わないなど、さまざまな問題がありました。この問題の解決に向け2021年3月より「ハコベル配車管理」をトライアル導入し、その後10月より本格導入をいただいた日清食品様に、サプライチェーンの改革と成果についてお聞きしました。

ハコベルを選んだ理由
(1)運送会社は紙の使用が多く、これを減らしたい!と単純な想いから
(2)業務の見える化、データ分析やレポーティングで事業の改革を期待
(3)DXの推進で、食品加工業界全体のサプライチェーンのアライアンスを高めたい


——これまでのご経歴とご担当されている部署の業務内容について、教えてください。


矢島 純(以降、矢島):1995年に入社し経営企画部等を経て、アメリカ日清に8年駐在しました。帰国後はまた経営企画の部署に就き、2019年7月に事業構造改革推進部の立ち上げを担当。現在まで同部の部長としてサプライチェーン業務などを担当しています。我々の部署は「事業構造改革推進部」と言いますが、その名の通り、今までの事業のやり方をそのまま継続するのではなく、会社が掲げる「100年カンパニー」を叶えるために「今」を変えよう、事業構造をまるっきり変えてしまおう、とチャレンジしています。


——2021年3月より「ハコベル配車管理」をトライアルで開始頂きました。「ハコベル」ご利用のきっかけとは何ですか?


矢島:ご存じの通り、昨今の「物流クライシス」という社会課題があり、2019年にこの部署を立ち上げました。この時に掲げた目標、2030年に目指す姿として、サプライチェーンの「スリム化」「機敏化」「レジリエンス強化」を挙げています。これを叶えるために今、我々が進めるべきは、標準化・デジタル化・アライアンス推進だと考えています。ハコベルさん利用のきっかけは、このうちの「デジタル化」を推進するためです。デジタル化することで物事を“見える化”する、可視化することがひいては標準化に繋がるだろう、というのが導入の経緯です。


▲「盤石なサプライチェーン体制」を構築するため、1つの手段としてデジタル化の推進を掲げている

日清食品の幹線物流に関しては、日清エンタープライズという関連会社が一括して業務を担っています。改めて業務内容を見ると、FAXで依頼したり運行指示書を紙で出していたり、あるいは電話で車番を聞くなど、デジタル化がまったく進んでいない状態でした。日清本社が「脱FAX」「ペーパーレス化」を推進するなか、どうにかシステム化を進めたいと考えていた時に、エンタープライズ側からこのシステムを導入したいと希望があったのが、ハコベル配車管理でした。


——その後、早い段階の2021年10月に本格導入を決めてくださいました。トライアルの成果、本格導入の決め手は何だったのでしょうか。


矢島:トライアルとして運送会社さん6社にご協力いただき、ハコベル配車管理を導入していただきました。実際に導入してから運送会社さんにインタビューしたところ、「ぜひ本格導入をして欲しい」との声が早々とあがりました。詳しくお聞きしたところ、「もう元には戻れない」と(笑)。ハコベル配車管理の導入によって効率的に便利に業務がこなせることがわかり、「もし日清全体で入れることが難しければ、うちだけでも入れさせてくれないか」ということでした。この声が決め手となり、エンタープライズのシステム担当が「絶対にDX化が進むと確信した」と導入を決めました。


▲トライアル実施をしたところ、「もう、元には戻れない」と運送会社からコメントをもらったと話す矢島様

トライアル導入の結果、運送会社さんには業務の効率化、利便性の向上などの大きなメリットがあるということに加えて、我々サイドでいうと、大量の紙の使用が少なくなるという成果がありました。このタイミングでのテスト導入はたった6社でしたが、現在当社が依頼している100を超える全運送会社さんに導入することにより、全体で1日360枚程度使用している紙のペーパーレスが実現できると予測できました。

また、もうひとつの決め手となったのが、ハコベル配車管理での物流データの可視化、分析のツールがあることです。これまで物流に関して各部署でデータの一元化がされておらず、さまざまな問題がありましたがハコベル配車管理の導入によりデータを一元化し分析レポートを作成できる。その分析結果から、業務自体の見直しや改善に繋げることができます。我々の部署は「イノベーションの力によって、サプライチェーンを価値のあるものに変えていこう」をパーパスのひとつとして掲げていて、まさにこのハコベル配車管理導入で今あるデータも価値のあるデータに変換できると確信しました。


——本格導入をされてから2カ月が経ちますが(2021年12月時点)、現在はどのような利用状況ですか。


矢島:本格導入をするにあたり、運送会社様に負担がないように使っていただくため、まずはハコベル配車管理を使うことによるメリット、実際の作業がどのように変わるのか、操作方法などをしっかりとご説明させて頂きました。トライアルから本格導入まで、ハコベルさんには運送会社様へのレクチャーなど、丁寧にサポート頂き大変助かりました。


▲ハコベルでは、運送会社様への説明会や利用開始後のフォローアップなども行っている

本格導入を決めた時点で、当社が依頼している100社ほどの運送会社様のうち物量ベース80%の導入を目標にしていましたが、まだ2カ月しか経っていないにもかかわらず、現在90%まで利用が拡大しています。正直、我々の予想以上の結果です。

導入して1カ月後に、実際に利用していただいている現場の皆さまの声を聞きたくて、運送会社様数社を訪ねました。ある会社の社長にハコベル配車管理の感想をお伺いしたところ、冗談混じりに「ハコベル配車管理のせいで私の仕事がなくなっちゃうんだよね(笑)」、と。どういうことかとお聞きすると、これまでは、社長がドライバーさんへの配送指示書を紙に書き、実際に対面でも指示を出されていましたがハコベル配車管理を導入したことにより、社長が出社される前にドライバーさんがスマホで配送指示を確認して荷物を積み込んでおられるらしいんです。それで「朝来て、やることないんだよね」、とおっしゃる(笑)。そういった「導入してよかった」という嬉しいお声を多数いただき、浸透しているんだなと実感しています。

すでに使い慣れているスマホをデバイスにしているので、操作を覚える苦労もなく、とてもスムーズに利用できていると思います。


——業界全体のサプライチェーンについてお伺いします。先程のお話にあった「物流クライシス」など、業界が抱える課題・問題についてどうお考えでしょうか。


矢島:我々サプライチェーン企画部の戦略方針として、“アライアンスの推進”を掲げていると前述いたしました。これからの時代、物流の問題を一社のみで解決できるものではないと考えており、他社様と情報や技術などさまざまなことを共有していくべきだと思います。それを実現するにあたり問題となるのは、やはり各社のオペレーションが標準化されていなかったり、DXの進捗がまちまちだったりということがあります。この標準化とデジタル化の足並みを揃え、その上でアライアンスを推進していこうというのが我々の思いです。各社がデジタル化してデータ連携することができれば、多くの問題が解決できるのではないでしょうか。ハコベル配車管理を利用させていただいて、その可能性を大きく感じました。


▲業界全体の課題である「物流クライシス」への取り組みとして、「ホワイト物流」推進運動を進めている

もうひとつ利用して分かったことは、すばらしいシステムや仕組みを入れてデータ連携ができたとしても、物流の業界を担っていくのはやっぱり“人”だと感じたことです。システムやデータを連携することで何が繋がるのかというと、実のところ“人と人”が繋がるのではないでしょうか。ハコベル配車管理導入前は紙で伝達事項を書いていましたが、これがデータになることでより多くの人に伝わりコミュニケーションが広がる側面がありました。人と人が繋がっていることは、すなわち人を育てることにも繋がり、これはサプライチェーンにおいてとても重要なことなのではないかと思います。


——「ハコベル配車管理」を導入した上で、今後の貴社の物流部門における目標を教えてください。


矢島:当社といたしましては、「Green Logistics Challenge 2030」という物流環境対策方針を設定していて、具体的には2030年までに輸配送分野でのCO2排出量の15%削減などを目指しています。ハコベル配車管理の利用でさまざまなデータを取れるようになり、輸配送で排出されるCO2の全体量を減らすことに役立てられると期待しています。

我々は「サステナブルなサプライチェーンを作ろう」というスローガンを掲げています。サステナビリティとは何だろうと考えた時、「持続可能な」というところはもちろんですが、「みんなが笑顔でいられる」ということが大事なのではないでしょうか。ハコベル配車管理を利用することによりDX化が進み、関わる人がみんな笑顔になれる姿を突き詰めていきたいですね。

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