

2026年4月、荷主として主要2拠点で「トラック簿」を導入。配送を委託している協力運送会社5社に活用してもらい、サンプリング計測を始めた。法令に則った対応が可能となったほか、一部の運送会社からは「予約システムを使うことで積み下ろしの準備ができるようになった」と好評も得ている。荷物を積み込んだ車両の退場時間が分かるようになったことで届け先の作業がスムーズになり、輸送能力の向上につながったという輸送会社もある。
ハウスメーカーのミサワホーム株式会社は、物流子会社を通じて配送業務を全国の協力運送会社に委託しています。生産管理課で物流全体の効率化を担う飯田様、同社の物流子会社であるCSロジスティクスで現場配送の手配を担当する藤田様に、導入の決め手や成果についてお聞きしました。
ミサワホーム株式会社 調達・生産本部 生産統括部 生産統括課 飯田信之様
CSロジスティクス株式会社 物流管理部 納品課 藤田浩様
(以下、敬称略)
トラック簿を選んだ理由
(1)2拠点5社の利用に、2アカウントで対応できる
(2)各運送会社の情報を切り分けられる
——貴社の事業内容とご担当業務を教えてください。
飯田:ミサワホームは、全国で事業を展開しているハウスメーカーです。私は生産統括課の一員として物流全体を見て、法令対応や輸送効率化に取り組んでいます。
藤田:CSロジスティクスはミサワホームの物流子会社です。私の担当は納品物流で、ミサワホームの工場や物流中継基地から建築現場に住宅部材を届けるため、主に協力運送会社に配送の手配を行っています。
——貴社の物流の特徴を教えてください。
飯田:当社の物流機能は、CSロジスティクスにほぼ移管しています。調達物流は資材メーカーに委託するハウスメーカーが多い中、納品物流と資材調達の両方を自社グループで手配している点が当社の特徴です。私たちは全国に物流中継基地を持っており、各資材メーカーの拠点を回って資材を積み込んだ後、中継基地に運び、そこから必要な住宅資材を各建築現場に納めています。荷物を一度基地に集約することにより、効率的な納品を実現しています。
また、ハウスメーカー同士で協力し合い、共同輸配送を行っています。トイレ、窓など必要な住宅設備はどのハウスメーカーも同じで、調達先も大体同じです。そのため、量が少ない荷物などは他社の荷物と相積みして効率化を図っています。納品先はハウスメーカーの工場のこともあれば、建設現場の場合もあります。
——「トラック簿」の導入を検討された経緯をお聞かせください。
飯田:当社が物流効率化法における特定荷主に該当したため、義務付けられた荷待ち時間と荷役時間の計測を行うために導入しました。荷待ち時間と荷役時間を計測するには、入場時間、荷役開始時間、荷役終了時間の記録が必要です。これまでは入場時間しか分からず、荷待ち・荷役時間の実態は把握できていませんでした。実際の運用は協力運送会社にお願いすることとなるため、紙での管理は難しいと考え、より簡便な電子システムの導入を検討しました。「トラック簿」などの受付・予約システムについては、物流情報サイトで調べました。
——どんな拠点に導入し、どのように計測されていますか?
飯田:全拠点での計測は難しいため、私たちは物流効率化法で認められているサンプリング計測を採用しています。取扱量の半数以上を占める拠点での計測が条件なので、当社の主たる工場である群馬県の沼田工場と岡山工場に導入しました。
藤田:沼田工場と岡山で計5社の協力運送会社に「トラック簿」を使ってもらっています。物流効率化法で定められたサンプリング期間は全運行の記録を取っていただき、それ以外の期間は各運送会社にお任せしています。

インタビューにお応えいただいた調達・生産本部 生産統括部 生産統括課 飯田信之様
——複数ある受付・予約サービスの中から「トラック簿」を選んだ決め手は何ですか?
飯田:2工場で5社の協力運送会社さんに使っていただくという状況に、トラック簿がうまくフィットしたためです。比較検討した他社では、必要以上のアカウント契約が必要でしたが、「トラック簿」では必要最小限のアカウントで済みました。また、運送会社ごとに情報を切り分けられる機能もよかったです。運送会社ごとに対応エリアや依頼内容が異なるため、他社に共有すべきでない情報もあります。そうしたデリケートな部分にも配慮ができました。
——導入はどのように進めましたか?
飯田:実際にトラック簿を操作するのは協力運送会社なので、新しいシステムへの抵抗感が心配でした。そこでなるべく負担を減らせるよう、3段階で準備を進めました。1月に最初の説明会を開き、法改正によりミサワホームが特定荷主となり、どのような対応が必要かを説明しました。2月には「トラック簿」を計測に使ってほしい旨を伝え、3月に具体的な操作方法などを説明して改めて計測を依頼しました。その後は各社から寄せられた疑問や要望をハコベルさんにサポートいただきながら4月いっぱい対応した結果、なんとか5月の計測に間に合わせることができました。
——協力運送会社への説明会ではどんな意見が出ましたか? また、それらにどのように対応されましたか?
飯田:現場の状況として「トラック簿」の操作が難しいという場合には、打刻方法の代替案を一緒に検討しました。またタブレットがないなどの理由からタイムリーに記録できない運送会社には、後日事務所の方に備考欄に入力してもらっています。都度操作がストレスだという会社には、CSVデータを一括で取り込める機能を使ってもらい、負担を軽減しました。なるべく運送会社に負担かけないよう、個社ごとの状況を理解した上で、運用ルールを考えました。
藤田:すべての協力運送会社に同じやり方で計測してもらうのが理想ですが、積込場近くの事務所にパソコンがない会社もありますし、私たちもすべてをフォローすることはできません。そうした中、私たちの必要な情報を取得でき、かつ運送会社でも無理なく対応できるよう各社と協議を重ね、対応方法を決定していきました。

インタビューにお応えいただいたCSロジスティクス 物流管理部 納品課 藤田浩様
——「トラック簿」を活用して分かったこと、業務の変化などはありましたか?
飯田:物流効率化法でいう荷待ち時間等はおおむね1時間未満でした。5月に測定したデータは集計し、運送会社ごとの荷待ち時間の平均値、最大値、最小値を出して部門内で共有しました。今後データの蓄積と分析を進めて、更に業務改善に役立てたいと考えています。
藤田:各協力運送会社に感想を聞いたところ、予約システムを使うことで荷役の準備ができるようになり、効率的な積み下ろしができるようになったという声がありました。また、「退場時刻が分かる点が良い」という意見もありました。退場時間が分かると納品先の到着時間を予測できるため、納品先での荷下ろしの計画を立てやすくなったそうです。
飯田:これまでは納品先での荷下ろしに時間がかかっていたため、その車両を有効に使えていませんでしたが、到着時間の予測ができるようになり運行計画の幅が広がったとの話もあります。「トラック簿」を導入したのは法令対応のためでしたが、今は二次的な効果を感じています。
——「トラック簿」に期待する機能やサービスはありますか?
飯田:納品先でも同様に計測できるとうれしいです。倉庫への納品ならフォークリフトによる荷下ろしで早いと10分くらいで終わりますが、建設現場への納品だとそうはいきません。敷地内の状況によっては荷物を仮置きできず、工事が終わるまでトラックから荷を下ろせないこともあります。現場での待機時間が長くなり、次の仕事に影響がでてしまう可能性もあります。工務店さんに協力いただき、以前に比べて待機時間は短縮できてはいますが、時間をデータ化できれば、業務改善の検討ができ、安定的な輸送力につなげられると思います。
藤田:現状、ドライバーさんに作業開始及び終了時間を記載してもらい、紙ベースでは管理していますが、現場の数が多いため、集計や分析の手間を考えると電子データとして蓄積すべきだと感じています。
——今後の展望として、検討されている物流効率化の施策などあればお聞かせください。
飯田:調達物流では共同配送が進んでいますが、工場から物流拠点への転送では荷物の相積みが十分にできていません。転送においてもトラックの稼働台数を減らし、さらに効率化を進めたいと考えています。社会全体で輸送力が低下していく中で安定的な供給体制を作るには、運送会社さんと良好な関係を築いていくことが重要です。今後も業務改善に取り組んでいきたいと考えています。
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