自社開発断念から一転、スムーズな切り替えで4月に導入開始。物流効率化法の荷待ち・荷役時間計測をトラック簿で無事スタート

会社名
株式会社山善
業種
メーカー
従業員数
3,309名(連結:2026年3月31日現在)
所在地
大阪府大阪市西区立売堀2-3-16
URL
https://www.yamazen.co.jp/
ハコベル導入による成果 :

2026年4月から主要物流倉庫3拠点でトラック簿を本格導入しました。導入目的としては、物流効率化法により、特定荷主に義務付けられたドライバーの荷待ち時間と荷役時間の計測を行うためであり、また作業実態を把握することで、荷役時間短縮に向けた具体的な取り組みを考えられるようになりました。

株式会社山善は、1947年に創立された生産財と消費財の専門商社で、国内56ヵ所、海外18か国に事業展開をしています。事業内容としては、工作機械・産業機器・機械工具などのモノづくりを支える「生産財」と、住宅設備機器・家庭機器など、快適な暮らしを提供する「消費財」を扱い、業界の異なる事業体を持つダブルウィング経営として事業展開しています。
今回、物流戦略の立案・物流現場の運用支援・法令対応などを担う物流企画部から中山様と青木様、グループ会社として国内事業の物流全般を担う株式会社ロジライズから辻村様と前田様にご参加いただき、導入の決め手などについてお聞きしました。

株式会社山善 営業本部 物流企画部
主幹 中山 幹男様
  青木 弘子様
株式会社ロジライズ ワーキンググループ西日本統括部 ロジス大阪
所長 辻村 宗一様
  前田 果紗音様
(以下、敬称略)



トラック簿を選んだ理由
(1)もともと社内で検討していた「開発案」とイメージが近い内容だった
(2)シンプルな画面で、操作が簡単だった
(3)4月稼動開始までの準備期間及びコスト面でも期待が持てた



社内開発が難航したことから、急遽パッケージシステムを検討


——御社の事業内容を教えてください。

青木:山善は、ものづくりを支える生産財と暮らしを彩る消費財を取り扱う専門商社です。56の国内事業所と18の海外現地法人があり、グローバルに事業を展開しています。当社は、専門商社という立場から、仕入先から調達した商品を当社のお取引先(販売先)に納品することを主な事業活動としていますが、その国内物流を支えているのが、グループ会社の株式会社ロジライズです。

インタビューにお応えいただく青木様



——御社の物流概要と特徴について教えてください。

中山:国内の物流ネットワークとして、倉庫はデポも入れると全国に約130拠点がありますが、大規模配送拠点(ロジス)は13拠点です。このうち、ロジス大阪とロジス東京が生産財のマザー倉庫で、消費財を扱うのがロジス関東。この3拠点が当社の物量の6~7割を占めています。

辻村:ロジス東京は荷役作業を外部委託していますが、ロジス大阪は自社運営倉庫です。主な配送エリアは関西ですが、北陸から中四国、九州までカバーしています。およそ10社の路線運行会社と、小型トラックまたは軽自動車による自社便で配送を行っており、大阪市内などは1日2回転の運行を組んでいるところもあります。他に定期契約を結んでいる協力運送会社の車両が20便ほどあります。取り扱い貨物は機械の切削部品などで、配送先は主に当社の主力販売代理店です。

中山:ロジス大阪やロジス東京では、午前中の納品が大半を占めています。また、物量が多いロジス関東では、バース予約システムを2019年に導入したことで、納品のコントロールができるようになっています。

インタビューにお応えいただく中山様



——トラック簿の導入経緯を教えていただけますか?

中山:2024年の法改正に伴い、物流効率化法(物効法)における荷主への努力義務として、物流効率化計画に基づき、ロジス大阪やロジス東京では、マテハン機器の導入などによる作業の自動化を目指してきました。その中で2024年5月に改正物流効率化法が公布・施行され、荷主に荷待ち時間と荷役時間の削減が義務付けられることが分かりました。
 
青木:当社が年間で取扱う輸送重量は16万トンほどあるため、物流効率化法上の第1種特定荷主と第2種特定荷主両方に該当するだろうと思いました。そもそも作業の実態を充分に把握できていなかったので、まずは現状を把握することから始めました。
 
中山:当初はそのためのアプリを社内開発する計画で、画面構成や具体的な操作・動作まで考えていました。ドライバーの方に操作してもらうことを想定して、「タッチ数をなるべく少なくして簡単に」「入力の負担を減らすため、なるべくプルダウンで選択できるように」と工夫していました。昨年の夏頃からDX部門と検討を始め、年明けには実装する予定で進めていました。しかしセキュリティ上の問題で外部とのネットワーク接続が難しいことが分かり、急遽パッケージシステムの利用を検討することになりました。
 
青木:4月から実態把握・時間計測を行うのに、計測方法が定まっていないことに焦りを覚えました。そんなときに以前から別案件でご相談していたハコベル様からトラック簿のご提案をいただきました。


社内評価は◎ 操作性や導入しやすさなど要望にマッチ


——トラック簿を採用いただいた決め手は何ですか?

中山:ハコベル様のプレゼンで真っ先に感じたのは、当社が開発でめざしていたものに非常に近いということ。また、導入の簡便さも大きかったです。タブレットやスマホアプリを活用することで、ドライバーさんの操作のみで入退場の実績が取れる。コスト面も含め、私たちが求めるものに、適していました。

青木:社内での評価は◎でした。分かりやすい画面に、シンプルな操作。運用やデータ分析も進めやすそうで、私たちが思い描いていたシステムだと感じました。ご提案いただいた内容が全部「そうそう、そこなんです!」という感じで、当社が求めていた内容が詰まったプレゼンでした。例えば、ドライバーが使う媒体として、タブレット、アプリ、二次元バーコードなど、様々なパターンが用意されており、よく考えられている点が魅力に感じました。

——導入までのステップと導入拠点を教えてください。

青木:昨年12月にご提案いただき、年明けに社内決裁がおりました。2月中にタブレットの手配や契約手続きを済ませ、3月をテスト導入期間とし、ドライバーへの説明やヒアリング、マニュアル整備に充て、4月から正式運用に移行しました。まずは物量が多いロジス大阪、ロジス東京、ロジス関東で、トラック簿の受付プランを使用しています。

受付タブレットの様子。オリジナルの案内資料をご用意いただいています




判明した作業時間から課題が明らかになり、改善策の検討へ


——トラック簿導入により、変化や成果はありましたか?

中山:ドライバーの作業時間が可視化され、荷降ろしにかかる時間をわかったことが一番の収穫でした。

青木:どの拠点も荷待ち時間は長くありませんでしたが、一部荷役時間が長いことが分かりました。どのメーカーの荷降ろしに時間がかかっているかを調べ、対策を始めたところです。

辻村:現行の運用を大きく変えずに導入できた点が良かったです。タブレットと操作マニュアルを用意してもらったことで、入退場の実績がとれるようになりました。導入後は、荷役等時間が2時間を超えたデータを抽出し、内容によっては、防犯カメラの録画映像を確認して長時間作業となる理由を把握し、その内容を関係者と共有して、改善に役立てています。

インタビューにお応えいただく辻村様



——ドライバーさんの対応状況はいかがですか。

前田:集荷・納品は基本的に同じ方が毎日いらっしゃるので、スムーズに使っていただいています。納品で初めて来られる方には、操作方法を聞かれたり、パスコードの通知が迷惑メールに振り分けられてしまって「届かない」と相談されたりしますが、次にいらしたときには皆さん迷わず操作されています。簡単なので、1度使えば覚えられるみたいです。不具合の報告も特にありません。

インタビューにお応えいただく前田様



辻村:導入前は、ドライバーが対応してくれるか少々不安でしたが、同様のシステムも増えていることから、トラック簿を使うことに抵抗がなく、対応されています。



他社システムとの連携による情報共有が可能になれば、いっそう便利なツールに


——ハコベルにご要望があればお願いします。

青木:荷量と車格から積載率を自動計算できると、より効率的な積載に活かせると思うので、そのようになれば、うれしいです。

中山:ロジス関東に導入しているバース予約システムは、予約登録の際に予約時間と納品明細が連携されます。他社のシステムですが、この情報とトラック簿が取得する車両番号(ナンバープレート)と紐づけられたらありがたいです。そうなれば、「どの車両が、どのメーカーの、どんな積み荷を、どれだけの量」という情報が一度に把握できます。荷役時間短縮のために必要な連携だと思っています。

辻村:運用の話ではありますが、「退場」の押し忘れを防ぐ良い方法があれば知りたいです。例えば、倉庫から離れたら、自動的に「退場」となれば良いですね。

——物流効率化のために今後取り組んでいきたい施策などあれば教えてください。

中山:当社が目指しているのは、在庫の最適化と在庫の最適配置です。現在、ロジス大阪とロジス東京は、それぞれ西日本と東日本という広範囲をカバーしていますが、今後、長距離配送が一段と厳しくなる将来を見据えて、地域密着型小規模配送拠点であるデポを活用し、短距離配送を進めなければならないと考えています。

青木:売上に占める物流コスト比率を抑えることにも取り組んでいきたいです。例えば、在庫や取寄せは配送コストを考えて1番近い物流拠点から出荷するよう意識してもらうことを目指しています。

中山:当社は、基幹システムの統一化を進めてきました。これにより物流ネットワークも揃えられるようになり、今は生産財と消費財を同じシステムで管理しています。こうしたシステムの統一により、物流コストを加味した利益が分かるようになりました。今後は物流コストを加味した利益を共通の指標とし、物流コスト比率を社内で共有し、事業部の利益率向上に寄与していきたいです。

辻村:倉庫業務においては、人時生産性と保管効率の向上が重要です。両立が難しいところですが、商品を集約して導線を短くするなど、今後も日々の努力を継続していきます。

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