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危険物を専門に扱う大規模倉庫の新規立ち上げにあたり、「物流2024年問題」を見越して営業開始時にトラック簿を導入。積み降ろしの作業依頼書と連携する「オーダー番号」を受付時に入力してもらうことで、スムーズなバース誘導や効率的な荷揃えを実現している。滞留時間が1時間を超える車両はほぼない状態で運用を継続中。
山九株式会社 泉北支店 関西ケミカルセンターは、危険物の保管に特化した大規模倉庫として、2023年6月に営業を開始しました。敷地面積2万7,000平方メートル、消防法危険物第1類・2類・4類・5類・毒劇物と多様な貨物に対応し、全8棟ある倉庫のうち4棟は温度管理も可能であることが特色です。
同センターでは営業開始時点から「物流2024年問題」を見据え、受付システムとしてトラック簿を導入しました。倉庫が動き始める前に導入を決めた背景と現在の活用状況を、同社泉北支店 物流倉庫グループ グループマネージャー 竹田成一様にうかがいました。
トラック簿を選んだ理由
(1)倉庫の営業開始時、「物流2024年問題」を目前に控えていた
(2)既存の業務フローに後からシステムを導入する難しさを他の拠点で経験していた
——関西ケミカルセンターではどのような荷物を扱っていらっしゃいますか?
竹田:現在は主に、半導体の製造に使うフォトレジストやリチウムイオン電池、また集積すると危険物扱いとなる芳香剤などを取り扱っています。フォークリフトによるパレット荷役がほとんどで、阪神港に近いことから輸出入にも対応しています。
——バースはいくつ運用していらっしゃいますか?
竹田:倉庫は8棟あり、バースは各棟に1つずつあります。うち1棟には海上コンテナへの積み込みに対応した4つのバースあり、合計12バースを運用しています。
——トラック簿はいつからお使いですか?
竹田:2023年6月の営業開始に合わせて導入しました。いわゆる「物流2024年問題」を目前に控えていたことが一番の理由でした。また、過去に他の倉庫で受付システムを導入した際に、既存の業務に取り入れるのがなかなか難しかった事例があり、ならば最初から導入しようと判断したと、当時の責任者から聞いています。
——特に規模が大きい施設では、後から変えるのは難しそうですね。
竹田:そうですね。法的にもしっかりした待機時間管理が求められることになるのが確実だったので、先を見越した対策が必要でした。

インタビューにお応えいただく竹田グループマネージャー
——現在は受付から積み降ろしまで、どのような流れで行っていらっしゃいますか?
竹田:まず、トラックが到着したら待機場に停め、ドライバーさんに受付へ来てもらい、タブレットで受付をします。初めての方には担当者が使い方を説明していますが、わかっている方はご自身で操作していただいています。
この時に受付で「オーダー番号」を入力してもらうと、それが倉庫側の「作業依頼書」と紐づいていて、倉庫の担当者が手元のタブレット上ですぐに出荷貨物や誘導先のバースを把握できるようになっています。もしこの連携がなかったら、倉庫側ではトラックが来てから接車バースを案内したり荷揃えを始めたりすることになっていたと思います。
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受付等に置かれたタブレット端末
——倉庫側の準備が効率的に進められるわけですね。
竹田:はい。棟が分かれているので、各棟の担当者がそれぞれタブレットを持ち、それを見て呼び出しをしています。これもシステムがなければ全体の連携は難しかったと思います。
倉庫作業中に外の様子を見に行く必要がないのも利点ですね。他の拠点ではフォークリフトでトラックの待機場まで行って呼び出しているケースもあるのですが、無駄な動きが増えてしまいますし、事故防止の観点からもあまり望ましくありません。

倉庫棟での確認、呼び出しの様子
——トラック簿の利用について、現場の方からの反応はいかがですか?
竹田:導入前の運用実績がないのでビフォア/アフターの比較はできないのですが、他の拠点で業務経験のあるメンバーからすると、稼働状況が「見える化」されることが非常に良いようです。受付からも待機中のトラックやバースの稼働状況がわかるので、もし呼び出しが遅れているトラックがあれば誰かが気がついて現場に状況を確認することができます。情報がリアルタイムに共有されているため、現場の煩雑さはかなり少ない方だと思います。
——トラックの受付から退場までの時間はどのくらいかかっていますか?
竹田:現在のところ、1時間を超えるケースはほとんどありません。朝は受付が集中することがよくあるのですが、それでもドライバーさんから受付に問い合わせが入るようなことはないですね。
倉庫の稼働にまだ余裕のあるうちに業務フローを構築できたので、今後稼働率が上がったときにも待機が発生しない状態を維持できることを期待しています。また、受付がより混雑するようになったら予約機能も積極的に活用していきたいと考えています。
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