2026年7月24日
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【セミナーレポート】食品スーパー24社が参加する「SM物流研究会」の活動実態とは!

【セミナーレポート】食品スーパー24社が参加する「SM物流研究会」の活動実態とは!

エルテックラボ代表の物流ジャーナリスト 菊田一郎氏をホストに、毎月お届けしているハコベルウェビナー。2026年6月は日本スーパーマーケット協会企画・渉外部課長の加藤貴文氏を迎え、SM物流研究会の取り組みを紹介します。物流分野を企業間の「競争領域」ではなく「協力領域」と位置づけ、物流効率化策を研究・検討している同研究会。活動実績や成果、今後の展望などをうかがいました。

この記事でわかること

  • SM物流研究会の概要
  • SM物流研究会の活動実績
  • SM物流研究会における2026年度の取り組み

一般社団法人日本スーパーマーケット協会 企画・渉外部 課長

加藤 貴文 氏

2010年に大学卒業後、株式会社ライフコーポレーションに入社。
店舗の畜産部門を経験し、新卒採用のリクルーター(約1年間)も担当する。
2016年に子会社である、株式会社ライフフィナンシャルサービスに出向。
カード事業会社の立ち上げから従事して、営業、管理、システム部門を担当する。
カード会員数50万会員達成(当時)、また、貸金業務取扱主任者(国家資格)を取得する。
2023年に一般社団法人日本スーパーマーケット協会に出向。
SM物流研究会(当時、首都圏SM物流研究会)の事務局を担当する。
製・配・販(メーカー様、卸様、小売)での協力体制を構築して、活動を推進させる。
2024年には関西SM物流研究会を立ち上げ、現在は3つの研究会の事務局を担当している。
2026年5月時点でのSM物流研究会参加企業は24社(合計売上高約6.5兆円)となっている。


エルテックラボ L-Tech Lab 代表

物流ジャーナリスト 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年間勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体役員等を兼務歴任。この間、国内・欧米・アジアの物流現場・企業取材は1,000件以上、講演・寄稿など外部発信多数。

2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化/DX、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスし、著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より株式会社大田花き 社外取締役、20年6月より23年5月まで株式会社日本海事新聞社顧問、20年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。



菊田氏の聞きどころ解説

冒頭は、菊田氏による前振り解説です。

ドライバー不足に端を発した物流2024年問題は、「2030年問題」へと変わっています。2024年問題の影響に、2030年度までの物流需給ギャップ推計を加えると、2030年には輸送能力の3割以上が不足する可能性があります。この「2030年問題」への対応が直近の課題です。

(注/図示した数字は2022年の政府予測で、ドライバー不足によって「2030年には輸送能力の約34%(9.4億トン)が不足する可能性がある」とされていた。それが今般の物流大綱まとめに当たって予測が見直され、「2030年度には平均で約7%~最大で約25%(1.7億トン~7.2億トン)の輸送力不足が生じうる」と下方修正。「ワーストケースであっても物流の停滞を招かないよう、最大26ポイント程度の輸送力を確保するための各種施策を用意」するとしている)



解決のため改正物流2法のほかトラック関連法も改正され、「適正原価」や「請負階層2次まで」といった規制が行われようとしています。改正下請法では荷主と運送事業者間の取引も対象になり、一方的な価格決定も制限される見込みです。

中でも物効法では、すべての荷主、連鎖化事業者、物流事業者に「積載効率等の向上」「荷待ち時間の短縮」「荷役時間の短縮」という3大(努力)義務が課され、2026年度からは特定荷主は物流統括管理者の選任が義務付けられ、怒涛の規制強化策が進んでいます。

これらの内容は、2026年3月に発表された最新版の「総合物流施策大綱」にわかりやすく整理されています。そこには今後5年間の物流政策もまとめられており、政府は2026年から2030年までを物流革新の「集中改革期間」と位置づけています。そして担い手不足が深刻化する今後を見据え、物流政策を5つに集約しています。


菊田氏は今日の講演内容に特に関係する2つの項目として、2つめの「物流全体の最適化に向けた商慣行の見直しや荷主・消費者の行動変容、産業構造の転換」と4つめの「物流に関わる多様な関係者の連携・協力による物流標準化と物流DX・GXの推進」を挙げました。

「SM物流研究会は、共同輸配送による積載効率の向上と便数削減、パレット化による荷役作業の短縮などを進めています。具体的な取り組み内容を聞きましょう」



SM物流研究会の概要

菊田氏の紹介で加藤貴文氏が登壇し、はじめにSM物流研究会の概要を説明しました。「スーパーマーケットには社会インフラとしての責務があります。この使命を果たすために設立されたのが当研究会です。お客様が店舗で食品や日用品を当たり前のようにお買い物できるようにするため、物流を停滞させてはなりません」


SM物流研究会の目的は、物流分野を各企業間の「競争領域」ではなく「協力領域」と捉え、協力し合って物流効率化策を進めること。首都圏と関西の2つの物流研究会がそれぞれ毎月集まってサプライチェーンにまつわる物流課題を協議し、3カ月に1度のSM物流研究会(全体会議)で首都圏、関西の取り組みを共有しています。参加企業は年々増加。参加企業の合計売上高は食品スーパーの売上全体のおよそ3分の1を占めています。


新規参加条件は7つありますが、すべてを最初から満たしている必要はありません。最重要のトップコミットメントさえクリアしていれば、他の要件は確実に実施予定であればOKです。「物流効率化に寄与するため、この活動がより多くの企業に広がればと思っています」


SM物流研究会の成り立ち

次に加藤氏は、組織発足の背景について説明しました。
また、菊田氏から数年前の物流業界について説明がありました。

・厳しい労働環境と全産業平均を下回る収入状況から、トラックドライバーが不足

・EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化により需要が増加

・2024年度から働き方改革関連法が施行され、長時間労働に制限がかけられた

国は物流施策大綱をまとめ、物流効率化法のガイドラインを提示。モノが運べなくなる未来が現実味を帯びて迫ってきました。そこで2022年4月、製・配・販の各団体が参画する「フードサプライチェーン・サスティナビリティプロジェクト(FSP)」が発足。サプライチェーン全体の最適化に向けた取り組みを検討し始めました。


4カ月後の8月には、日本スーパーマーケット協会の正副会長企業4社が協議を実施。以下3点が主な検討課題となりました。

①加工食品における定番商品の発注時間の見直し
②特売品・新商品におけるリードタイムの確保
③納品期限の緩和(1/2ルール)

これに「流通BMSによる業務効率化」を加えた4項目が持続可能な食品物流に必要と考えた4社は、2023年3月に首都圏SM物流研究会を立ち上げて、「持続可能な食品物流に向けた取り組みを宣言」しました。そして10月には首都圏以外の参加企業もあり、SM物流研究会を発足させました。


なお、この4つの取り組みは同研究会の7つの新規参加条件にも盛り込まれています。現在は各社、参加時にクリアできていなかった項目を次々に達成しているとのこと。「これほどスムーズに進むとは思わなかったので驚いています」と加藤氏は明かしました。


SM物流研究会の活動実績

続いてこれまでの活動を紹介します。

2023年6月に発出された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に「荷待ち・荷役作業等時間2時間以内」が明文化されたため、2023年度はまず荷待ち・荷役時間の短縮に注力しました。具体的には、バース予約システムの導入と活用、パレット納品の拡大など。10月からは荷待ち時間・荷役時間の計測を始め、現在も全社による毎月の計測・報告を続けています。


変化を正確に追うため上図は当初の10社のみにしてありますが、2025年5月からは全社で「荷待ち時間」ならびに「荷待ち時間と荷役等作業時間」の平均値も算出。2時間超過のトラック台数はゼロにはなっていませんが、劇的に下がっています。「2026年6月現在のバース予約率はほぼ100%ですが、計測当初は50~60%でした。ドライバーさんにパース予約システムを活用してもらうため、一部企業では説明会を開くなどして地道に利用率を上げてきました」と加藤氏は振り返ります。


2024年度には、スピード感を持って取り組みを進めるため、物流の重要課題にあわせて、分科会を設置。2025年度は、これまでの取り組みの継続に加え改正物流効率化法への対応にも力を入れました。


「パレット納品の拡大」分科会は、即席麺、菓子メーカーと意見交換を実施。お互いの課題を認識しました。また、各社物流センターのバラ積み納品による荷役作業の実態を共有。
さらに、意見交換を受けて一部メーカーからパレット化に必要な物量を提示。特売と通常時の数量調整によりパレット納品を実現しました。




「共同配送 空きトラックの有効活用」分科会は、運送事業者、発荷主、着荷主の三層連携を推進。

当初は店舗からの戻り便の活用を検討しましたが、カートラックやドーリーなどの什器回収で積載に余裕がなく、配送距離の短さもあって断念。代わりに、積載余力のある加工肉メーカーのチルド車両を活用した共同配送・空きトラック有効活用を実現しました。


カスミの物流センターを拠点に荷物の積み替え、配送ルートを調整。2025年10月から始めたこの共同配送・空きトラック有効活用の取り組みは、現在も継続しています。


同時に、首都圏SM物流研究会主導の商品調達インフラ構築も推進。通称『みんなのトラック』も成果を出しています。対象は茨城農産品。第1弾は2025年11月から実施し、4tトラック12車両の積載率が13~25%向上しました。第2弾は2026年1月に始め、4tトラック5車両の積載率が13~38%向上。第3・4弾も予定しています。


空きトラックの探索は現状、運送会社がLINEなどを活用して地道に行っていますが、共同配送がめざすのはフィジカルインターネット。将来的にはデジタル上で瞬時に検索できる情報連携基盤が必要だと考えています。

「生鮮物流における物流課題」分科会は、2025年に青果・水産の仲卸・卸から成る「市場流通ビジョンを考える会」とともに「卸売市場・SM物流研究会」を発足。サプライチェーンが複雑な成果をテーマに勉強会を実施し、青果のリードタイム延長を中心に議論しました。


見込みで手配するLT1から確定情報で手配できるLT2に変更することで、事前に必要なトラック台数がわかり、計画的な運行が可能になります。他にも、作業員負担の軽減や検品作業時間増加による納品物の品質向上などのメリットが挙げられます。

東急ストア(2024年10月開始)とサミット(2024年11月開始)の効果検証の結果、仲卸・卸への返品、店舗での値下げ・廃棄が減りました。「計画物流の実現を考えるとメリットが大きく、何よりお客様に商品を届けるという私たちスーパーマーケットの使命を考えると必要なこと」と加藤氏は力を込めます。


「チルド物流における物流課題の解決」分科会は、メーカー10社から成る「チルド物流研究会」と意見交換を定期的に実施。加工食品業界の製・配・販の行動指針に倣い、チルド食品業界でも同様の指針を作成しました。また、チルド物流において課題が多く優先される取り組み事項を25個に整理。重要課題別に分科会を設けて解決に取り組んでいます。「この25項目は日本スーパーマーケット協会のホームページに掲載されていますので、興味がある方はご覧ください」


2026年度の取り組み

2026年度は基本的に前年度の取り組みの継続・拡大です。「パレット納品の拡大」分科会では、AIを搭載した荷積みロボットなど先端技術活用も含めた対応策を新たに検討。「人の2倍の作業効率が期待できるそうです」と加藤氏は期待を寄せます。

「生鮮物流における物流課題の解決」分科会は他分野と同様に行動指針の作成を検討するとともに、水産の物流課題解決に取り組みに着手予定。関西物流SM研究会は、ASNの活用による検品レスの取り組みなどを進める予定です。

最後に加藤氏は、「参加企業のみなさんの熱意と協力があるからこそ、私も各社の要望を叶えるために奮闘できています。新規参加希望の企業様はぜひお声がけください」と笑顔で話し、講演を締めくくりました。






◇◇◇

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以下よりご確認いただき、ぜひご参加ください!

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