チャーター便とは?利用される輸送シーンやメリット・デメリットを解説

チャーター便とは?利用される輸送シーンやメリット・デメリットを解説

物流の現場で重要な役割を果たす「チャーター便」。車両を丸ごと貸し切り、荷物を目的地まで直行配送するチャーター便は、柔軟性が高く多様な輸送ニーズに応えられるのが特徴です。

大量の商品を一括で運ぶ際や、破損リスクを最小限に抑えたい精密機器や美術品の輸送に適しており、発着時間を厳密に指定される場合でも対応できます。

本記事では、チャーター便の基本的な仕組みや具体的な利用シーン、メリット・デメリットについて解説します。

この記事でわかること

  • チャーター便の基礎知識
  • 利用に際してのメリット、デメリット

1. チャーター便とは

チャーター便とは、荷主が車両を1台丸ごと貸し切り荷物を輸送する方法です。依頼主専用の配送となるため、他の荷主の荷物と混載することはなく、目的地まで直行配送されます。そのため配送スピードが速く、破損や紛失のリスクが低いのがメリットです。

また、チャーター便は大量の荷物や特殊な条件が求められる荷物の輸送にも適しています。例えば特定のイベント用資材を会場に届ける場合や、長尺物や重量物など混載便では対応が難しい荷物の輸送に利用されます。時間指定や配送ルートの調整も可能で、緊急配送や取引先の特定のニーズに応える輸送手段としても有効です。

一方で専用車両を貸し切る形態のため、路線便や宅配便に比べてコストが高くなる傾向があります。利用の際は、輸送目的やコストを考慮して選択しましょう。


2. チャーター便が利用される主なシーン

チャーター便が利用される、主なシーンを紹介します。

特殊な形状の荷物を輸送するとき

梱包が困難な大型家具や突起物のあるソファ、長尺の木材や鋼管などは、混載便では積載効率や破損リスクの観点から断られる場合があります。一方で、チャーター便ではトラックを専用で利用できるため、特殊な形状の商品も柔軟に対応可能です。

また、特殊な荷物に応じた積載方法や固定措置を取れるため、荷物の安全性が向上します。製品の形状やサイズに制約がある場合でも、チャーター便を活用すれば効率的かつ安全な輸送が可能です。

安全に商品を輸送したいとき

チャーター便は、破損や品質劣化のリスクを最小限に抑えたい場合に最適な輸送方法です。精密機器や骨董品、絵画など代替が利かない商品の輸送には特に向いています。

また、温度や湿度の管理が必要な芸術品や食品にも対応可能です。混載便では避けられない荷物同士の接触や揺れによる破損リスクを回避できるため、品質を重視する荷主にとって信頼性の高い輸送手段と言えるでしょう。

大量の荷物を輸送したいとき

チャーター便の料金はトラック1台単位で設定されており、混載便のように荷物量が増えるごとに費用が高くなる心配がありません。そのため、荷物が多いほど商品1個あたりの輸送コストを抑えられます。

また、一括で輸送することで積卸しの回数を最小限に抑えられ、輸送効率も向上します。特に大ロットで生産を行う工場や大量発注が必要な小売業者にとって、効率的かつ経済的な選択肢となります。

発着時間を指定したいとき

チャーター便は、目的地まで直行する特性を活かし、発着時間の指定が必要な場合に効果的です。混載便では対応が難しい深夜や早朝の配送が可能なので、特定の時間帯での受け取りが求められる取引先のニーズにも応えられます。

また、貸切運送のため、到着時間の精度が高い点もメリットです。緊急時や重要な納品スケジュールにも対応可能で、取引先との信頼関係を損なうことなく輸送を実現します。


3. チャーター便を利用するメリット

次に、チャーター便を利用するメリットを解説します。

チャーター便は専用車両で運行されるため、他の荷物との調整は必要ありません。荷主の要望に応じた細かなスケジュールや配送ルートの指定が可能です。

また、目的地まで直行するためリードタイムが短縮され、急ぎの配送や時間指定が求められる場合に最適です。自由度の高さにより、顧客満足度の向上や効率的な輸送計画が実現でき、特にEC事業者や製造業者にとって有益な選択肢と言えます。

荷物の破損・紛失のリスクが低い

チャーター便は他の荷主の荷物と混載しないため、破損や紛失のリスクが低い輸送方法です。荷物は専用車両で直行便として運ばれるため、積卸し作業も基本的に1回で済み、荷物同士の接触や衝撃による破損リスクが低下します。

また、荷台スペースを自由に使えるため、積載方法を工夫して安全性を高められます。精密機器や食品など、取り扱いが難しく破損が許されない荷物の輸送にも最適な選択肢と言えるでしょう。

一度に大量の荷物を運搬できる

チャーター便はトラック1台を専用で使用するため、荷台全体を効率的に活用できます。積載スペースの制約が少なく、大量輸送が必要な場合でも柔軟に対応可能です。

大量の出荷が必要な工場や小売業者にとって、効率的かつ信頼性の高い輸送手段です。

特殊な荷物を配送できる

チャーター便は混載が不要なため、特殊な条件が求められる荷物の配送に最適です。例えば、冷蔵・冷凍が必要な食品や壊れやすい美術品、高圧ガスや化学薬品といった危険物など、通常の配送方法では難しい品物にも対応できます。

ただし、運送会社によって対応できる商品の種類が異なるため、依頼する際には事前に詳細を確認しましょう。


4. チャーター便を利用するデメリット

次に、チャーター便を利用するデメリットを2つ解説します。

少量荷物の場合、コストが割高になるリスクがある

チャーター便はトラック1台単位で料金が設定されるため、荷物がトラックの積載容量を満たさなくても料金は変わりません。少量の荷物を運ぶ場合にはコストが割高になるリスクがあります。

また、冷蔵・冷凍など温度管理が必要な荷物の場合、異なる温度帯ごとに複数台のトラックを手配する必要があり、費用がさらに増加します。輸送コストを抑えるためには、荷物量に応じたトラックサイズの選定や事前の見積りが重要です。

繁忙期には車両の確保が難しい

チャーター便は新年度や年末年始、セール期間など配送需要が集中する繁忙期には、手配が難しくなるケースがあります。多くの荷主が同時期に利用を希望するため、希望日時にトラックを確保できないリスクに注意しましょう。

特に物流業界の繁忙期は予約が殺到するため、希望通りのスケジュールで利用するには早めの対応が欠かせません。繁忙期にチャーター便を利用する場合は、運送会社と事前に詳細な打ち合わせを行い、計画的にスケジュールを調整することをおすすめします。


5.まとめ

チャーター便は、特定の荷主が車両を貸し切り、荷物を直行配送する柔軟性の高い輸送手段です。特殊な形状の商品や精密機器、大量の荷物の輸送に適しており、安全性や配送スピードを重視する場面で利用されています。

一方で、少量荷物の場合に発生する割高なコストや、繁忙期の車両確保の難しさといったデメリットもあります。チャーター便を活用する際は、メリット・デメリットを十分に理解したうえで、最適な利用計画を立てることが大切です。


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