【セミナーレポート】食品物流の持続可能かへ、スーパーマーケットが立ち上がる!~その①平和堂のチャレンジ/関西SM物流研究会の取り組み~

【セミナーレポート】食品物流の持続可能かへ、スーパーマーケットが立ち上がる!~その①平和堂のチャレンジ/関西SM物流研究会の取り組み~

ハコベルでは、エルテックラボ代表の物流ジャーナリスト 菊田一郎氏をホストに、毎月対談ウェビナーをお届けしています。2026年2月のゲスト講師は、関西SM物流研究会の座長を務める株式会社平和堂物流部長の財田晃様。持続可能な食品物流のために、どのような取り組みを行っているのか伺いました。

この記事でわかること

  • 関西SM物流研究会の取り組み
  • 納品車両の待滞在時間削減に向けた平和堂の取り組み
  • 平和堂のサプライチェーンマネジメント改革

株式会社平和堂 物流部長

財田 晃 氏

1990年大学を卒業後、家電メーカー系物流会社に入社

家電、電子部品、家庭雑貨品の取引先窓口をはじめ入出荷・配送管理及び現場作業改善や効率化を担当。

2011年に家電メーカー物流改革プロジェクトの中心メンバーとして、主に新拠点倉庫(約30,000坪)の保管・荷役部門の立上げに従事。

2014年からは家電量販店物流センター、2017年からは家電メーカー西日本地区物流センター長として従事。

2021年株式会社平和堂に入社し物流部長

2024年からは関西SM物流研究会座長の併せ活動している。


エルテックラボ L-Tech Lab 代表

物流ジャーナリスト 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年間勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体役員等を兼務歴任。この間、国内・欧米・アジアの物流現場・企業取材は1,000件以上、講演・寄稿など外部発信多数。

2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化/DX、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスし、著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より株式会社大田花き 社外取締役、20年6月より23年5月まで株式会社日本海事新聞社顧問、20年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。



菊田氏の聞きどころ解説

冒頭は菊田氏の前振り解説。今回のウェビナーが日本スーパーマーケット協会の協力を得ていることを伝えるとともに、本日のゲスト講師と聞きどころについて説明しました。

「本日の講師は、株式会社平和堂の財田晃さんです。平和堂は滋賀県彦根市に本社を置き、関西・東海・北陸に展開するスーパーマーケット。物流部長の財田さんは業界団体「関西SM物流研究会」の座長を務めているので、平和堂さん独自の取り組みについてはもちろん、業界での取り組みについてもお話しいただきます」

ポイントとして、物効法が定める3大(努力)義務を実践するための取り組みの中から、以下項目の事例が紹介されることを伝えました。

共同配送、リードタイムの確保、納品日の集約等    ⇒ 積載効率の向上

トラック予約受付システム              ⇒ 荷待ち時間の短縮

パレットの統一、フォークリフトや作業員の適切な配置 ⇒ 荷役等時間の短縮


そして、地球と物流の持続可能化を阻む課題を列挙。

1.ドライバーが足りない

2.物流現場で働く人も足りない

3.気候破壊で地球が危ない

「これらの難題解決と怒涛の法改正に、平和堂さん、関西SM物流研究会はどう取り組んでいるのでしょうか。株式会社平和堂の物流部長、財田晃さんのお話を聞きましょう」


関西SM物流研究会の取り組み

財田晃氏が登壇し、関西SM物流研究会の説明からスタートしました。2023年3月に首都圏SM物流研究会が発足。同年10月にSM物流研究会に名称変更、2024年3月に平和堂が参画し、同年12月に関西SM物流研究会が発足しました。SM物流研究会の中に首都圏・関西のグループがあり、参画企業はどちらかのグループに所属する形になっています。


SM物流研究会の参画企業は現在24社。サプライチェーン全体(製・配・販)の効率化を目的に、物流課題の協議を主な活動内容としています。関西でスーパーマーケットを展開する4社で始めた関西SM物流研究会の参画企業は、現在6社。毎月会合を開き、活動内容は東西の研究会で共有しています。


SM物流研究会の活動方針は以下の3点です。


「②にコンプライアンス重視とあるように、独禁法に抵触しないよう十分留意。国交省や経産省、農林水産省などの方もオブザーバーとして参加していただき、公正な活動に徹しています」と財田氏は話します。物流効率化を目指し、以下7つの施策に取り組むことが参加条件です。


最初からすべての入会条件を満たしている必要はなく、取り組む意思が明確であれば順次対応で問題ないとのこと。ただし、⑦のトップ合意は必須条件です。

各社のセンター見学を通じて課題を共有し、さまざまな運営方法やノウハウを学んで解決に活かしています。財田氏は「小売り起点の団体ですが、めざしているのは製・配・販が協力し合って物流課題を解決すること。これまでメーカーさんや卸さんとの意見交換を行ってきて、スーパー側の言い分、向こうの事情を互いに伝え、理解した上で改善を進めています」と話し、サプライチェーン全体の取り組みであることを強調しました。



同研究会は車両滞在2時間超え撲滅に注力し、成果は数字に表れています。1運行で2時間以内に抑えるには、1カ所で1時間以内にする必要があります。2024年10月から1年間の荷待ち時間を見ると、繁忙期の12月と8月は若干多いものの、ほぼ達成できています。

改善に大きく貢献したのは、トラック予約受付システム。運用上の課題を改善することで、うまく活用できているといいます。「システムを入れるだけではダメ。運用しながら、細かい課題を解決し、効果につながる運用方法を設計することが重要です」と財田氏は話します。


平和堂における取り組み 納品車両の待滞在時間の削減

平和堂でも2時間を超える車両滞在の撲滅に力を入れています。同社の物流部には「パレタイズ分科会」と「作業改善分科会」があり、それぞれメーカーと運送会社を対象に効率化の取り組みを促しています。


パレタイズ化により、高積みされた荷を下ろした後に段落としの作業が発生することはありますが、バラ下ろしによる長時間作業は解消できています。ロット品も種類ごとに細かく積み分けてパレタイズ化。多賀センターと久御山センターでは、滞在車両ともに大幅に改善しました。

久御山センターでは2024年9月から、入荷時のバラ卸ろし作業の無償補助を実施。ドライバーのみの作業で一定時間を超えるとアラームが鳴るようにして、補助を入れて間に合わせるようしています。その後、多賀センターでも同様の作業を実施して作業時間を削減しています。



長時間の荷役時間の大きな原因は、バラ積み商品の荷下ろし作業です。その商品の大半を占めるのは軽量の菓子と即席麺。「パレットサイズの違いもあってなかなか取り組みが進みませんでしたが、2025年9月頃から徐々に改善され始め、2026年1月には2時間超の作業のゼロ化に成功しました。残る課題の解決に向けて、引き続き全力で取り組んでいきます」と財田氏は力を込めます。



1.玉子ベンダーの長時間作業

ドライバーが店舗別に仕分けるため、納品時に4時間以上の長時間作業が発生。コスト面での調整が必要ですが、総量納品にしてセンターで仕分け(有償)を行う方向で現在改善協議を進めています。運搬導線を考慮した荷受け場所の変更も負担軽減につながりました。

2.即席めんメーカーのバレットサイズ不統一

パレットの不統一による発生しているバラ積み・降ろしが課題で、メーカーにパレタイズ納品を要請するも了承を得られなかったためメーカーの物流委託先と直接交渉していました。そうしているうちに、メーカーもドライバーの拘束時間短縮への対応や車両確保への対応に頭を悩ませるようになりました。そんな変化もありつつ、まずはパレットでの保管が不要な特売商品から始めることになり、2025年10月から特売商品1,500ケース以上の納品時にはパレタイズ納品することで合意しました。

3.菓子メーカーの小ロット・混載

軽量・小ロットの菓子は共同配送が一般的。多いと20社ほどの荷を積み合わせているため、パレット化が困難です。メーカーごと、品番ごとに降ろすため、ドライバーの作業が長時間化。解決のため、運送会社で協議を進めているところです。


サプライチェーンマネジメント改革① 加工食品のリードタイム延長

同社では2024年から2025年にかけて、加工食品のリードタイムをLT3(翌々々日納品)に変更。「元々LT1(翌日納品)でしたが、センターは朝6時に見て初めて物量を知るため対応に困ることが多く、リードタイムの延長を考え始めました」と財田氏。何より、いずれお金を出してもモノを運べない時代が来る。そんな危機感があったといいます。

平和堂には欠品や在庫増加というリスクが考えられましたが、卸とメーカーにはほぼデメリットがないことが予想されました。加えてセンターにも、事前準備がしやすくなるなどのメリットが見込めました。



そこで財田氏がLT2(翌々日納品)への変更を提案すると、社長からは「本当にそれでいいのか?それだとLT2の卸企業やメーカーと連動しないのでは? サプライチェーン全体を考えたリードタイムを考えた方が良い」という話があり、LT3(翌々々日納品)導入を目指して検討する事となりました。


その様な経緯の中でLT3に進めることになり取り組みを始めました。

「当初はなかなか理解を得られず、社内調整に苦労しました。なんとか2023年に実証実験にこぎつけ、店舗では問題が起きないことを確認しながら進めました。最初は品切れも在庫増も起こりましたが、どの店舗も1カ月くらいやると運用がついてきて回るようになりました」と財田氏は振り返ります。



リードタイムの延長を進める中で、欠品の原因は品ぞろえにもあることがわかり、商品部に提案してアイテムの絞り込みも実施。結果として物流分野にとどまらない取り組みになりました。

「いろいろな企業の取り組みを見ていますが、LT2がようやく広まり始めた現状で、LT3を実現している平和堂様のお取り組みには本当に驚かされます」と菊田氏もLT3実現のすばらしさを強調しました。


サプライチェーンマネジメント改革② 日配品・ハムソーのリードタイム延長

日配品・ハムソーのリードタイム延長にも半年以上前から取り組んでいます。めざすのはLT1(翌日納品)からLT2(翌々日納品)への変更です。



夜間の荷受け作業は人員確保が大変な上に22時以降は割増賃金。センターのメリットは元々ありませんでした。これを日中にシフトしてリードタイムを延長すれば、構内作業者もトラックも確保しやすくなり、深夜割増のコスト削減が見込めます。また、発注数の確定によりメーカーも製造ロスを減らせます。

22時の作業完了をめざし、2025年7月に取引先にセンター納品時間の前倒しを依頼。Win-winの取り組みとなるよう、取引先別に納品時間の変更を調整しているところです。



リードタイム延長により懸念された、店舗での在庫の増加、品切れの増加、値下げ廃棄の増加は、7店舗でのテストで検証。それぞれ対策を打って解決しています。


配送を集約して積載率アップ! 物流コストを削減

最後に、輸送コスト削減のために行っている3つの取り組みをご紹介します。


1つめは生鮮センターです。市場休のため物量が少ない水曜日の配送を2便から1便に集約するため、7店舗でテストを実施。本番に向けて現在は20店舗でテストを行っています。


2つめは生鮮品とチルド品の集約配送です。生鮮品とチルド品は配送委託先が違うため別々に配送していましたが、2便とも積載量が少ないため、生鮮センターと久御山チルドセンターの配送を集約しました。



3つめは北陸地域でのデポの運用廃止。複雑な運用をシンプルにすることを検討中で、実現すれば11便を9便に減らせる見込みです。「効率的な輸送によりコストを減らし、同時にCO2削減、積載率向上、ドライバー拘束時間の削減につなげていきます」と財田氏。



最後は菊田氏が「取り組みを進めるにあたって避けては通れない様々な課題を、社内の他部署や取引先と調整をしながら、一つひとつきめ細かく対応されている点が非常に素晴らしい。日本の小売業界をリードする取り組みだと思います。多くの会社にぜひ参考にしていただきたいです」と締めくくりました。




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