1. OMSとは

OMS（Order Management System）は、受発注業務の自動化、在庫の最適化、出荷管理の効率化を実現するシステムです。ここではOMSの基本機能とWMS・TMSとの違いについて解説します。

OMSの基本機能

OMSの基本機能には、受注管理、在庫管理、出荷管理、顧客管理などがあります。

受注管理

受注管理では、複数の販売チャネルから入ってくる注文情報を一元管理し、リアルタイムで注文状況を把握することができます。これにより、注文処理の迅速化と人的ミスの削減が可能です。

在庫管理

在庫管理機能では、複数の倉庫や販売チャネルの在庫を一元管理し、リアルタイムで在庫の把握と調整が行えます。これにより、在庫切れによる販売機会の損失を防ぎ、適正な在庫を維持することができます。

出荷管理

出荷管理機能では、注文に基づいてシステム上でピッキングリストを生成し、配送会社と連携してラベル作成や追跡番号の発行を自動化します。さらに、出荷状況をリアルタイムで更新し、顧客にも進捗を通知します。これにより、出荷業務の効率化と顧客への迅速な配送が実現できます。

顧客管理

顧客管理機能では、顧客情報や注文履歴を一元管理し、顧客からの問い合わせなどに迅速に対応することで、顧客満足度の向上を図ることができます。

OMSの在庫管理機能を活用し、在庫切れによる機会損失を削減することも可能です。OMSの基本機能を活用することで、受発注業務の効率化と在庫管理の最適化を実現できます。EC市場の拡大と業務の複雑化が進む中、OMSは競争力強化に欠かせないシステムと言えるでしょう。

WMS・TMSとの違い

OMSは受発注業務に特化したシステムであり、WMS（倉庫管理システム）、TMS（輸配送管理システム）とは異なる役割を持ちます。

WMS（倉庫管理システム）は在庫や倉庫内の作業を管理し、TMS（輸配送管理システム）は配送ルートや輸送コストを最適化します。一方、OMSはこれらのシステムと連携し、受発注業務を一元管理する点が特徴です。

関連記事▶WMSとOMSの違いとは？連携によるメリットと注意点、OMSの選び方も解説

2. OMS導入のメリット

OMS導入のメリットには、業務効率化、在庫最適化、顧客満足度の向上などがあります。

業務効率化

受発注業務の自動化により人的ミスを削減し、作業時間を大幅に短縮できます。注文情報の入力や確認、在庫の引当、出荷指示などの手作業も自動化されるため、担当者の工数を削減し、業務の生産性を向上させることができるでしょう。

在庫最適化

リアルタイムの在庫管理を行うことで、在庫切れや過剰在庫を防ぎ、在庫関連コストを削減できます。OMSは、複数の倉庫や販売チャネルの在庫を一元的に管理し、需要予測に基づいた適正な在庫配分を可能にします。

これにより、在庫切れによる販売機会の損失を最小限に抑えつつ、過剰在庫によるコストの増大を防ぐことができるでしょう。

顧客満足度の向上

OMSを導入することで顧客満足度の向上も期待できます。注文状況や出荷状況をリアルタイムで把握できるため、顧客からの問い合わせに迅速かつ的確に対応できます。また、正確な在庫情報に基づいた納期回答や、出荷の遅延防止など、顧客への確実な対応が可能となります。

これにより、顧客満足度とリピート率の向上につながることが期待されます。

コスト削減

OMSの導入はコスト削減の効果も見込めます。受注処理や在庫確認、出荷指示などの業務を自動化することで人的コストを削減し、リソースを他の業務に集中させることができます。また、適切な在庫管理は、倉庫スペースの有効活用や在庫保有コストの削減を実現するでしょう。

3. OMS導入の注意点

OMS導入では導入コスト、従業員教育、既存システムとの連携などに注意する必要があります。

導入コストの特定

OMSの導入には、初期費用やカスタマイズ費用、データ移行費用、トレーニング費用、サポート費用など多岐にわたるコストが発生します。クラウド型の場合は月額利用料、オンプレミス型の場合はシステムの保守管理費用も考慮する必要があります。各費用を細かく見積もり、総コストの把握を行うことが大切です。

さらに、投資対効果をシミュレーションし、OMS導入によって得られる効率化やコスト削減効果が初期費用に見合うかを検討しましょう。

戦略的な導入計画

導入プロセスが曖昧だと、スケジュールや業務に影響する可能性があります。OMS導入の目的やKPI（受注処理時間の短縮、在庫回転率の向上など）を明確にし、導入計画を策定することが必要です。導入のステージごとに具体的な目標とスケジュールを設定し、担当者を明確化しましょう。

システムの統合

OMSと既存システムとの連携がスムーズでないと、業務に支障をきたす可能性があります。連携するシステムとのデータ形式やAPIの互換性を事前に確認し、統合計画を作成します。必要に応じてテスト環境で連携テストを行い、連携による課題を解決してから本番環境に移行することが重要です。

従業員教育の実施

新しいシステムの導入では、従業員が慣れるまでに時間がかかることが多くあります。教育が不十分だとシステムが正しく活用されず、OMS導入による効果が十分に発揮されないリスクもあるでしょう。OMSの基本操作から業務に沿った具体的な使用方法まで、従業員向けのトレーニングが欠かせません。初期段階ではマニュアルや操作ガイドを配布し、実際の業務フローに沿ったハンズオントレーニングを行うことで、従業員がOMSの操作に慣れるようサポートします。

4. まとめ

OMSは受発注業務の自動化、在庫最適化、出荷管理の効率化を実現するシステムです。EC市場の拡大と業務の複雑化に対応するための重要なシステムとされています。

また、注文状況や出荷状況をリアルタイムで把握できるため、顧客満足度の向上にも貢献するでしょう。OMSを導入することで、受注処理時間の削減や在庫回転率の向上、顧客満足度の改善が期待できます。

一方で、導入コストや従業員教育、既存システムとの連携などに注意も必要です。自社のニーズに合ったOMSを選定し、計画的に導入することが重要です。OMS導入のメリットや注意点を理解し、自社の課題に合わせて最適なシステムを検討してみてはいかがでしょうか？