2024年12月12日
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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットや最新トレンドを解説

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットや最新トレンドを解説

物流業務では、WMS(倉庫管理システム)が在庫管理や入出庫作業の効率化を支える基盤として活用されています。企業はリアルタイムで在庫を可視化し、作業ミスを防ぎながら迅速な出荷を目指しています。WMSを導入すれば倉庫内の業務が一元管理され、繁忙期や需要変動にも柔軟に対応できる仕組みを構築できるでしょう。

本記事では、WMSの主要な機能や基幹システム(ERP)・WCS・TMSなどとの違いを説明し、企業が抱える物流課題にどのように応えられるかを解説します。さらに具体的な導入事例を取り上げ、WMSがもたらす成果を紹介します。

この記事でわかること

  • サプライチェーンマネジメントの基礎知識

1. サプライチェーンマネジメントとは

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、原材料の調達から製造、消費者に届くまでの一連の流れを最適化して、管理する手法のことです。

日本産業規格(JIS)では「資材供給から生産、流通、販売に至る物又はサービスの供給連鎖をネットワークで結び、販売情報、需要情報などを部門間又は企業間でリアルタイムに共有することによって、経営業務全体のスピード及び効率を高めながら顧客満足を実現する経営コンセプト」(※)と定義されています。

また、サプライチェーンには、サプライヤー・メーカー・物流業者・小売業者などの企業が関わっており、各段階で「モノ」「金」「情報」を共有して連携することが重要です。在庫管理の最適化やコスト削減を実現し、需給バランスを保ちながら顧客満足度を向上させることを目的としています。

※出典:日本産業規格,Z8141:2001 生産管理用語,p9

サプライチェーンマネジメントの全体像

サプライチェーンマネジメントは、主に以下のプロセスで構成されています。

計画業務

需要予測をもとに、販売・生産・調達計画を策定します。自社内外のデータを共有することで、実現性の高い計画を立案します。

実行業務

計画に基づいて販売・製造・調達・物流などを実行し、品質・コスト・納期の最適化を図ります。

評価業務

計画と実行の成果をKPIで評価し、PDCAサイクルを回して改善します。

ネットワークデザイン

調達や物流の外部パートナーとのネットワークを最適化し、競争力を高めます。

一連の業務を通じて、サプライチェーン全体の効率化と最適化を図り、利益最大化を目指します。

サプライチェーンマネジメントが必要とされる理由

サプライチェーンマネジメントが必要とされるのには、以下4つの背景があります。

ビジネスモデルの変化

フードデリバリーやネット通販の普及により、顧客のニーズが多様化したことで、従来以上に迅速で正確な供給が求められています。

社会のグローバル化

複数の国から原材料を調達し、生産、販売する体制が一般的になっていることに伴い、サプライチェーン全体を効率的に管理する必要性が高まっています。

競争の激化

国内外の競争が激しくなるなか、コスト削減や迅速な対応が競争優位を保つ鍵となっています。

人手不足

少子高齢化による労働力の減少が、深刻な課題になっています。

2. サプライチェーンマネジメントの手法を活用するメリット

サプライチェーンマネジメントの手法を活用することには、5つのメリットがあります。

物流コストの削減

企業はサプライチェーン全体を最適化し、物流コストを削減できます。例えばリアルタイムで在庫や販売状況を把握できれば、余剰在庫や運送コストの削減につながります。また、複数の工場や店舗に同一の配送業者が一括で商品を配送することで、配送ルートや積載率の改善も期待できます。

生産性の向上によるリードタイムの短縮

需要予測をもとに各プロセスの計画を立てられます。これにより無駄が削減され、各プロセスのリードタイム短縮が可能です。結果、製品を迅速に消費者へ届けられるようになり、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

在庫管理の最適化

リアルタイムの需要予測や情報共有が可能になり、在庫管理を最適化できます。これにより、過剰在庫によるコストの増加や在庫不足による機会損失を防ぎ、適切な在庫数を維持できます。

無駄を減らしながら需要に応じた柔軟な供給が可能になるため、売れ残りや欠品を防止し、売上の拡大とコスト削減につながるでしょう。

人的リソースの最適化

サプライチェーン全体の情報が一元化され、業務状況が可視化できます。結果、リソースの過不足や課題を早期に発見し、適切な対応・改善が可能です。

特に人手不足が課題となる現場では合理的な人員配置が行えるため、繁忙期と閑散期のリソースのバランスも最適化できます。人的リソースを最大限に活用し、全体の効率化を図れるようになるでしょう。

企業の信頼性向上

サプライチェーンマネジメントを活用することで、市場の変化や顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応できます。同時に供給プロセスを最適化することで、商品の欠品や配送遅延といったリスクを軽減できるでしょう。

また、透明性が向上し、顧客は注文状況を確認できるため、企業への信頼が高まります。顧客との信頼構築は、リピーターの増加や顧客満足度の向上にもつながります。

3.物流業界におけるサプライチェーンマネジメントの最新トレンド

インターネット通販の普及によって、物流業界では持続可能な事業運営が求められていますが、実現には現場の人手不足や環境問題などの解決が不可欠です。こうした課題への対策が、今まさに業界の重要なトレンドとなっています。

そこで最後に、物流業界のサプライチェーンマネジメントにおける最新トレンドを紹介します。

サプライチェーンマネジメントのデジタル化

サプライチェーンマネジメントのデジタル化とは、AIやIoTなどを活用して従来の手作業中心の業務を自動化し、リアルタイムでデータ管理を行う取り組みです。デジタル化により、在庫管理や需要予測の精度が向上し、物流プロセスの最適化が可能になります。

また、インダストリー4.0の技術を導入することで、各プロセスの透明性と迅速な対応力が向上します。結果、サプライチェーン全体の効率性と俊敏性が改善され、人手不足への対処や顧客満足度の向上につながるでしょう。

グリーンロジスティクス

グリーンロジスティクスは、サプライチェーン全体で環境負荷を最小限に抑える物流戦略のことです。CO2排出量の削減や再生可能エネルギーの活用、リサイクル資材の利用などを通じて、持続可能なサプライチェーンを構築します。

AIやIoT技術を駆使し、効率的な配送ルートの計画や在庫管理を実現することで、企業はコスト削減と環境への配慮を両立できます。また、環境負荷に対する取り組みの透明性を確保することで、消費者や取引先からの信頼を高め、企業ブランドの価値向上にもつなげることができるでしょう。

4.まとめ

サプライチェーンマネジメント(SCM)は、物流業界において企業の競争力を向上させ、効率的かつ持続可能な事業運営を実現する鍵です。SCMを導入することで、在庫管理の最適化やリードタイムの短縮が可能になり、ビジネスの機会損失を防げます。

また、AIやIoTなどのデジタル技術の活用により、正確な需要予測や人的リソースの最適化が可能になることで、業務全体の効率化が期待されています。さらに、グリーンロジスティクスを取り入れることで環境負荷を軽減し、持続可能なサプライチェーンの構築にも貢献するでしょう。

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