【セミナーレポート】現役トラック・物流Gメンご登壇!トラック・物流Gメンのチェックポイントと対策を解説

【セミナーレポート】現役トラック・物流Gメンご登壇!トラック・物流Gメンのチェックポイントと対策を解説

日本の物流業界は、持続的成長を見据えた今、大きな転換期に立っています。物効法やトラック法の施行に加え、2026年1月からは中小受託取引適正化法もスタート。荷主企業・物流事業者には個別対応ではなく、法改正全体を理解した上での対応が求められます。今回のウェビナーでは、通常は表に出る機会の少ないトラック・物流Gメンをお迎えし、実際に行われている是正指導の内容やその対策方法を解説していただきました。

この記事でわかること

  • 「2024年問題」対応に向けた、近年の法改正の動き
  • トラック・物流Gメンが語る運送業界の現状
  • トラック・物流Gメンが行う「是正指導」のポイント

ハコベル株式会社物流DXシステム事業部

物流DXシステム事業部 広報・マーケティング統括

渡辺 健太 氏

新卒で企業向け人材育成サービスを提供する企業に入社。法人営業に従事した後、新規事業立ち上げの責任者、産学官連携プロジェクトのプロジェクトマネージャーなどを経験。

その後、中国市場向けマーケティングを支援する企業に移り、引き続き新規事業立ち上げを行いつつ、中国上海にて現地子会社COOとしてPMI業務にも従事。

2021年にハコベルに参画。物流DXシステム事業部にてフィールドセールス・カスタマーサクセスを経験後、現在は主にマーケティング統括を担当。



「2024年問題」対応に向けた、近年の法改正の動き

冒頭はハコベルの渡辺より、物流の「2024年問題」を背景とする昨今の大きな法改正の動きについて説明を行いました。

大きな改正としては①物資の流通の効率化に関する法律(物効法)、②貨物自動車運送事業法(トラック法)、③中小受託取引適正化法(取適法)、④トラック新法 の4点となり、荷主企業・物流事業者ともに様々な対応が求められます。


物効法のポイントは以下の3点になります。

・積載効率の向上(1回の運送でトラックに積載する貨物量を増加)

・荷待ち時間の短縮(ドライバーが到着した時間から荷役等の開始時間までの待ち時間を短縮)

・荷役等時間の短縮(荷役〈荷積み・荷卸し〉等の開始から終了までの時間を短縮)

上記においては、すでに2025年4月から荷主企業・物流事業者に努力義務が課されており、対応はすでに始まっています。一方、特定事業者については2026年4月から中期契約書の作成や定期報告等、具体的な義務対応が求められる予定です。

荷主企業と運送事業者の間で適正な契約書を取り交わし、実運送体制管理簿を整備することで多重下請構造の是正を目指すものです。

一方、取適法も従来の「下請代金支払遅延等防止法」を改正し、運送事業者に対して価格転嫁や価格協議の場を設けることを荷主側に求める内容となりました。いずれも、取り引きの透明性を高め、運送事業者が適正な運賃・料金を収受できる健全な取引環境の構築が狙いです。

一連の法改正を通じて目指すべき方向性は、ハコベルとして次の2点だと考えています。

1)荷主、一般消費者の行動や商慣行変容

2)運送会社、ドライバーの労働環境・労働時間・賃金の適正化

では、これらを実現するためには具体的にどのような行動が必要なのか。そのヒントとして、ウェビナーではトラック・物流Gメンの方をお迎えしました。物流に関する法律が現場で正しく守られるよう取り組む立場から、是正指導の内容と考え方をお聞きし、そこから具体的なアクションや対策につなげていきます。


トラック・物流Gメンが語る運送業界の現状

次に、現役トラック・物流Gメンである九州運輸局自動車交通部貨物課の赤松氏が登壇し、物流業界の現状について説明されました。

現状、日本は国内貨物輸送の約9割を自動車(トラック)に頼っています。しかし、トラックドライバーの労働環境は必ずしも良好とは言えず、他企業と比べて長時間労働・低賃金の傾向が顕著です。その結果、人手不足が深刻になり、ドライバーの高齢化も進んでいます。


こうした中、2024年4月からトラックドライバーの労働環境改善のため、時間外労働の上限が設けられ、拘束時間の管理がこれまで以上に厳格化されました。


トラックドライバーの労働時間が短くなることで、トラックによる輸送能力が低下する「2024年問題」に対して十分な対策を講じなければ、2030年にはトラックの輸送能力が約34%低下する可能性があると試算されています。

こうした中、2024年度、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査が実施されました。


調査によると、トラックドライバー1運行当たりの平均拘束時間は11時間46分で、2020年の前回調査と比べて約40分短縮されています。

主な要因として、運転時間が前回調査時より約50分減少している点が挙げられます。一方で、荷待ち・荷役時間はほぼ変わっておらず、運転以外の拘束時間が長い状況が続いています。つまり、運送事業者の努力だけでは解決が難しく、物流効率化は荷主企業の協力が不可欠だと言えるでしょう。

近年、政府は物流効率化に向けて多様な取り組みを進めています。中でも、2023年6月に策定された「物流革新に向けた政策パッケージ」では、

1) 物流の効率化

2) 商慣行の見直し

3) 荷主・消費者の行動変容

の3点についての具体的施策が示されました。

トラックGメンの設置は(2)商慣行の見直しの具体的な施策の一つであり、貨物自動車運送事業法に基づく是正指導の実効性を確保するため、トラック・物流Gメンが活動しているのです。


トラック・物流Gメンが行う「是正指導」のポイント

2025年10月、トラック・物流Gメンが実施する是正指導の基準や考え方を示した「是正指導指針」が制定・公表されました。

トラック・物流Gメンは、この「是正指導指針」に基づいて活動をしています。是正指導とは具体的にどのようなものなのか、赤松氏からさらに詳しく説明していただきました。

以下は、トラック・物流Gメンと各事業者の関係性を表した図です。


“荷主”=一番左側の発荷主を思い浮かべがちですが、実運送事業者に委託する元請事業者、荷物を預かる倉庫業者など、赤点線の範囲はすべて“荷主”として是正指導の対象となります。

トラック・物流Gメンが監視しているのが、荷主と運送事業者との取り引きの実態です。契約内容や日常的な取り引きにおいて〈違反原因行為〉が確認された場合、該当する事業者に対して是正指導を実施します。

違反原因行為の情報は、国土交通省のHPに設置した投稿窓口や、運送事業者に対して行う電話・訪問調査等で把握しています。下記が、主な違反原因行為の具体例です。トラック・物流Gメンは、これらの行為が荷主企業によって行われていないかを確認し、該当する場合には是正指導へとつなげていきます。



ここからは、違反原因行為がどういうものを指すのか、「是正指導指針」に基づき解説していきます。

1.長時間の荷待ち


違反原因行為の中でもっとも多い事例です。基準は“1時間以上の荷待ち、または2時間以上の荷待ち・荷役等が恒常的に発生している”場合になります。

荷待ち時間の起算点としては、到着時刻の指示がない場合は運送事業者が到着した時刻。指示がある場合は指定時刻または実際の到着時刻です。

荷役については、ドライバーが車両待機や立ち合いなど業務から離れられない時間は含まれ、完全に休憩できる時間は含まれません。異常気象や設備トラブルなど突発的な待ち時間は除外されますが、繁忙期など事前に一定の予測が可能な待機は“恒常的”と判断されます。

2.契約にない附帯業務


附帯業務とは荷造り、仕分け、横待ち、棚入れ、ラベル貼りなど運送そのものとは別途に行われる作業を指します。長時間の荷待ち同様、現場のドライバーが直接かかわるため情報提供が多く、どちらも調査につながりやすいのです。
これらの業務を運送事業者に行わせる場合は、運賃とは別に対価を定め、契約書で合意する必要があります。合意なく附帯業務をさせていれば是正指導の対象です。また、着荷主が指示した附帯業務であっても、発荷主がその事実を把握しながら放置していた場合は、発荷主にも責任があると判断され総合的に是正指導が行われることもあります。

3.運賃・料金の不当な据置き


金額の高低ではなく、運送事業者との交渉姿勢が問われます。根拠を示した運賃交渉に対して十分な説明や情報提供を行わないまま運賃・料金を据え置く、他社水準のみを理由に運賃・料金を据え置く場合などが該当します。国土交通省が示している標準的運賃を基にした自社原価の提示は、根拠があるものと判断されます。

4.過積載運送の指示・容認、異常気象時の運送依頼


過積載運送の指示・容認は、明確な指示がなくても違反原因行為となります。たとえば、過積載になることを荷主が承知のうえで運送を要請した場合や、結果として過積載になるとわかりながら黙認した場合も対象です。また、異常気象時の運送については、事前の取り決めがない場合、国土交通省の通達に基づいて判断されます。これらはいずれもドライバーの命や交通安全に直結する重大な違反行為です。近年は異常気象が頻発しているため、発生後に対応を判断するのではなく、運送可否や対応方針を事前に発着荷主間で定めておく体制づくりが求められます。


5.無理な運送依頼


たとえば改善基準告示を超える運行や、法定速度を守れない到着時刻の設定など。また、改正物流法で義務化された書面交付に荷主企業が協力しない場合も含まれます。さらに、契約にない荷積み・荷下ろしを無償で行わせ、拘束時間が延びることで法令違反につながるケースも無理な運送依頼と判断されます。


是正指導の仕組みを理解し、システムの活用で物流業界の持続性成長へ

トラック・物流Gメンが行う是正指導は、3段階に分けられます。


・違反原因行為の疑いがある段階→「働きかけ」の実施

・違反原因行為を疑う相当な理由がある場合→「要請」として改善計画の提出と対応状況の報告

・「要請」をしてもなお改善されない場合→企業名を公表したうえで「勧告」

これまで全国のトラック・物流Gメンが実施した是正指導は、働きかけ2,194件、要請195件、勧告5件の合計2,394件にのぼると赤松氏は語ります。

違反原因行為を行っている疑いがある荷主企業には、社内での情報共有や実態確認を促す目的で「働きかけ」文書が発出されます。同様の情報が繰り返し寄せられた場合は、要請へ移行する可能性があることも文書に明記されていますので注意してください。

トラック・物流Gメンは、是正指導を行う一方で、

・荷主企業へ直接赴いて周知・啓発活動を行う「荷主パトロール」

・物流問題の解決に向けて事業者間で理解を深めてもらう「説明会の開催」

・トラックターミナルやサービスエリアでの「広報・情報収集活動」

等の活動を行っています。取引環境の是正を通じて、物流業界の公正性・健全性を確保する役割を担う存在といえます。

ハコベルが提供するトラック予約/受付システム「トラック簿」は、まさに荷待ち・荷役時間の短縮に活用できるシステムです。

対策を考えている企業様に対して、積極的に情報共有の場を設けていきたいと考えています。






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