【セミナーレポート】物流・ロジに初のAIエージェント!判断・行動も自動化でCLOを支援 セイノー情報サービスの「LOGISTICS・AGENT」とは?

【セミナーレポート】物流・ロジに初のAIエージェント!判断・行動も自動化でCLOを支援 セイノー情報サービスの「LOGISTICS・AGENT」とは?

ハコベルでは、エルテックラボ代表の物流ジャーナリスト 菊田一郎氏をホストに、毎月ウェビナーをお届けしています。2026年4月28日は、株式会社セイノー情報サービスの早川典雄様をお招きし、同社が開発を進める物流業界初のAIエージェントが担う役割、そしてAIエージェントの登場がもたらす変革について伺いました。

この記事でわかること

  • 物流業界においてAIエージェントが担う役割
  • AIエージェントの登場がもたらす変革
  • 物流初のAIエージェント「LOGISTICS・AGENT」の開発~進化

株式会社セイノー情報サービス 社長室 参与

早川 典雄 氏

1984年西濃運輸入社。同年にセイノー情報サービスに出向。

同社取締役を経て現職。

ロジスティクスITと食品流通安全管理を専門分野とし、一貫して物流の情報化に取り組んでいる。

JILSロジスティクス経営士。東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科 兼任教員(非常勤講師)。流通経済大学 流通情報学部 非常勤講師。『AI新時代のロジスティクス・エージェント』(共著・2025年)など著書多数。


エルテックラボ L-Tech Lab 代表

物流ジャーナリスト 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年間勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体役員等を兼務歴任。この間、国内・欧米・アジアの物流現場・企業取材は1,000件以上、講演・寄稿など外部発信多数。

2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化/DX、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスし、著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より株式会社大田花き 社外取締役、20年6月より23年5月まで株式会社日本海事新聞社顧問、20年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。



菊田氏の聞きどころ解説

冒頭は菊田氏の前振り解説。ゲスト講師と聞きどころについて説明しました。

本日のテーマはAIエージェント。物流統括管理者/CLOを補佐する役割が期待されています。


物流センターの自動化を3ステップで表すと、①情報のデジタル化、②データに基づく意思決定、③意思決定の自動化となります。デジタル化によって情報の一元管理が可能となり、そのデータに基づいてセンター長が運営上の意思決定を行います。

その先には、意思決定すらAIに任せられる時代が待っています。「AIが自律的に最適化を判断・指示する③が実現すれば、究極の物流センターとなるでしょう。今日のお話で、これがどこまで実現できるのか聞けるのではないかと思います」と菊田氏は期待を寄せます。

「人手不足に加え、物流業界では多くの役割を求められるCLOの業務もありますし、気候変動が進む社会においてはCO2の削減も求められています。こうした課題に、セイノー情報サービスさんのAIエージェントはどんな解決策を提示されるのでしょうか? 今日のゲスト講師に解説いただきましょう」


はじめに ~AIエージェントとは~

早川氏が登壇し、まず株式会社セイノー情報サービスと自身について簡単に紹介しました。セイノー情報サービスは、セイノーホールディングス株式会社100%出資の子会社。西濃運輸電算室から独立する形で設立され、今年で43年目となります。コンサルティングサービス、ロジスティクスITサービス、アウトソーシングサービスの3つのサービスを提供。設立時から同社で働いてきた早川氏は、昭和・平成・令和と一貫して物流の情報化に取り組んできました。なお、ハコベルも101社ある同グループの一員です。


次に早川氏は、物流におけるこれまでの省人化・効率化の歴史を振り返り、物流・ロジスティクスの現在地を確認しました。輸送の機械化、荷役の標準化、物流管理のシステム化と発展してきて、現在私たちは先進テクノロジーの活用期に突入しています。セイノー情報サービスでは「Bigdata」「Robot」「AI」「IoT」「Sharing」の頭文字を取って「BRAIS(ブライス)」と呼んでいます。

「まずIoTで認知力を高め、集まった情報をビッグデータとして蓄えて近未来を予測し、判断をAIで互換してロボットが作業を代替する。そうやって生産性を上げることがAIエージェントの目的です」と早川氏は説明します。


2025年3月、セイノー情報サービスは物流業界初となるAIエージェント開発の意向を表明し、「LOGISTICS・AGENT」で商標登録を取得したことを発表。こうしてAI元年と言われる2025年は、物流業界にとっても現場業務へのAIエージェント開発が始まった転換の年になりました。

早川氏はAIエージェントを「AIが目標達成に向けて自律的に状況を判断し、計画、ツール活用、学習を行い、人間の代わりに行動するソフトウェア」と位置づけ、状況把握と判断を担う物流現場の責任者を支援するものだと話します。


持続可能な物流を実現するDXの役割

ロジスティクス・SCMを推進する上での課題は何でしょうか。公益社団法人日本ロジスティクス協会が実施したアンケートの結果を見ると、1位の「物流コストの適正化」と2位の「物流・ロジスティクス分野におけるDXへの対応」は3年間同じで、毎年数値が上昇。コストとDX化が喫緊の課題であることが分かります。


働き方改革に団塊世代のリタイアと、人手不足は加速。現場業務を担う人材だけでなく、管理人材も不足し始めています。現在の生産年齢人口は7,000万人台ですが、2040年代には5,000万人台にまで減り、人手不足は今後15年が最も顕著になる見込みです。そこでセイノー情報サービスは、最新技術を組み合わせた組織運営への転換が不可欠だと考えました。


「物流企業は、管理業務も現場作業も、人への依存から自動化への切り替えに取り組む必要があります」と、早川氏は以下の図を示しました。「緑のグラフは計画や運営管理を担うセンター長の減少を、青のグラフは現場作業員の減少を示しています。緑の帯が示す管理業務はAIが補い、青い帯が示す現場作業はロボットが補います。これが2030年に向けたDXの方向性です」


「人間だけで構成されていた組織にAIエージェントが加わることで、人を起点としたピラミッド型の組織から、AIを起点とするフラットな組織へと、組織のあり方も今後5~10年で変わるのではないでしょうか」


さらに2035年以降は、各部門のAIの情報を束ねる統括AIが状況に応じて人やAIを編成するダイナミックな組織運営がなされ、固定された業務フローが流動的かつ最適な業務フローへと変わっていくとの見立てを早川氏は示しました。「サプライチェーンがいずれサプライウェブになると言われているように、現在のような直列的な形から網目状に変化するのではないかと思います」


LOGISTICS・AGENTの開発


現在は開発・実行段階にあり、2026年度第一四半期にβ版をリリース予定。さらに今年度中に横展開可能な標準ユースケース11例を構築し、顧客環境で実証し、2027年度にサービスインを予定しています。


人の代わりに現場の状況を分析・判断し、未来を予測し、課題改善など次のアクションに導く。LOGISTICS・AGENTはそうした役割を担います。このようにAIを有効活用するにはインプットするデータが重要で、顧客情報や輸配送データなどあらゆる情報をデジタル化しておくことが必要です。


LOGISTICS・AGENTは2つの変革をもたらすと早川氏は話します。ひとつは最適化によるコストダウン。管理業務のコストは全体のうち3%にすぎないと見えてしまいますが、全体の最適化を担う管理業務を高度化することで、配車計画や輸送ルート、作業計画や倉庫内の導線など全体の無駄を減らして全体のコストを下げることができます。もうひとつは物流管理者の負担減。「物流管理者を中心とした伝言リレーによる現在の業務は、迅速かつスムーズな物流マネジメントへと変わるでしょう」


セイノー情報サービスが考える業務モデルは、複数のAIエージェントを用いる方法です。各部門に専門AIエージェントを配し、それぞれが日常業務を常時モニタリング。状況判断や意思決定を自律的に行い、統括AIに情報を上げます。そして物流責任者が判断を下す。そういった活用法を想定しています。

開発においては、現場の知見や運用マニュアルなどのデータを取り込み、熟練者のノウハウを誰もが使えるデータに転換。誰もが納得感を持って使えるAIエージェントをめざしています。また、商慣習や例外的な処理に対応に特化したAIエージェントも開発中です。


LOGISTICS・AGENTの適用


煩雑な作業も多い物流現場。アンケートを行って物流センター長にAIエージェントに求める働きを聞いたところ、多くの日常業務が上がりました。ここで開発が完了している3つのユースケースを紹介します。チャット画面を見ることで、LOGISTICS・AGENTを導入した場合の業務をイメージできるでしょう。

① 緊急出荷が発生した場合


担当者が緊急出荷の要望を伝えると、LOGISTICS・AGENTはWMS(SLIMS)の届け先コードを確認して該当商品を検索。商品コードとサイズごとの在庫状況を回答します。そして指示に従ってWMS(SLIMS)に出荷指示を登録し、現場リーダーに緊急出荷の処理を依頼。現場リーダーのスマートウォッチに出荷依頼の伝票番号とともに作業依頼が通知されます。

② 作業に遅れが発生した場合


作業をモニタリングしているLOGISTICS・AGENTは、進捗率から作業終了時間を予想。遅延を検知すると、詳細レポートを添付してその旨を知らせてくれます。担当者が指示すると、対応策の提示と現場リーダーへの作業依頼を実施。現場リーダーはスマートウォッチで依頼内容を確認して実行します。

③ ログインできないユーザーがいた場合

LOGISTICS・AGENTにユーザー情報を伝えると、ログイン履歴を確認し、規定回数を超えてログインに失敗したためアカウントがロックされていることを知らせてくれます。さらに、他にも長期間利用されておらずアカウントがロックされている人が複数名いることを自律的に調べ、通知します。

いずれのケースも、LOGISTICS・AGENTとやりとりをすることでスムーズに対応できていることが分かります。


LOGISTICS・AGENTの進化


まずは戦略参謀という位置づけで、LOGISTICS・AGENTは監視・提案・実行支援でCLOの意思決定を支援。オペレーション統括管理、物流リソースの最適化、異常時判断など多岐にわたる業務を行うCLOのブレーンとして、意思決定の質と速度を高める役割を果たし、持続可能なサプライチェーンを実現していきます。

今後は2028年を目標に自律化レベルを高める予定で、いずれはCLOの意思決定を代替するものとなり、AIが人を支える形から、人がAIを支える形になるかもしれません。


締めくくりとして、早川氏はAI新時代の行動変容について語りました。

「大事なのはIT技術活用、問題解決力、データ活用の3つ。さらに大事なのはチャレンジマインドです。データやAIは、試してみないと価値が分かりません。小さく試し、早く失敗し、速く学ぶこと。完璧を待たないこと。そうしたマインドがより必要になってくると思います。この講演が、少しでもみなさんの参考になれば幸いです」



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