2025年3月31日
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フリーロケーションとは?固定ロケーションとの違いや導入メリット等を解説

フリーロケーションとは?固定ロケーションとの違いや導入メリット等を解説

「フリーロケーション」とは、特定の棚に在庫を固定せず、空きスペースを柔軟に活用する管理手法です。倉庫管理の最適化を目指す企業の多くが注目しています。固定ロケーションと比較してスペースの有効活用や作業効率の向上が期待できる一方、システム導入や管理ルールの策定が必須となります。

本記事では、フリーロケーションの仕組みやメリット・デメリット、運用の課題、導入時のポイントについて詳しく解説します。倉庫運用の最適化を検討している担当者は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • フリーロケーションの概要
  • フリーロケーションのメリットデメリット

1.フリーロケーションとは

フリーロケーションとは、倉庫内で在庫を特定の棚に固定せず、空きスペースを活用して保管する管理方式です。在庫の流動性を高め、倉庫スペースを効率的に活用できるのが特徴です。

この方式では、在庫の場所が一定でないため、倉庫管理システム(WMS)との併用が前提となります。バーコードやRFIDを活用し、リアルタイムでの在庫追跡やスムーズな管理を行います。

関連記事▸WMS(倉庫管理システム)とは?概要や役割・メリット・導入事例を解説


フリーロケーションが求められる背景

EC業界では、多品種少量の商品を効率的に管理する必要があります。特にAmazonや楽天市場などの大手EC事業者は、商品の入れ替えを頻繁に行うため、倉庫の稼働率向上が求められます。その実現に効果的なのが、フリーロケーションを導入して在庫の配置を柔軟に変更することです。

また、倉庫賃貸費用の高騰もフリーロケーションが増えている要因の1つです。固定ロケーションでは使われない棚が生じることもありますが、フリーロケーションなら空きスペースを最大限に活用でき、運営コストを抑えられます。

人手不足が深刻化する物流業界では、倉庫作業の効率化が不可欠です。フリーロケーションと倉庫管理システムを組み合わせることで、出荷対応の迅速化につながるでしょう。

固定ロケーションとの違い

それぞれの特徴を比較してみましょう。


項目

固定ロケーション

フリーロケーション

保管方法

商品ごとに特定の棚を割り当てる

空きスペースを柔軟に活用

メリット

在庫の場所が明確、管理が容易

倉庫スペースの有効活用、在庫回転率向上

デメリット

スペースに無駄が生じやすい

システム管理が必須、運用ルールの徹底が必要



フリーロケーションが適している倉庫

フリーロケーションは、在庫の回転が早い業界や多品種を扱う倉庫で特に効果を発揮します。


たとえばEC・通販業界では、季節ごとに取り扱う商品が大きく変動するため、フリーロケーションが適しているでしょう。また、食品業界では賞味期限の管理が必要であり、在庫の流動性が高いため相性が良いです。製造業においても、多種多様な部品を管理し、必要に応じて補充する必要があるため有効です。


2.フリーロケーションのメリット

倉庫運営の効率化を図る上で、フリーロケーションは重要な手法の1つです。本章では、フリーロケーションの導入による具体的なメリットについて詳しく解説します。

倉庫スペースの最適化

フリーロケーションでは商品ごとに固定の棚を設けないため、倉庫内の空きスペースを柔軟に活用できます。固定ロケーションの場合、使用しない棚が生じやすく、スペースの無駄が発生することがあります。フリーロケーションを導入し、在庫状況に応じて保管場所を変更すると効率的なスペース利用が可能です。

また、季節ごとに需要が変わる商品や販売量が不安定な商品の管理にも適しています。セールや繁忙期には、出荷頻度の高い商品を手前に移動させることで、作業効率を上げることができます。

在庫精度の向上

フリーロケーションの効果的な運用には、倉庫管理システム(WMS)の導入が欠かせません。バーコードやRFIDを活用すると在庫の正確な位置をリアルタイムで把握できるため、管理ミスを防ぐことができます。


従来の手作業では記録ミスや在庫ズレが発生しやすく、誤出荷や欠品のリスクがありました。倉庫管理システムの導入によって在庫の登録や更新作業を自動化でき、正確な管理が可能になります。


さらに、AIやIoTを活用すれば需要予測に基づいて在庫配置を最適化し、欠品や過剰在庫のリスクを軽減することも可能です。

ピッキング作業の効率化

フリーロケーションなら出荷頻度の高い商品を出荷エリアの近くに配置できるため、作業員の移動距離を短縮し、ピッキング時間を削減できます。また、倉庫管理システムによって最も効率的なルートを自動で提案すれば、作業スピードが向上します。

コスト削減

固定ロケーションでは使われないスペースが発生し、無駄な賃貸費用がかかることがありますが、フリーロケーションなら空いているスペースを有効活用できるため、賃貸コストを削減可能です。


また、作業効率の向上により人件費の削減も期待できます。ピッキング作業を最適化できれば少人数での倉庫運営が可能となり、誤出荷や返品対応の手間も減らせるでしょう。


3.フリーロケーションのデメリットと課題

フリーロケーションは倉庫スペースの最適化や作業効率の向上に大きなメリットをもたらしますが、導入・運用にはいくつかの課題もあります。本章では、フリーロケーション導入時の主な課題を3つ説明します。

導入コストがかかる

フリーロケーションの運用には、倉庫管理システム(WMS)やバーコード・RFIDの導入が必須です。これらの初期費用に加え、システムの統合やカスタマイズが必要な場合、追加コストが発生することもあるでしょう。特に大規模な倉庫では、システム開発やデータ移行に時間がかかることが課題となります。

ルールの徹底が必要

在庫の保管場所が決まっていないため、管理ルールを明確にしないと作業が混乱し、効率が低下する可能性があります。たとえば、回転率の高い商品は手前に配置する、類似品を近くに置かないといったルールが必要です。


作業員への研修も不可欠です。在庫の登録ミスが発生すると、誤出荷やピッキングミスにつながるおそれがあります。

作業員にスキルが必要

フリーロケーションでは、倉庫管理システムの操作やバーコードスキャンなど、作業員に一定のITリテラシーが求められます。固定ロケーションと異なり在庫の保管場所が固定されていないため、システムを活用しながらピッキング作業を進める必要があるためです。


また、システムの活用が不十分だと、作業の遅延や在庫配置ミスが発生しやすくなります。そのため、研修やマニュアルを整備し、スムーズな運用体制を構築することが重要です。


4.フリーロケーション導入のポイント

フリーロケーションを効果的に運用するためには、倉庫管理システム(WMS)の導入と倉庫レイアウトの最適化が欠かせません。ここでは、フリーロケーションを導入するための具体的なポイントを2つ紹介します。

倉庫管理システムを活用した在庫管理

フリーロケーションの導入には、倉庫管理システムの活用が不可欠です。在庫の保管場所が固定されておらず、リアルタイムでの在庫管理が求められるためです。


バーコードやRFIDを活用すると、在庫の正確な位置を記録し、誤出荷や在庫不足を防ぐことが可能です。また、AIやIoTを組み合わせ、最適な在庫配置の提案や需要予測を可能にすれば、さらに管理の精度が向上します。

倉庫レイアウトの最適化

フリーロケーションを効果的に運用するには、倉庫の動線を意識したレイアウト設計が重要です。ただ空いたスペースに保管するのではなく、出荷頻度の高い商品を手前に配置し、回転率の低い商品を奥に置くことで作業効率を向上できます。


また、適切なゾーニングはピッキング作業の無駄を削減し、倉庫全体の生産性を高めることにつながります。レイアウトとシステムを組み合わせることで、フリーロケーションの効果を最大化できるでしょう。


5.まとめ

フリーロケーションは、倉庫内の空きスペースを柔軟に活用できる管理手法です。倉庫スペースの最適化や在庫精度の向上、作業効率化などのメリットがあり、EC・通販業界や食品業界などで特に有効です。


一方で、システム導入コストや管理ルールの徹底といった課題もあります。導入には、倉庫管理システム(WMS)の活用、レイアウトの最適化が欠かせません。適切な運用を行えば、倉庫の生産性向上やコスト削減が可能になります。ぜひ参考にしてください。


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