積載効率とは「トラックの許容積載量に対して占める、実際の積載貨物の割合」のことです。物流業界において、運送会社・ドライバーの労働環境や人手不足が問題になっており、積載効率の重要性がより一層増しています。
これらの問題を荷主企業・運送会社・消費者が一丸となって改善するために法律が整備されるなど、荷主企業としても物流効率化へ主体的に取り組む必要性が生じています。
しかし、どのようにして積載効率を改善すれば良いのか、具体的な改善方法について悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、積載効率の概要や積載率の計算方法、改善のメリット、改善方法について解説します。また、荷主企業がこの課題にどのように取り組むべきかについても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
積載効率とは「トラックの許容積載量に対して占める、実際の積載貨物の割合」のことです。限られたスペースを無駄なく使うための評価基準として用いられ、積載効率が高いほど、無駄なく運用されていることを意味します。
積載効率を高めることは、物流業界の効率的な運営のほか、コスト削減や環境保護にもつながります。
積載効率を考える際は、トラックのスペースに対して実際に積載する貨物の割合を示す「積載率」を求めます。積載率の計算式は、以下のとおりです。
積載率(%)=積載重量÷最大積載重量×100
例えば、5 tトラックに2.5 tの貨物を積載した場合の積載率は、次のように計算します。
2.5 t÷5 t×100=50%
積載率50%の場合は、トラックが本来積載できる量の半分しか活用されていないということです。
さらに、往路の積載率が50%であっても、復路で貨物を積まなかった場合(復路の積載率0%)は、往復平均の積載率が25%となります。
国土交通省「物流を取り巻く動向と物流施策の現状について」によると、1993年の営業用トラックの積載効率は約55%でしたが、2018年には約40%まで低下しています。
積載効率が低下している要因として、多頻度少量輸送といったサービスの多様化や、過疎地での人口減少による貨物量の減少などが挙げられます。
これらの要因は、物流業界において長期的な課題となり、今後も影響をおよぼすことが考えられるでしょう。物流の効率化を図るためには、業界全体で積載効率の改善に取り組む必要があり、荷主企業も積極的にその役割を果たすことが求められます。
ここからは、積載効率を向上することで得られる3つのメリットについて解説します。
トラックやコンテナのスペースを最大限活用すると、同じ量の貨物をより少ない便数で運べるため、燃料費や人件費の削減につながります。
燃料費や人件費、保管コストなどが削減されると、結果的に運送会社の収益性の向上が期待できます。
コスト削減によって運送会社の経営が安定すれば、最新機器を導入する余裕が生まれ、配達遅延の減少や貨物の破損率低減などサービス品質の向上につながる可能性があります。結果的に、荷主企業はより良い物流サービスを受けることが期待できるでしょう。
厚生労働省の資料によると、トラックドライバーは、年間所得額が全産業の平均より1~2割ほど低いにもかかわらず、年間労働時間は2割ほど長いことがわかっています。また、若い人材が集まりにくく、ドライバーの高齢化が進んでいるため、人手不足が深刻な状態です。
そこで、積載効率を向上させて一度に運べる貨物量が増えると、労働環境の改善が期待できます。必要な人員も減るため、人手不足の解消が見込めるでしょう。
荷主企業として、物流事業者が抱える人手不足の課題に配慮する姿勢は、持続的にパートナーシップを構築するうえで欠かせません。
一度に多くの貨物を運ぶことで、トラックやコンテナの運行回数が減ると、エンジンの稼働時間が短縮され、CO2排出量も減少します。
また、作業効率が向上して貨物の積み下ろし作業が短縮されると、アイドリング時間も減少します。積載効率の向上は、環境負荷低減といった観点でもメリットがあるといえるでしょう。
最後に、積載効率を向上するための改善方法について解説します。
荷主企業が配送日や配送時間の条件を緩和することで、積載効率の向上が期待できます。例えば、配送日を特定の日に限定せずに数日間の猶予を持たせる、配送時間の指定をせずに終日対応にするなどが挙げられます。
荷主企業の輸送条件の緩和により、運送会社は荷物の集約が可能になり、より効率的なルートや積載方法の選択肢が増えるため積載効率の向上が望めます。
なお、輸送条件の緩和には納品先の企業の協力が欠かせません。そのためには、条件緩和がもたらすメリットを提示することや、日頃から良好な信頼関係を築いておくことが重要です。
トラックやコンテナ内の空間を無駄なく活用して、積載できる貨物の量を増やしましょう。外装サイズを見直すことで、トラックやコンテナ内でのスペースの無駄が削減されると、同じ容積でもより多くの貨物を運べるようになります。
外装サイズの見直しには、以下のような対策が挙げられます。
外装サイズを適切に見直すことで、荷室空間の最大利用のほか、積み込みや積み下ろしの時間の短縮にもつながります。
共同配送とは、複数の企業が協力して、トラックやコンテナなどの輸送手段を共有し貨物を配送する物流手法です。例えば、配送時間の異なる共同配送のパートナーを探して帰り荷を確保したり、複数の企業で物流拠点を共有したりすることで、積載効率の向上が期待できます。
加えて、他の荷主との荷物のマッチングを行うことで、帰りに空車で帰ってきていた車両に荷物を積むことができ、積載効率を高めることもできるようになります。
運送会社・ドライバーの労働環境や人手不足といった問題は、荷主企業も一丸となって改善していく必要があります。そして、積載効率の向上は、これらの問題解決に向けて選択できる手段の一つです。
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