荷主企業が知っておくべきロジスティクスセンターの基本と効率化

荷主企業が知っておくべきロジスティクスセンターの基本と効率化

ロジスティクスセンターは、荷主企業にとって物流管理の効率化やコスト削減を実現するための重要な拠点です。単なる倉庫としての役割を超え、商品の在庫管理、出荷、さらには流通加工までを一括して行うことで、企業のサプライチェーン全体を最適化する役割を担っています。

本記事では、ロジスティクスセンターの意味や機能に加え、最新のAIやロボティクス技術を活用した自動化の取り組みなど、ロジスティクスセンターを効率化する方法について詳しく解説します。

この記事でわかること

  • ロジスティクスセンターの意味や役割について

1. ロジスティクスセンターとは



ロジスティクスとは、商品やサービスが生産者から消費者へ効率的に届けられるよう、調達、生産、保管、配送などの流れを最適化し、戦略的に管理すること。そのロジスティクスを効率化するために重要な拠点となるのが、ロジスティクスセンターです。

本章では、ロジスティクスセンターの意味や他の施設との違い、またロジスティクスセンターの役割や機能について解説します。


ロジスティクスセンターの概要

ロジスティクスセンターは、物流業務の中核を担う多機能施設です。その主な機能には、入荷、保管、ピッキング、流通加工、梱包、出荷が含まれます。これらの機能を一元的に管理することで、物流の効率化とサプライチェーン全体の最適化に貢献します。

物流業界には、ロジスティクスセンター以外にも様々な名称と役割を持つ施設が存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。



ディストリビューションセンター(DC)

在庫管理に重点を置き、保管と出荷を行う施設です。商品を迅速かつ正確に店舗や顧客に届けるための中継拠点として機能します。具体的には、メーカーの生産拠点から全国の店舗への配送拠点として利用されます。


トランスファーセンター(TC)

在庫を持たず、積み替え作業を行う施設です。商品を一時的に受け入れ、すぐに別の配送先に振り分けます。主に、ECサイトで複数の仕入れ先から集めた商品を、注文者ごとにまとめて出荷する場合に利用されます。


配送センター

輸送業務に特化した施設で、トラック輸送の拠点となります。ECサイトの注文商品を最終顧客に配送するための拠点として利用されます。


プロセスディストリビューションセンター(PDC)

商品の加工機能を持つ施設で、生鮮食品の加工や組み立てを行います。また、セット商品を加工・組み合わせる拠点として利用されます。


フルフィルメントセンター(FC)

EC事業者向けの施設で、受注処理や顧客対応などを含む機能を持っています。ECサイトなどで注文を受けた商品の在庫管理、ピッキング、梱包、出荷、返品処理までを行います。


ロジスティクスセンターの基本的な役割と機能



ロジスティクスセンターでは、物流の各プロセスが効率的に行われます。主な役割と機能は以下の通りです。


入荷・検品

届いた商品を受け取り、納品書をもとに数量や状態を確認し、不備がないかをチェックします。


保管

指定された場所に商品を保管し、出荷指示があるまで管理します。温度や湿度管理など商品の品質維持や盗難防止も行います。


ピッキング

出荷伝票や指示書に基づき、保管場所から指定された商品を集める作業です。ピッキングには状況に応じた様々な方法があります。
例えば、オーダーピッキングは個別の受注ごとに商品をピックする方法で、少量の商品を効率よく集めるのに適しています。
一方で複数の受注を一括して処理し、まとめて商品を集めるトータルピッキングという方法もあります。状況に応じたピッキング方法の選択により、作業効率を高めることができます。


流通加工

出荷前の商品に対して必要な加工を施す工程です。ラベル貼りや商品の組み立て、精肉や鮮魚の加工など、商品の価値を高める作業が行われます。


梱包

輸送中に商品が破損しないように保護する作業です。個装、内装、外装に分けて梱包し、商品の形状や用途に応じた適切な梱包が求められます。


出荷

梱包が完了した商品を最終確認し、数量や送り先に不備がないかを確認した上で出荷を行います。出荷後に問題が発生すると顧客からの信用を損なう可能性があるため、最終チェックが重要です。



2. ロジスティクスセンターを効率化するための手段



ここでは、ロジスティクスセンターを効率化するための6つの手段を以下に詳しく解説していきます。

ロボティクスを活用する

ピッキングや梱包作業にロボットを導入することで、作業速度と精度が向上します。人的ミスを減らし、24時間稼働が可能となるため、生産性が大幅に向上します。
例えばピッキングロボットを導入することで、手作業では困難な重いものを運ぶ作業や危険な環境での作業が可能となります。


※参考:内閣官房:「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイント


AIによる予測分析を行う

需要予測や在庫管理にAIを活用することで、精度の高い分析が可能となります。これにより、適正在庫の維持と欠品リスクの低減を図ることができ、効率的な在庫管理が実現できます。またAIにより、過去の販売データや外部要因(天候、イベントなど)を考慮した高精度な需要予測が可能になります。


IoTを活用しデータを連携する

センサーやRFIDタグを使用することで、リアルタイムで在庫状況や物流の動きを把握できます。これにより、迅速な意思決定と問題対応が可能となり、業務の効率化が図れます。

例えばパレットやコンテナにRFIDタグを取り付けることで、商品の位置情報をリアルタイムで把握できます。これらのデータをクラウド上で一元管理することで、現場の状況をリアルタイムで把握することが可能になり、迅速な意思決定につながります。


※参考:内閣官房:「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイント


自動化システムを導入する

コンベアシステムや自動仕分け機を導入し、物流プロセスを自動化することで、作業効率が向上します。同時に人件費の削減にもつながり、コスト面での効率化も実現できます。

例えば自動仕分けシステムを導入することで、手作業に比べて作業速度が向上し、人的ミスも削減可能です。また、AGV(無人搬送車)を活用すればセンター内の横持ち作業を効率化できます。


※参考:内閣官房:「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイント


在庫配置を最適化する

商品の回転率や関連性に基づいて在庫を配置することで、ピッキング効率を向上させることができます。ABC分析(在庫を売上高や利益率に応じて分類する手法)などを用いて商品を分類し、出荷頻度の高い商品を出荷口近くに配置するなどの工夫が有効です。

さらに、AIを活用した動的な配置最適化を行うことで、より効率的な在庫管理が可能となります。


アウトソーシングを活用する

専門業者への一部業務委託により、自社のコア業務に集中することができます。

また、業務の変動費化が可能となり、季節変動への柔軟な対応も実現できます。

ただし、各手段の導入にあたっては、初期投資と運用コストのバランスや既存のワークフローとの整合性、セキュリティ対策など様々な点を慎重に考慮することが求められます。

これらの要素を総合的に検討し、自社に最適な効率化手段を選択することが必要となります。



3. まとめ

ロジスティクスセンターは、物流管理の効率化とコスト削減を実現する重要な拠点です。入荷、保管、ピッキング、流通加工、梱包、出荷などの機能を一元管理し、サプライチェーン全体の最適化に貢献します。効率化のためには、ロボティクスやAIの活用、IoTによるデータ連携、自動化システムの導入など様々な方法があります。企業は、自社のニーズに合わせて効率化の方法を取り入れることで、ロジスティクスセンターを最適に運営し、作業効率と精度の向上やコスト削減といった効果を期待できるでしょう。


2025年「物流持続可能性の危機」を乗り越える!
~「2024 年問題・運命の日」と改正物流法、働く人と地球の環境保全~
シェアシェア

おすすめ記事