コンテナは、安全に効率良く輸送するために重要な手段です。これまでの輸送手段では、積み込みや積み下ろしに時間がかかり、安全性にも課題がありました。しかし、コンテナ輸送の普及により、輸送効率の向上や安全性の確保が進みました。コンテナ輸送は、海上輸送だけではなく、鉄道輸送や航空輸送など、さまざまな輸送場面で活用されています。
本記事では物流におけるコンテナの概要や役割、種類、メリットについて詳しく解説します。
コンテナの役割は、荷物を安全に効率良く輸送することです。異なる国や地域への輸送、また複数の輸送手段を組み合わせた「モーダルシフト」においても、コンテナは重要な役割を果たしています。
ISO規格に基づいて標準化されたコンテナは、トラックや鉄道、船舶間でのスムーズな切り替えを可能とし、物流全体の効率化に寄与します。また、密閉された構造により風雨や湿気、衝撃から貨物を保護し、長距離輸送における損傷リスクを軽減可能です。このため、貴重品や精密機器の輸送にも広く活用されています。
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物流で利用されるコンテナの種類はさまざまです。貨物にも多くの種類がありますが、コンテナも対応できるように成長を続けています。
陸上輸送と海上輸送では、ISO規格に準拠した標準サイズが多く使用されますが、国内輸送向けには専用の小型軽量コンテナもあります。ただし、海上コンテナは、港から目的地までそのまま陸上輸送にも使われることが一般的です。ISO規格に則して、20フィートコンテナ(外寸: 長さ約6.1m × 幅約2.4m × 高さ約2.6m)と40フィートコンテナ(外寸: 長さ約12.2m × 幅約2.4m × 高さ約2.6m)が主に使用されています。
※参考:国土交通省 国土技術政策総合研究所,コンテナサイズに視点をおいた国際海上コンテナ輸送に関する基礎的分析
ここでは、日本貿易振興機構(ジェトロ)の定義を参考に、海上貨物で使用されるコンテナの種類を紹介します。コンテナにはさまざまな種類があり、用途に応じた選択が可能です。主な種類は以下のとおりです。
海上貨物のコンテナの種類 | ||
ドライコンテナ | ・一般的なコンテナ ・主に温度や湿度管理が必要ない貨物(例:衣料品、家具、機械部品など)の輸送に使われる ・密閉型で、20フィートと40フィートの標準サイズがある ・大量輸送が可能で、あらゆる輸送モードに対応している | |
特殊コンテナ | リーファー(冷凍・冷蔵) | ・温度管理が必要な貨物(例:食品、医薬品、花など)を輸送するために使用される ・内部に冷却装置が備えられており、温度を一定に保てる ・冷凍から冷蔵まで温度範囲を調整でき、長時間の輸送に適している |
オープン・トップ | ・高さがある貨物や、クレーンでの積み込みが必要な貨物(例:鉱石、木材、大型機械など)に使用される ・上部が開放されているため、高さに制約が少なく、貨物の積み下ろしが容易 | |
サイド・オープン | ・横からの積み下ろしが必要な貨物や、フォークリフトでの積み込みを効率化したい場合に使用される ・コンテナの側面全体が開くため、幅広い荷物にアクセスしやすく、大型の機械部品や資材の積み込みに適している | |
フラット・ラック | ・大型機械、車両、建設資材など、標準コンテナに収まらない大型貨物を輸送する際に使用される ・側面が開いた構造となっており、クレーンでの積み下ろしが可能 ・折りたたみ可能なタイプもあり、使用しないときは省スペースで保管できる | |
タンク | ・液体やガスなど流動性のある貨物(例:化学薬品、燃料、食品用の液体など)の輸送に使われる ・内部に液体用のタンクが設置されており、外部からの衝撃や気温変化に強い ・漏れ防止構造があり、安全性が高い |
※出典:日本貿易振興機構(ジェトロ),海上貨物のコンテナの種類
一般的なコンテナはドライコンテナと呼ばれます。また、コンテナは安全性を確保できることから、倉庫の代わりとして使用されるケースもあります。それぞれの貨物に適したコンテナを選ぶことが大切です。
海上輸送におけるコンテナ積載方法には「FCL」と「LCL」があります。
FCLとは、1社の荷主企業が1つのコンテナを借り切り、貨物を詰めて輸出する方法です。荷主企業が自社で積み込みをおこなうため、ほかの荷主の貨物と混載されることがなく、盗難や紛失、破損のリスクが低い点が大きなメリットです。また、積み下ろしの際も、ほかの荷主を気にする必要がないため、効率的でスムーズな輸送が可能です。
LCLとは、複数の荷主企業の貨物を1つのコンテナにまとめて輸出する方法です。コンテナを借り切る必要がないため、少量の貨物を運ぶ場合にはコストを抑えられます。小口貨物に適しており、FCLに比べて出荷が柔軟であるため、コンテナに満たない量でも経済的に輸送できます。また、荷主企業は貨物を「コンテナフレートステーション」(CFS:コンテナの荷捌き場)に持ち込むだけでよく、手続きが簡便です。
ここでは、コンテナ輸送の主なメリットについて解説します。
コンテナ輸送では、異なる手段間の輸送切り替えをスムーズにおこなえます。なぜなら、コンテナは規格が統一されているからです。船舶や鉄道に切り替える際にも規格があることから、輸送切り替えが簡単にできます。
コンテナは規格化されたサイズで設計されており、専用のクレーンやフォークリフトで迅速に積み込みや積み下ろしが可能です。これにより、作業時間が短縮され、物流の効率が向上します。
貨物の破損や紛失のリスクが減少し、保険料が抑えられます。また、一度に大量の貨物をまとめて輸送できるため、輸送コストの効率化を図れます。コンテナ輸送の料金形態はコンテナ単位です。中身に空きがあっても同一料金での輸送となる点に注意してください。
コンテナは頑丈な構造で、外部からの衝撃や気象条件による影響を防ぎます。物流輸送においては、かつて貨物の盗難が頻繁に起こっており、安全性の確保に問題がありました。コンテナであれば貨物が密封された状態で輸送されるため、盗難や破損のリスクが軽減されます。
荷主企業にとって荷物の紛失は絶対に避けたいポイントです。物流コンテナは海上輸送の安全性向上につながっています。
コンテナ輸送は、国際的な規格に基づいておこなわれます。そのため、異なる国や地域に貨物を迅速に貨物を届けることが可能です。
物流においてコンテナは、安全で効率的な輸送を可能とする手段として広く活用されています。これまで海上輸送は、安全性が低いこと、荷物の積み込みや荷降ろしに多くの時間がかかることが問題視されていました。コンテナの普及により、海上輸送は安全性を確保し、効率良く運べるようになりました。
コスト削減や安全性の向上など、多くのメリットを享受できるため、自社の物流課題を解決する一つの方法として検討する価値があります。