物流倉庫とは?概要や作業効率化の戦略、IT活用事例をご紹介!

物流倉庫とは?概要や作業効率化の戦略、IT活用事例をご紹介!

物流業務において、在庫の管理や作業の効率化にお悩みの経営者も多いのではないでしょうか?物流倉庫はそのような悩みを解決する1つのポイントと言えます。なぜなら物流倉庫の効果的な活用により、在庫の一元管理やリードタイムの短縮など、物流業務における作業の効率化が可能になるからです。


本記事では、物流倉庫の役割や種類、倉庫運営における効率化のポイントなどを解説します。また、企業が実際に取り組んでいるITの活用事例も紹介していきます。

この記事でわかること

  • 物流倉庫の効率的な活用方法
  • 物流倉庫におけるIT活用事例

1. 物流倉庫とは

まず「物流倉庫とは?」という観点から役割と種類について解説します。

「倉庫業法」における定義は以下のとおりです。(※)

“倉庫とは、商品や原材料などの物品を一定期間保管し、在庫管理や荷役作業を行う施設。”

物流倉庫は商品や原材料を保管する施設であり、輸送や流通の中継点として機能します。物流倉庫では物流業務の一環として、物流に関するさまざまな業務(入庫・検品・保管・ピッキング・検品・流通加工・梱包・出荷)を行います。

※出典:国土交通省,倉庫業法


物流倉庫の役割

物流倉庫の主な役割は、以下のとおりです。


1. 商品・原材料の保管

在庫を一時的に保管します。適切な保管管理により、商品の品質を維持します。


2. 在庫管理

入出庫の管理を行います。在庫の数量や位置を把握し、効率的な物流オペレーションを支援します。


3. 流通加工

商品のラベリング、梱包、組み立てなどの加工を行い、出荷前に商品の付加価値を高めます。


4. 入庫・出荷

商品・原材料の入庫・出荷を行い、迅速かつ効率的な配送を支援します。


物流倉庫の立地

物流倉庫の立地は、効率的に物流を運営するために重要な要素です。倉庫の立地選定によって、輸送コストやリードタイム、顧客満足度に大きな影響を与えます。ここでは物流倉庫の立地について紹介します。


1. 生産立地型

生産立地型は、工場や仕入れ先の近くに立地し、生産された商品をすぐに集荷・保管することができる倉庫です。製造業の工場近くに立地することで、完成品を効率的に倉庫に集積し、出荷準備を行えるため、輸送コストの削減やリードタイムの短縮が可能です。


2. 消費立地型

消費立地型は、消費地(都市部や販売拠点)の近くに立地する倉庫です。消費者の近くに立地するため、顧客に対して即時対応が可能となり、配送時間の短縮や顧客満足度の向上を図れます。


用途別の分類

倉庫は一般的に構造や設備、保管する物品により以下のように分類されます。

倉庫分類

概要

普通倉庫

通常の商品を保管する一般的な倉庫

水面倉庫

原木等を河川や港湾など水上で保管する倉庫

冷蔵倉庫

食品や医薬品など温度や湿度の管理が必要な商品を保管する倉庫

トランクルーム

消費者や企業の物品を保管する倉庫


※参考:国土交通省中部運輸局,倉庫業とは


機能別の分類

物流倉庫を機能別に分類すると以下のとおりです。


ディストリビューションセンター(DC)

商品を一括で受け入れ、配送先別に仕分け、分配する拠点を指します。商品の保管だけでなく、受注、仕分け、出荷管理などの役割を担います。


トランスファーセンター(TC)

荷物の積み替えに特化した中継拠点を指します。商品を一時的に保管し、次の配送先に速やかに移送します。保管よりもスピーディーな仕分けと再配送が主な目的であり、商品の長期的な保管は行いません。


プロセスディストリビューションセンター(PDC)

流通加工やカスタマイズ、製品の組み立てなど、商品に付加価値を加える作業を行う拠点を指します。商品の保管だけでなく、出荷前の加工を行います。


フルフィルメントセンター(FC)

通販事業者向けに、在庫管理から配送までを一貫して提供する拠点を指します。ECサイトなどからの受注に基づき、商品の保管、ピッキング、梱包、出荷を一貫して実施するのが役割です。迅速な出荷と配送を目的とし、顧客からの注文に対応するための広範な業務を行います。


2. 物流倉庫運営の効率化の7つのポイント

倉庫運営ではコスト削減や生産性向上のための効率化が重要です。ポイントは以下のとおりです。


ポイント1:レイアウトの最適化

レイアウトを検討するにはまず人や物の移動距離を最小化し、作業効率を向上させることを意識しましょう。また、ピッキング頻度の高い商品を出入口近くに配置したり、ゾーニングによって分業化を徹底し、各業務の専門性を向上させたりすることも重要です。


ポイント2:自動化設備の導入

コンベア、垂直搬送機、自動倉庫、AGV(無人搬送車)などの自動化設備の導入により、省人化と高速化を実現できます。ピッキングの自動化で作業時間を短縮したり、ソーターシステムによる自動仕分けで誤出荷を防止したりすることも可能です。


ポイント3:WMS(倉庫管理システム)の活用

WMSを活用することにより、リアルタイムの在庫可視化と最適な補充タイミングの把握ができます。その他にも、作業指示の自動化によって人為的ミスを防止し、業務効率化を実現できるでしょう。入出荷予定と在庫情報を同期することでトラック待ち時間を短縮することも可能です。


ポイント4:マテハンロボットの活用

マテハン(マテリアルハンドリング)ロボットを活用することでピッキングや梱包作業を自動化し、作業コストを削減することが可能です。ロボットは24時間稼働が可能なため、繁閑の差も吸収できます。また、人との協働作業によって省人化と省スペース化の両立にも貢献します。


ポイント5:作業動線の改善

商品のABC分析を行い需要の多い商品の位置を最適化するなど、作業動線を改善することも効果的です。たとえば通路幅の適正化によりピッキングカートのすれ違いを円滑化したり、ピッキングルートの最適化により無駄な移動を解消し、作業効率を向上させたりすることも可能です。


ポイント6:バース管理と物流の連携強化

バース予約システムで トラックの入庫時間を事前に予約・管理することもポイントです。これにより、倉庫前の混雑を緩和し、荷役作業をスムーズに行えます。また、サプライヤーや顧客との情報共有を強化し、入出庫計画や配送計画を最適化することも重要です。


ポイント7:作業管理と人員配置の最適化

時間帯別の作業量や繁忙期・閑散期に応じて作業者の配置を最適化することも重要と言えるでしょう。人手不足や過剰な配置を防ぎ、効率的な人員配置が可能になります。その他にも、新しいシステムや機器の導入に際して作業者への教育・トレーニングを徹底することで、スムーズな運用を実現できます。


3. 物流倉庫におけるIT活用例

ITやロボティクス技術の進化に伴い、物流倉庫の高度化が進んでいます。ここではITを活用した例を解説します。


IoTセンサーによる在庫管理

棚や商品にIoTセンサーを取り付け、在庫をリアルタイムに追跡します。適正在庫の維持と欠品防止を実現し、在庫回転率を向上させることも可能です。また、温度・湿度管理が必要な商品の品質を自動監視できます。


ドローンによる在庫棚卸し

自律飛行ドローンが在庫棚を巡回し、QRコード読み取りで在庫を自動でカウントします。人手による棚卸し作業を削減することが可能です。また、画像認識による外観検査で、商品の破損や劣化も自動検知します。


デジタルツインによる倉庫シミュレーション

リアルタイムで同期された倉庫のデジタルツインモデルを構築します。稼働率やスループットをシミュレーションし、レイアウト変更などの施策を事前検証することが可能です。事前にシミュレーションし、改善点を見出すことで、業務効率を高めることに貢献します。


4. まとめ

一部の企業ではこれらのテクノロジーを組み合わせた「スマート倉庫」の実現を目指しており、大幅なコスト削減と生産性向上が期待されています。

倉庫運営の効率化には現場オペレーションの改善とともに、ITやロボティクス技術の戦略的な活用が欠かせません。自社の課題や目標に合わせて最適な施策を選択し、段階的に導入することが重要です。今後は最新テクノロジーを活用し、競争力のある物流オペレーションを実現していく必要があるでしょう。

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