ソーターで物流効率化!仕組みや種類、導入メリット、注意点を詳しく解説

ソーターで物流効率化!仕組みや種類、導入メリット、注意点を詳しく解説

ソーターとは、商品を自動で仕分ける機械のことです。近年、EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化に伴い、物流現場では作業効率化や精度向上が求められるようになりました。ソーターは手作業に比べて倉庫内作業を効率化し、正確な物流オペレーションを可能にするため、その解決策として注目されています。

本記事では、ソーターの種類や特徴、導入のメリット、注意点を詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 物流で活用されるソーターとは
  • ソーター導入のメリットと注意点

1. 物流業界におけるソーターとは

まず、ソーターの仕組みや活用目的について詳しく解説します。

ソーターの仕組み

ソーターとは、物流現場で荷物を自動的に仕分ける装置のことです。荷物のサイズや形状、配達先などに基づいて、自動的に仕分けすることができます。バーコードやRFIDタグで荷物を識別し、コンベアやロボットを通じて指定された仕分け口に振り分けます。


仕分け方式はスライドシュー方式やクロスベルト方式など様々で、それぞれに適した用途があります。従来の手作業による仕分けと比較し、大量で多様な荷物を迅速かつ正確に処理できる点が特徴です。

ソーターの活用目的

ソーターの導入目的は、主に作業の効率化と精度の向上です。例えばECサイトを運営する企業では、日々膨大な量の商品をピッキングし、顧客ごとに仕分けする必要があります。手作業では処理能力に限界があり、人的ミスが発生するおそれもあるでしょう。ソーターはこれらの課題を解消し、物流のスピードと正確性を向上させます。特に、複数の配送業者や地域・店舗別の仕分けに効果的です。


また、ソーターは労働力不足や作業員の高齢化といった現代の物流業界が直面する課題にも対応します。ソーター導入によって従業員の負担を軽減し、少人数でも効率的に運用できる仕組みを実現できるため、安定した物流サービスの提供に寄与しています。


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2. ソーターの種類

ソーターには様々な種類があり、物流施設の規模や設置環境、荷物の種類や用途に応じて選択する必要があります。以下に、代表的な種類とその特徴を紹介します。

1.コンベアタイプのソーター

※出典:国土交通省,空港グランドハンドリング作業の生産性向上に関する技術検討会~先進事例調査結果~,p1


コンベアタイプのソーターは、ベルトやローラーを使って荷物を連続的に搬送し、指定された場所に仕分ける仕組みです。大規模な物流施設向けで、大量の荷物を高い処理能力で仕分けできるメリットがある一方、導入には広いスペースの確保が欠かせません。

以下に主な7つの方式とその特徴を紹介します。



方式

特徴

スライドシュー方式

荷物を滑らかに押し出すことで仕分けを行います。幅広いサイズや重量に対応可能です。

クロスベルト方式

トレイ状のベルトで荷物を運びながら摩擦を抑えて仕分ける方式です。

ポップアップ方式

ホイールを上下に動かすことで、重量物やダンボールをソフトに仕分けできます。

プッシャー方式

荷物を押し出して分岐させるシンプルな構造で、小型商品に適しています。

ターンテーブル方式

ローラーコンベアを活用し、ターンテーブルで方向を定め安定した仕分けを行います。

拡張性が高い一方で、仕分け可能な荷物はサイズに制限があります。

チルトトレイ方式

トレイを傾ける動作で仕分けを行います。

バーコードを読み取った商品を自動でダンボールや他の収納容器に投入する仕組みを持ちます。検品と仕分けが同時にできるのが特徴です。

ダイバータ方式

荷物の進行方向を切り替える案内板を活用した仕分け方式です。構造がシンプルでメンテナンスが容易なため、トラックターミナルや空港の荷物仕分けでも使用されています。



2. ロボットタイプのソーター

※出典:国土交通省,物流施設の自動化の現状について,p5


ロボットタイプのソーターは、個別のロボットが荷物を運び、仕分けを行います。設置が簡単でスペースの制約が少なく、小規模な倉庫にも適応可能です。倉庫内のレイアウト変更や設置台数の変更に対応するなど、柔軟な運用もできます。また、コンベアタイプに比べて比較的導入コストが抑えられるでしょう。

以下に主な3つの方式とその特徴を紹介します。


方式

特徴

立体型仕分けロボット

省スペースで高速な仕分けが可能です。

小型商品に向いています。

自律型ロボット

自律して走るロボットで、重量物の仕分けを補助できます。

平面型ロボット

ラックやパレット上を走り、仕分けを行います。

比較的省スペースで設置が可能です。


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3. ソーター導入によるメリット

ここでは、ソーター導入による5つのメリットを紹介します。

1. 作業効率の向上

ソーター導入の一番のメリットは、手作業に比べて作業スピードが飛躍的に向上する点です。具体的には、ソーターを導入することで1時間当たりの仕分け能力が手作業の2〜3倍に向上した事例があります(※)。特に24時間稼働が求められる大規模物流施設では、導入効果が顕著です。


※出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構,中小企業省力化投資補助事業 製品カテゴリ,p11

2. 人件費の削減

自動化により作業員の人数を削減できます。人手に頼る仕分けでは多くの労働力が必要となりますが、ソーターを導入することで省人化が進みます。結果として人件費の削減につながり、長期的なコスト削減効果が期待できるでしょう。

3. 作業ミスの削減

バーコードやRFIDタグによる正確な識別機能を持つため、人的ミスが減少します。誤配送や不適切な仕分けなどは顧客満足度を損なう可能性がありますが、ソーターはそういったミスを未然に防ぐ役割を果たします。


例えば、手作業では1時間あたりの最大ミス率が1,000分の1と言われていますが、ソーターにより誤配送率を10,000分の1以下に抑えた事例があります(※)。


※出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構,中小企業省力化投資補助事業 製品カテゴリ,p11

4. スペースの有効活用

ソーターは限られたスペースでも設置可能なものがあり、物流センターの効率的なレイアウトに貢献します。例えば高さを活用するタイプのソーターを導入すれば、床面積を最小限に抑えながら高い処理能力が期待できるでしょう。

5. 作業品質の維持

ソーターは一定の処理能力と精度を維持するため、繁忙期や特定の業務負荷が高い状況でも安定したパフォーマンスを発揮します。また、ソーター導入により作業が標準化されるため、作業品質が人の能力に左右されず一定に保たれ、誰でも安定した作業が可能となります。


佐川グローバルロジスティクス株式会社がプラスオーメーション社製のソーター、t-SortとRFIDシステムを導入した例では、新規就労者の早期戦力化を実現し、作業スキルの修得時間を従来の約7割削減する成果を上げました(※)。このようにソーターの導入は、教育コストの削減にもつながります。


※出典:国土交通省,物流・配送会社のための物流DX導入事例集,p14


4. ソーター導入の際の注意点

ソーター導入にはメリットもありますが、以下の注意点も考慮する必要があります。

処理能力と現場適合性の確認

ソーター導入の際は、現場の物流量や将来的な需要を見据えた処理能力を持つものを選びましょう。また、荷物の種類や形状、現場のオペレーションに適したタイプを選定しないと、効率が低下したり、想定した効果が得られない可能性もあります。

スペースの確保

ソーターの種類によって必要なスペースは異なります。コンベアタイプは広い設置面積が必要な一方、ロボットタイプは柔軟な配置が可能です。事前に施設のレイアウトを確認し、適切な設置場所を確保する必要があります。

コストと効果のバランス

導入時の初期費用だけでなく、運用やメンテナンスにかかるコストも含めて総合的に検討しましょう。まずはレンタルサービスを活用し初期費用を抑えて導入するなど、コストパフォーマンスを見極めることが必要です。

社員教育が必要

新たな機械の導入により、現場スタッフの役割や作業内容が変わる場合があります。操作やメンテナンスの方法を十分に教育し、トラブル発生時にも適切に対応できる体制を整えることで、スムーズな運用につながるでしょう。

信頼できるサプライヤーの選定

ソーターの導入後、トラブル対応やメンテナンスが発生する可能性があります。そのため、アフターサポートが充実した信頼できるサプライヤーを選定することが重要です。


5. まとめ

ソーターは仕分け作業を自動化する機械であり、手作業に比べて作業効率が大幅に向上します。しかし、導入にはコストや運用面での課題が伴うため、業務に適したソーターを選び、コストと効果を比較しながら導入を検討する必要があります。


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