2025年1月30日
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物流効率化を支援する補助金制度4選|申請のメリットや注意点を解説

物流効率化を支援する補助金制度4選|申請のメリットや注意点を解説

物流業界は人手不足や燃料費の高騰などの課題に直面し、政府は物流のデジタル化や効率化を推進しています。しかし、物流システムや自動化技術の導入には高額な導入コストが発生するため、特に中小企業にとっては大きな負担と言えるでしょう。そこで国や自治体は、物流施設のDX推進や省力化を目指す企業に向けて、補助金などの導入支援策を実施しています。

本記事では、そのような補助金制度の最新の内容やメリットから注意点まで詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 物流における補助金の概要
  • 利用時の注意点について

1. 物流業界向け補助金の概要

まず、物流業界向けの補助金制度4つについて詳しく解説します。

1. 中小企業省力化投資補助事業

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営し、人手不足解消を目的にIoTやロボット導入を支援する補助金制度です。

目的

中小企業等の生産性向上、効率化、省力化を実現し、付加価値向上と賃上げを促進すること。

補助対象者

 人手不足に直面している中小企業等。

補助対象品目

カタログに掲載された製品。

補助率と上限額

従業員数

補助上限額

補助率

5名以下

200万円(300万円)

1/2以下

6〜20名

500万円(750万円)

1/2以下

21名以上

1,000万円(1,500万円)

1/2以下

※賃上げ要件を達成した場合、()内の値に補助上限額を引き上げます。

導入例

AGV(無人搬送車)、検品システム、自動倉庫、配膳ロボットなど。

補助条件

事業終了後3年間の効果報告が必要です。

公募受付期間

2024年6月25日 〜随時受付中。詳細は公式ホームページで要確認。

※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構,中小企業省力化投資補助金

2. IT導入補助金2024

中小企業・小規模事業者が経営課題を解決するためのITツール導入を支援する補助金制度です。物流業界では、配車管理や運行管理システムの導入に活用される例が増えています。

目的

デジタル化を通じ、中小企業・小規模事業者の業務効率化と生産性向上を促進すること。

補助対象者

目的に応じた5つの類型から補助金を申請することが可能です。

一部、中小企業・小規模事業者と取引を行う大企業も含みます。

対象企業の定義は業種やITツールの種類、従業員数、資本金などにより異なります。

補助対象品目、対象経費

ソフトウェアやシステム購入費及び導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用(クラウド利用料(最大2年分)、導入コンサルティングなど)。

補助率と上限額

通常枠の場合、補助額は最大で450万円以下、補助率は1/2以内。ソフトウェアのプロセス数など、要件の詳細は公式ホームページを参照してください。

プロセス数

賃上げ目標

補助額

補助率

1以上

加点項目

5万円~150万円未満

1/2以内

4以上

必須要件

150万円~450万円以下

1/2以内


導入例

配車管理システム、運行管理システム、クラウド利用サービス。

公募受付期間

2024年2月16日〜10月15日17時。【2025未発表】

補助条件

交付決定後、6ヶ月間程度事業報告が必要です。


※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構, IT導入補助金2024 



3. 物流施設におけるDX推進実証事業

国土交通省が主導する事業で、物流施設の自動化・機械化及びシステム構築を同時に行う事業者を対象に補助金を支給する制度です。

目的

持続可能な物流実現を目指し、DX推進による省人化や荷待ち時間削減を支援すること。

補助対象者

倉庫事業者、貨物利用運送事業者、トラックターミナル事業者、物流不動産開発事業者など。

補助率と上限額

システム構築・連携とDX機器の導入を同時に行うことを条件とするため、合計補助上限額は1億4,000万円になります。

補助率

上限額

システム構築・連携

1/2

2,500万円

DX機器導入

1/2

1億1,500万円



導入例

倉庫管理システム(WMS)、無人フォークリフト、AGV・AMR、在庫管理システム、AIカメラなど。

公募受付期間

2024年11月12日〜11月22日17時。【2025未発表】


※参考:国土交通省,「物流施設におけるDX推進実証事業費補助金」の3次公募を開始!!


4.物流効率化に向けた先進的な実証事業(荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業)

経済産業省が推進する補助金制度で、「物流効率化に向けた先進的な実証事業」のうち「荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業」を指します。荷主企業を中心に物流施設への自動化設備や機器の導入費用を支援する内容となっています。

目的

2024年問題や需給ひっ迫による輸送力不足の物流危機に対応するため、荷主企業や物流事業者による自動化技術の実証を通じ、物流効率化の投資効果を明確にすること。

補助対象者

中堅・中小企業等の荷主事業者(農業、林業、漁業は除く)、製造業、卸売業、小売業など。

補助率と上限額

対象者

補助率

上限額

中小企業等

2/3以内

1億円

中堅企業等

1/2以内

5億円



導入例

自動倉庫、AIカメラ・システム、ピッキングロボット、バース予約システム、伝票電子化など。

公募受付期間

2024年3月7日〜4月3日17時。


※参考:経済産業省,令和5年度補正「物流効率化に向けた先進的な実証事業(荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業)」の公募について


すでに募集が終了している補助金もありますが、来年度、再度公募される可能性もありますので、最新のスケジュールは各公式ホームページをご確認ください。


関連記事▶物流DXとは?定義やDXの3段階のプロセス、メリット・効果などを解説

関連記事▶物流効率化に向けた政府の取り組みとは?荷主企業に求められることも解説




2. 補助金のメリットと申請までの方法

ここでは、補助金活用のメリットや申請までの流れを解説します。

補助金活用のメリット

以下に補助金活用の3つのメリットを紹介します。

導入コスト削減

補助金により、 ITツールや省力化機器の導入費用の負担を軽減し、初期投資のハードルを下げることが可能です。

業務効率化

システムや自動化技術の導入が進むことで、業務の効率化や業務負荷の軽減、人手不足の解消につながるでしょう。また、人的作業の削減と同時に業務の精度も向上します。

物流センターで検品・仕分けシステムを補助金で導入した結果、目視での検品や仕分け作業に比べて1個当たりの検品時間が約50%に短縮され、業務効率が大幅に向上した例がありました。


※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構,製品カタログ

競争力強化

最新技術や設備を導入することで他社との差別化が図れるため、企業の競争力強化につながる可能性があります。

補助金の申請までの流れ

以下に、補助金申請までの簡単な流れを紹介します。

補助金により申請に必要な書類や手続き方法は異なりますので、詳細は各補助金の公式ホームページをご確認ください。



1.自社課題の特定

業務フローを分析し、改善ポイントを明確にします。

2.適切な補助金の選定

対象となる補助金制度の条件を確認し、自社に合ったものを選定しましょう。

3.必要書類を確認、準備

事業計画書、見積書など申請に必要な書類を揃えます。

4. 申請書類の提出

公募期間内に、所定の形式で申請書類を提出します。


申請の際、中小企業省力化投資事業では販売事業者、IT導入補助金2024ではIT導入支援事業者のサポートを受けられます。スムーズな申請手続きのため、必要に応じて専門家に相談しましょう。


※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構,中小企業省力化投資補助金

※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構, IT導入補助金2024 




3. 補助金利用時の注意点

ここでは、補助金利用の際の注意点を紹介します。

公募期間が短い場合がある

公募期間は短い場合が多いため注意が必要です。申請には多くの書類が必要となるので、提出書類や申請の流れを把握し、計画的に準備を進めましょう。また、事前に導入設備やシステムの方向性を決めておくことも大切です。



併用できない補助金制度がある

複数の補助金を併用する場合は、内容の重複により審査対象外となることを避けるため、国や自治体補助金の併用可否を確認することが欠かせません。



効果報告が必要な補助金もある

一部の補助金では、導入後数年間にわたり効果報告が求められます。例えば、生産性向上や賃上げ状況などを毎年報告するケースがあり、これを怠ると補助金の返還を求められる場合もあります。


※参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構, IT導入補助金2024 




4. まとめ

物流業界における補助金制度は、企業の業務効率化や競争力強化のためのサポートとなります。この記事で紹介した補助金制度を活用することで導入コストを抑えて物流の自動化を実現するなど、自社課題の解決が期待できます。ぜひ、自社に最適な補助金制度を見つけ、効果的に活用して事業の成長につなげましょう。


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