2024年12月18日
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最適な3PL企業を選ぶための基準とは?主要企業と選定基準を徹底解説

最適な3PL企業を選ぶための基準とは?主要企業と選定基準を徹底解説

EC市場の拡大に伴い、多頻度小口輸送への対応が必要とされる中で、3PL(サードパーティロジスティクス)の利用が注目されています。3PL企業は数多くあり、サービス内容や得意分野も多岐にわたるため、自社のニーズに合った企業を選ぶことが重要です。

本記事では、代表的な3PL企業とその選定基準について詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 3PLを手掛ける代表的企業

1. 3PLを手がける代表的な企業の紹介

物流業界には多様な3PL企業が存在し、グローバル輸送や医療・化粧品特化など、それぞれ得意分野に強みを持っています。以下に代表的な企業や事例を紹介します。

日本通運株式会社

日本通運は日本最大の総合物流企業です。国内1位の倉庫保有面積を誇り、陸・海・空の輸送ネットワークを活用した柔軟な3PLサービスを提供しています。30業種に対応した専任スタッフと自社システムを活用し、リアルタイム在庫管理や医療・精密機器など特殊ニーズに応じた物流ソリューションを提案しています。

※参考:日本通運株式会社,日本通運における3PLの特徴

化粧品会社A社の物流改善事例

分散していた物流業務を日本通運へ一括アウトソーシングしたことで、情報と作業が一元化され、効率的な物流フローが実現しました。商品の特性上、地震リスク回避や温度管理に対応した施設を活用しています。また、独自の倉庫管理システム(WMS)によって進捗データを基にした継続的な業務改善を行い、コスト削減とサービス向上に成功しました。

※参考:日本通運株式会社,化粧品会社A社の事例

ロジスティード株式会社 (旧株式会社日立物流)

ロジスティードグループの3PLサービスは、1980年代からのノウハウと専門家によるきめ細かい対応が特徴です。業界実績を活かし、データ分析と改善提案で顧客ニーズに応じた柔軟なソリューションを提供しています。効率的な物流運営の支援には、IT技術を駆使したスマートロジスティクスコンフィギュレータによる物流シミュレーションや無人搬送車導入なども含まれます。また、760以上のグローバル拠点を活用し、世界各地で物流システムの構築と改善をサポートしています。

※参考:ロジスティード株式会社,3PL

チルド食品物流の合理化事例

ロジスティードは窓口の一本化と温度管理、リアルタイム在庫管理の強化により、在庫の見える化と余剰在庫削減、配送品質向上を実現しました。老朽化施設や非効率作業の課題を解決し、効率的な物流フローと収支改善を達成しています。

※参考:ロジスティード株式会社,チルド食品の配送体制改革

株式会社近鉄エクスプレス

近鉄エクスプレスは、国際貨物輸送の豊富な経験と専門知識を活かしてサプライチェーンの「見える化」を行い、物流全体の効率化をサポートしています。300以上の物流施設を活用し、保管・配送・輸送・通関などを組み合わせたオーダーメイドのサービスを提供してきました。半導体や医療機器、IT関連など業界特有のニーズにも対応し、柔軟で効率的な物流提案が可能です。

※参考:株式会社近鉄エクスプレス,ロジスティクス

自動車部品メーカーロジスティクスハブ構築事例

近鉄エクスプレスは、自動車部品メーカーからの依頼で、中国での部品調達から完成品発送までを行うロジスティクスハブを6ヶ月で構築しました。最適な倉庫レイアウトと効率的なオペレーションにより、34,000m²のハブが稼働し、生産性向上と1,400ユニットの生産を達成しています。

※参考:株式会社近鉄エクスプレス,ロジスティクスケーススタディ

鈴与株式会社

鈴与は、日用雑貨や食品、医療機器、自動車関連など多様な業種に対応したオーダーメイド型3PLサービスを提供しています。国内外の物流を網羅し、全国約140の拠点ネットワークを活用可能です。また、出荷精度99.999%を誇り、1,000社以上の取引実績を持ち、BtoBからEC物流まで対応してきました。顧客課題に応じた物流戦略を提案し、事業拡大を支援しています。

※参考:鈴与株式会社,3PLソリューション

輸入ワインの卸L社の事例

L社はワインの輸入から出荷までの一貫物流体制を鈴与に委託しました。鈴与は、14℃で管理する定温倉庫と160社以上のワインの受託実績を活かし、安定した輸送品質と物流業務の効率化を実現しています。さらに在庫管理システムを活用し、在庫情報の即時確認や共有により業務負荷の軽減も達成しました。

※参考:鈴与株式会社,輸入ワインの卸L社


2. 3PL企業の選定基準

3PL企業を選定する際には、以下のポイントを考慮する必要があります。自社に最適なパートナーを見つけるために重要な10の選定基準を詳しく解説します。

1. サービスの柔軟性

急な注文増加や新規市場への進出など、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できることが大切です。季節変動の大きい業界や成長期にある企業にとっては特に重要な基準と言えます。

<選定のポイント>

・繁忙期の対応力

・新規市場への展開サポート

・カスタマイズ可能なサービス内容

2. 対応エリア

3PL企業の配送網や倉庫が自社の配送範囲と適合しているか、また国内外での対応が可能かを確認することが必要です。グローバルに展開する場合は、特に海外対応力が不可欠です。

<選定のポイント>

・国内配送ネットワークの充実度

・海外拠点の有無と対応国

・地域特性に応じたサービス提供

3.対応品目

自社の取り扱う商品に特化した物流サービスを提供できるかも重要です。精密機器や医薬品など特別な取り扱いが必要な場合、3PL企業の専門知識や設備が対応可能かを確認しましょう。

<選定のポイント>

・取り扱い可能な商品の幅広さ

・特殊条件(温度・湿度管理など)への対応力

・業界特有の規制や基準への適合性 (医薬品のGDP(Good Distribution Practice)など)

・業界別の専門知識を持つスタッフの有無

4. コスト

単純な価格比較ではなく、長期的なコスト効果やサービスの品質とのバランスも重視すべきです。追加費用が発生しないか、スケールメリットを活用できるかを確認しましょう。

<選定のポイント>

・料金体系の透明性

・スケールメリットの有無

・コスト削減提案の実績

5. サービス品質

納期厳守、出荷ミスの少なさ、梱包の品質など、サービスの品質は顧客満足度に直結します。品質管理体制や過去の実績を詳しく確認しましょう。

<選定のポイント>

・納期遵守率

・商品破損率

・誤配送の発生頻度

・顧客からの評価

6. 導入システム

リアルタイムで在庫管理や配送の追跡が可能なITシステムを導入しているかどうかも、重要なポイントです。最新システムは業務効率化と戦略的な意思決定に不可欠なためです。

<選定のポイント>

・最新の倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)の有無

・リアルタイム在庫管理システムの有無

・配送状況のトラッキングシステムの有無

・データ分析・レポーティング機能

・自社システムとの連携可能性

※関連記事:物流システムの全体像|覚えておきたい6大機能と主要システム

7. リスク管理

災害やトラブルに対するリスク管理や対応策、法令遵守に関する取り組みは、安定した物流業務の継続に重要です。

<選定のポイント>

・BCP(事業継続計画)の策定状況

・セキュリティ対策

・コンプライアンス体制

・保険の適用範囲

・代替輸送ルートや複数の倉庫拠点があるか

8. カスタマーサポートの品質

問題が発生した際の対応力やサポート体制は、長期的なパートナーシップを築く上で大切です。

荷主と3PL企業とのコミュニケ―ションの重要性は、国土交通省の調査(※)でも言及されています。

<選定のポイント>

・サポート窓口の対応時間

・問題解決までのスピード

・担当者の専門知識

・コミュニケーションの質

※出典:国土交通省,3PL契約ガイドライン・3PL事業の成功要因・情報セキュリティガイドライン(平成19年3月),p13

9. 環境への取り組み

近年、企業の持続可能性や環境負荷削減への取り組みも重要視されています。グリーン物流やモーダルシフトなど、CO2削減への具体的な施策を実施しているかを確認しましょう。

<選定のポイント>

・環境に配慮した物流戦略を導入しているか

・モーダルシフトや燃料効率の高い車両の活用

・環境規制や持続可能な開発目標(SDGs)に基づく取り組みの有無

※関連記事:グリーン物流とは?グリーン物流の推進方法を具体的に解説

10. 実績と信頼性

過去の顧客事例や業界内での評判、納期遵守率、トラブル対応の実績なども信頼性の指標となります。特に同業界での経験や他の顧客からの評価は、実際の運用品質を判断する上で役立ちます。

<選定のポイント>

・同業界での実績

・他社からの推薦の有無や顧客評価が良好か

・トラブルや遅延の履歴と対応実績

※関連記事:3PLとは?3PLの意味や導入によるメリットから注意点まで詳しく解説


3. まとめ

本記事では、代表的な3PL企業とその選定基準について解説しました。3PL企業は数多くあり、サービス内容や得意分野も多岐にわたります。本記事の事例や選定基準を参考に自社に適した3PL企業を選ぶことが重要です。

適切なパートナーを選ぶことで、コスト削減や業務効率の向上、持続可能な物流体制の構築が期待できるでしょう。





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