配車管理システムとは?主な役割や導入するメリットを紹介

配車管理システムとは?主な役割や導入するメリットを紹介

物流業界が抱える人手不足や業務の属人化といった課題を解消するために、注目されているのが「配車管理システム」です。配車計画や運行ルートの最適化を通じて、業務効率の向上やコスト削減を実現するだけではなく、トラブルへの柔軟な対応も可能とします。


本記事では、配車管理システムの概要や具体的な機能、導入メリット・注意点、事例など、配車管理システムの導入検討に役立つ内容を紹介します。

この記事でわかること

  • 配車管理システムとは
  • 配車管理システムを導入するメリット

1. 配車管理システムとは

配車管理システムとは、企業が保有する複数の車両に対して、効率的な配車計画や運行ルートを最適化するためのツールです。GPSや地図ソフトを活用し、車両の走行ルートや配車スケジュールを一元管理することで、業務の効率化と属人化の解消が期待できます。また、AIを活用した自動計画作成機能を備えており、運行状況をリアルタイムで把握できる点も特徴です。

さらに、クラウド上でデータを共有することで、管理者やスタッフ全員が効率的な運行管理を行える環境を実現します。配車管理システムの導入は、業務効率を高めるだけではなく、労働環境の改善や運行の安全性向上にも貢献するため、今後さらに物流業界での普及が進むと予想されます。

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2. 配車管理システムの具体的な機能

配車管理システムには、物流における拠点間の輸送を効率化するための機能が多く備わっています。ここでは配車管理システムの主要な機能について解説します。

配車計画の作成支援

配車計画では「どの荷物を、どの車両が、どのルートで輸送するのか」を決める必要があります。つまり限られた車両・ドライバーに対して、効率を最大化するように荷物を搭載し、最適なルートで運行することが求められます。

配車管理システムの配車管理計画機能は、計画作成のために必要な情報をシステムにインプットした上で、ベテラン社員のノウハウに頼っていた配車計画の作成を支援する機能です。特に最新のシステムでは、AIによってこれまでの配車計画の履歴やノウハウを吸収し、経験の浅い若手でも最適な配車計画を作成できる優れた機能を搭載しているものがあります。

さらに、AIが天候や交通状況の変化も加味してルートの最適化を提案できるシステムまであり、渋滞による遅延リスクの軽減や燃費の良いルートの選定も可能です。これにより、計画通りの配車がより確実に実施できるようになり、業務の安定性が向上します。

配車依頼から請求・支払いまでの一元管理

配車管理システムでは、配車に関するデータをすべてデジタルで管理するため、いつ・だれに・どれだけの配車依頼をしたのかを自動で記録することができます。このデータを利用して、自動で請求・支払処理まで一元管理できるため、紙やExcelを使った手作業の煩わしさから解放されます。

また、ミスの発生しやすい請求額の計算もシステムが自動で行うことで、ヒューマンエラーの削減にもつながります。過去の取引データと連携し、取引先ごとの請求パターンを学習することで、迅速かつ正確な請求処理を実現します。これにより、請求漏れや二重請求のリスクを大幅に低減できます。

リアルタイムでの配車・運行情報把握

配車管理システムでは、GPSや地図データを利用して、車両の現在位置や運行状況をリアルタイムで把握できます。配送に関する最新情報を常に把握することで、無駄のない配車計画を作成したり、実績データからより正確な見積もり・中長期計画を策定したりすることも可能となります。

さらに、遅延が発生した際には、アラート通知によって顧客や関係部署へ迅速な連絡を行います。これにより納品遅れによるクレームを未然に防ぐことができ、顧客満足度の向上にもつながります。

ドライバー・車両の動態把握

配車管理システムでは、車両に取り付けたGPSやセンサーなどからドライバー・車両の動態を把握することもできます。燃費や運転挙動などの詳細データを活用することで、エコドライブの推進や運転指導などドライバーへの教育、ホワイト物流への対応に貢献できる機能も有しています。

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3. 配車管理システムを導入するメリット

ここでは、配車管理システムを導入するメリットを解説します。

配車業務の効率化

配車管理システムのAIやアルゴリズムを活用して、配車計画や最適な配送ルートを自動で作成可能です。この仕組みにより、従来の手動による計画立案やデータ管理にかかる手間を削減できます。結果、配車担当者が計画作成に費やしていた時間や労力を減らし、ほかの業務に集中できる環境への改善につながります。

配車の最適化

これまでの配車管理は、熟練した担当者の経験や判断に依存していました。しかし、配車管理システムに蓄積されたデータやノウハウを活用することで、安定した品質で実施できるようになりました。経験の浅いスタッフでも配車業務をスムーズに遂行でき、業務の属人化が解消されることが期待されています。

コスト削減

配車管理システムを導入すると、企業は効率的な配送ルートの設定や車両選定が可能となり、運用コストを削減できます。配車管理システムは、積載量や配送先に基づいて最適な車両を選択するため、過剰な人員配置や不必要な大型車両の使用を防ぎます。

また、最適化されたルートにより燃料消費を抑えられるため、運行コストの低減にもつながるでしょう。さらに、配車計画の自動化によって誤配送や再配送が減少し、人件費や燃料費の無駄を削減できます。

トラブルへの柔軟な対応

配車管理システムでは、リアルタイムで運行状況や車両の位置情報などを共有可能です。渋滞や配送遅延のリスクがある場合でも、即座に状況を把握し、適切な指示を送れます。

また、急ブレーキや急発進などの運転状況もモニタリングできるため、必要に応じて安全指導を実施し、事故のリスクを軽減します。結果、トラブル時の対応速度が向上し、配送の信頼性も高まるでしょう。

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4. 配車管理システムの選定ポイント・導入時の注意点

物流業務の効率化を図る上で、配車管理システムは大きな役割を果たします。しかし、多様な配車管理システムが多くの会社から提供される中で、自社に最適なものを選ぶのは容易ではありません。

単に高機能なシステムを導入すれば良いわけではなく、自社の課題に合った機能が備わっているか、運用しやすいか、コストに見合う価値があるかなど、慎重なシステム選定が必要となります。ここでは、配車管理システムを選ぶ際のポイントと導入時の注意点について解説します。

自社の課題を解決できるシステム・機能

まず最も重要なのは、自社の課題や問題点を把握し、それを解決してくれる機能を持つ配車管理システムを選ぶことです。

たとえば配送のリードタイムを短縮したい場合、荷待ち時間が長いのか、拠点内での車両待ち時間が長いのか、最適な配送ルートが選定できていないのかによって解決方法は異なります。現場の声を聞いたりデータ分析をしたりすることで課題を抽出しつつ、他社の事例を参考にして課題を明確にしてから、システムを選定することが望ましいです。

システムの使いやすさ、運用のしやすさ

配車管理システムでは「機能そのもの」はもちろん大事ですが、システムの使い勝手も非常に重要です。物流に関わる人員は、IT技術の活用に不慣れなケースが多く、複雑な操作が求められるシステムではかえって利便性が低下しかねません。

単純で分かりやすいインタフェースや直感的な操作ができるシステムかどうか、実際の操作画面を確認し、テスト導入で利用者に使ってもらうなどの工夫が必要でしょう。

コスト(初期費用・月額費用)

システム導入にあたって、コストはきわめて大切な要素です。効果があってもそれ以上にコストがかかってしまっては本末転倒です。特に初期投資が大きくなる場合には、投資対効果や回収計画の綿密な策定が求められます。

クラウドベースの配車管理システムなどでは初期費用は無料で、月額費用のみで気軽に利用できるものも多くあります。自社の環境や現場状況に合わせて段階的にシステムの導入効果を評価し、導入を拡大するのであれば、こういったクラウドベースの配車管理システムの活用も検討しましょう。

サポート体制

配車管理システム導入時には、サポート体制も重視したいポイントです。特に導入初期は運用ルールの策定やマニュアルの制定など、分からない部分を都度解消しながら現場に浸透させる必要があります。サービスの取扱説明書が丁寧で分かりやすいか、問い合わせ窓口・導入時サポートがどれだけ手厚いかもシステム導入の成否に大きく影響するため、システム選定時には注意して確認すべきです。


5. 配車管理システムの導入事例

NTTグループの物流を担う株式会社NTTロジスコは、全国24拠点でハコベルの配車管理システムを導入しています。「ハコベル 配車管理」によって、属人化されていた配車業務のノウハウを標準化し、1日平均3時間の稼働削減を達成しました。

さらに、リアルタイムでの状況把握によるタイムリーな計画策定やデータの一元管理による可視化、請求作業の効率化など多くの改善を実現しており、今後はさらに導入拠点を拡大する見込みとなっています。

※参考:ハコベル株式会社,「ハコベル配車管理で属人化していた“輸配送ノウハウの標準化”を実現 データの可視化でホワイト物流の取り組みも加速」NTTロジスコ様



6. 配車管理システムは「ハコベル配車管理」をご利用ください

「ハコベル配車管理」は、荷主や3PL(サードパーティー・ロジスティクス)向けのクラウド型配車管理システムです。複数の委託先にまたがる配車業務を一元管理し、配車依頼から車両番号設定、運行管理や請求・支払いまでのプロセスを完全にデジタル化します。

また、法改正に対応した協力会社の管理や待機時間の可視化、多重下請けの把握にも対応可能です。ハコベル配車管理を導入して、配車業務の効率化や配車の最適化にお役立てください。

~ハコベル配車管理の機能詳細~

ハコベル配車管理は、荷主企業や運送会社の配車業務をデジタル化し、業務効率を飛躍的に向上させるクラウド型システムです。具体的には、以下のような機能を備えています。

配車依頼(WEB発注)

直感的なインターフェースでWEBから発注が可能。案件のコピーや拠点のマスタ設定により同じ情報の再入力が不要で、迅速な発注が実現します。

配車依頼(CSV発注)

大量オーダー発注時にはCSVフォーマットでの一括取り込みが可能。複数運送会社への並列依頼により、配車生産性が向上します。

車番設定

運送会社はプルダウン選択で車番を設定でき、手間を軽減します。外出先での配車も配車担当向けアプリで対応可能です。

車番情報確認

運送会社が設定した車番や乗務員情報をリアルタイムで確認可能。外出先からも配車担当向けアプリで確認できます。

配車に関する変更履歴

配車依頼内容の変更履歴を追跡可能。変更があった際はメール通知されるため、関係者間での情報共有もスムーズです。

帳簿出力

紙や帳票形式での運行依頼が必要な場合にシステムから出力が可能で、内容編集や送付先発行元も個別に選択できます。

ドライバーアプリからの確認

ドライバーは自分に配車された案件内容やステータスを確認・更新できます。運行完了後に高速料金や駐車料金の明細・受領書のアップロードも可能です。

請求/支払確認

運送会社からの請求をシステム上で確認可能。案件ごとの金額差分を確認できるため、突合せ時間が6~8割削減され、請求業務の効率を大幅に改善します。

データレポートの構築支援(オプショナル)

顧客要件に合わせて蓄積データを可視化し、レポート作成時間を短縮します。

~ハコベル配車管理を導入するメリット~

ハコベル配車管理を導入することで、物流業務全般の効率化とコスト削減を実現できます。具体的なメリットは以下のとおりです。

配車業務の効率化

電話・FAX・エクセルで行われていた業務を完全デジタル化。業務時間を最大8割短縮し、運送会社からの請求承認もシステム上で完結可能です。

配車の可視化による属人化解消

社内および荷主‐協力会社間で配車情報をリアルタイム共有し、属人化を防止。スムーズな情報伝達が可能となり、業務全体の透明性が向上します。

法改正に伴う協力会社の管理強化

待機時間の管理・可視化や多重下請けの把握が可能で、法改正に対応した運行体制を構築できます。

データ活用による物流コスト削減

物流コストに関するデータを蓄積し、Scope3対応のCO2計測も可能。環境負荷を軽減しつつ、コスト削減を実現します。

ハコベルに貸切トラックの依頼が可能

既存協力会社に加えてハコベルへの配車依頼も可能。軽貨物から大型トラックまで全国対応し、配車力を強化します。

※参考:ハコベル株式会社,ハコベル配車管理


7. まとめ

配車管理システムは、物流業界における業務効率の向上やコスト削減を実現し、属人化や人手不足といった課題の解決が期待されるツールです。システムを導入することで、配車計画の自動化や配送ルートの最適化が可能となり、手作業によるミスや無駄を削減できます。さらに、配車に関するデータのデジタル一元管理・リアルタイム把握など、現場での課題を解決できる有用な機能も多く含まれており、業務の属人化を解消し、経験の浅いスタッフでも高品質な配車計画を実現できる点も魅力です。

「ハコベル配車管理」は、荷主企業や運送会社の多様なニーズに対応した機能を備えています。配車管理システムの導入をお考えの方は、ぜひハコベル配車管理をご利用ください。



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