物流管理とは?主要な業務やその課題・対策などを解説!

物流管理とは?主要な業務やその課題・対策などを解説!

ECや物販の伸長に伴い、物流の効率的な運営に関心が高まっています。そのために欠かせないのは「物流管理」です。

物流管理に含まれる様々な業務を適切に管理することで、業務効率化やコスト削減を図ることができます。ただし、各業務は固有の課題を抱えている場合があり、有効な対策は業務によって異なります。

本記事では物流管理の定義・目的を説明し、主要な業務の課題と対策について解説します。

この記事でわかること

  • 物流を効率的に運営するための「物流管理」とは
  • 物流管理における課題と対策について

1.物流管理の定義と目的

本章では物流管理の基本的な概念を説明します。

まず、物流とは「輸配送や保管をはじめとする諸機能が含まれた活動」を意味します。その物流に含まれる諸機能において発生する作業をスムーズに連携・調整させるためには、管理が必要です。この管理を行うことが物流管理となります。

具体的には、受注してから納品するまでに発生する物流作業全般をコントロールすることを物流管理と定義できます。

物流管理の目的には以下の3点があります。

ー業務の効率化ー

管理を徹底することで各物流作業の停滞を防ぎます。例えば、適正な数量の在庫が確保できていれば受注後に即座に引き当てることができ、出荷作業をスピーディーに行うことができます。

ー物流品質の向上ー

例えば商品の欠品や汚破損などを事前に把握できていれば、出荷対象から除外することができます。顧客の注文通りの納品を実現することでその企業の物流サービスは信頼され、顧客満足度の向上につながります。

ー物流コストの最適化ー

誤出荷や誤納品を抑制すると、商品の再発送やクレーム処理などの追加作業費用を減らすことができます。

※関連記事:ロジスティクスと物流の違いとは?荷主が理解すべき「物流統括管理者」と「CLO」の違いについても解説!


2.物流管理の主要な業務

物流管理には主要なものとして「受注管理」「在庫管理」「配送管理」があります。本章ではこの3つの主要な業務に焦点を当て、概要を説明します。


ー受注管理ー

受注管理とは、顧客からの受注情報に基づいて在庫の確保や物流センターへの作業指示を行うことを指します。

状況に応じて変化する受注情報を制御し、適切なタイミングで物流センターの作業者に伝えることで、正確で効率的な出荷作業を実施できるようになります。

ー在庫管理ー

在庫管理とは、物流センターに保管している商品の管理を行うことです。商品の状態を維持する「現品管理」と需要に対して適正な在庫水準を維持する「資産管理」の2つの意味があります。

「現品管理」では常に出荷ができるように適切な保管状態を保つことが求められます。一方「資産管理」では、需要に応じて商品を必要な時に必要な数量を供給できるようにコントロールすることで欠品や過剰在庫の回避を狙います。

ー配送管理ー

配送管理とは、物流センターから顧客への納品に関わる配送プロセスを管理することです。

商品の価値は顧客の元に納品されて初めて確かなものとなります。そのため、遅延や事故が発生しないように適宜状況を把握し、配送ルートの変更指示を行う場合があります。また、トラブルの発生が予期される場合は納品先に事前に連絡し、物流品質に対する信頼性の低下を防ぐ必要があります。

これら個別の業務における管理レベルをいずれも向上させ、物流作業全体を問題なく連携・調整することが物流管理であると言えます。

※関連記事:物流業とは?基本知識から最新トレンドまでを解説!



3.物流管理の主要業務に見られる課題

物流管理における課題とはどのようなものでしょうか?前章で説明した3つの主要業務ごとに課題を確認します。


ー受注管理における課題ー

「急激な受注変動」への対応が必要になる場合があります。

例えばSNSの口コミや自然災害により短期間で急激に注文が増加した際に、受注の制御ができないと物流現場の作業が増大し、出荷作業の遅延や物流品質の低下を招くことがあります。

ー在庫管理における課題ー

「在庫管理精度の低下」が発生すると在庫データと現物の不一致が起こり、受注後の在庫の引き当てが混乱してしまいます。その結果、誤配送や納期遅延の原因となります。

また「過剰在庫や欠品」も挙げられます。過剰在庫は保管コストやキャッシュの固定化に伴う金利負担の増加につながります。欠品は販売機会の逸失や顧客満足度低下の原因になりかねません。

ー配送管理における課題ー

まず「配送遅延」が指摘できます。悪天候や交通状況の影響で、通常想定されるスケジュールで納品できない可能性があります。

配送商品が工場で使用される原材料であれば、最悪の場合、ライン停止などで納品先に多大な迷惑をかけることになります。遅延情報を事前に伝えることができないと物流サービスへの信頼度を低下させることにもなりかねません。

また、直近では「物流コスト増加」も顕著な課題だと言えます。物流2024年問題に関連したドライバー不足などの影響で運賃値上げが続いており、荷主をはじめとする物流関係者はコストアップに悩まされています。

関連記事:物流業界の課題は山積み?効果的な解決策も解説!


4. 各課題への対応策

前章の通り各主要業務には固有の課題が見られますが、昨今ではシステム的な解決策が広く提案されています。本章では各課題への対応策について、「システムの導入」を基本に説明します。


「急激な受注変動」への対策

「受注管理システム」の導入が挙げられます。

受注内容に優先順位を付けることにより、物流作業の負荷が少ない状態で出荷作業指示を行うことが容易になります。

「在庫管理精度の低下」への対策

「WMS(倉庫管理システム)」の導入が考えられます。

WMSは日常的な入出庫情報を記録し、正確な保管場所の把握が可能という特徴があり、WMSデータと実在庫を定期的に照合することで高い在庫管理精度が維持されます。

「過剰在庫や欠品」への対策

「在庫管理システム」の導入で在庫水準の適正化を図ることができます。

「在庫管理システム」が販売計画や出荷実績などの情報と組み合わせて将来の在庫状況を予測し、その予測を元に早めに在庫処分や追加発注を行うことで過剰在庫や欠品を回避できます。

「配送遅延」への対策

「動態管理システム」の導入が有効です。

動態管理とは、GPS搭載の端末を使用して配送車両の稼働状況をリアルタイムに管理する仕組みです。この仕組みを活用することで渋滞や事故などの交通情報を反映し、配送ルートを最適化することができます。また、トラブルが発生しても事前に納品先に通知することが可能になります。

「物流コスト増加」への対策

AIを利用した「配車計画システム」の導入が提案できます。

これにより、物流コストを最小化する車両構成を提案することが可能となります。配車計画の標準化・高速化が達成されることで配車に必要な工数を削減でき、人件費の削減にもつながります。

加えて、各課題の総合的な解決に向けて、全社的な規模で物流改善を主導するポジションを設置することもこれからの重要なテーマの1つです。

直近の国の政策として特定荷主には「物流統括管理者」の選任が義務付けられました。このような役員クラスの物流管理の責任者が設置されることは物流管理の強化につながります。

物流政策の大きな潮流の中で、物流管理強化の意識が求められていると言えます。

関連記事:物流効率化に向けた政府の取り組みとは?荷主企業に求められることも解説

※参考:国土交通省,改正物流法


5.まとめ

本記事では物流管理の定義と3つの目的、そして物流管理に含まれる主要業務の説明を行いました。また、主要業務に見られるそれぞれの課題への対応策として、システムの導入や物流管理の責任者の設置を挙げました。

ますます複雑化する物流を効率的に運営するには、物流管理の理解が必須です。荷主は絶えず物流管理の強化を図り、自社の事業の発展に役立てていきましょう。


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