「物流2024年問題」を背景に、政府は「物資の流通の効率化に関する法律」(以下、新物効法)において、荷待ち・荷役時間の短縮を荷主の努力義務として定めています。
荷待ちの放置は、物流の持続性を損なう複数の課題の要因です。簡易的な対策では限界があり、抜本的解決を図るためにはトラック予約受付システムの導入が有効です。
本記事では、荷待ちに関する現状と課題を説明します。併せて、トラック予約受付システムの代表例であるハコベル「トラック簿」の概要と特長について解説します。
荷待ちは、一般的にトラックなどの運送車両が、荷物の積み込みや荷降ろしを待っている時間のことを指します。本章では、新物効法の重点テーマである荷待ちの位置づけと定義について説明します。
新物効法の3つの重要ポイント
現在、政府は、物流の停滞を回避するためにドライバーの長時間労働の抑制を模索しています。特に、荷待ち時間がドライバーの長い拘束時間の原因であるとみなしており、可能な限り短縮することを意図した政策を展開してきました。
2025年4月に施行された新物効法では「荷待ち時間の短縮」を重点テーマの1つとしており、新物効法第三十条第四項で荷待ち時間を細かく定義しています。
※参考:e-Gov法令検索,物資の流通の効率化に関する法律
この内容を簡単にまとめると、荷待ち時間とは、荷主側の都合によりドライバーが集配場所などで待機した時間を指します。
荷待ち時間の算定方法は、到着時刻の指定有無により異なります。また、到着時刻が指定されている場合には、実際に到着した時刻も考慮しなければなりません。
※出典:国土交通省他,「物流効率化法」理解促進ポータルサイト,「荷待ち時間」と「荷役等時間」の算定方法について
政府は、新物効法の取り組みとして、荷役時間も含めて「1運行の荷待ち時間・荷役等時間を2時間以内、1回の受渡しごとの荷待ち時間・荷役等時間を1時間以内にする」ことを目標に掲げています。
※関連記事▶荷待ち時間・荷役時間の算定と計測方法
この章では、荷待ちが発生する原因と、そこから生じる課題を整理します。
荷待ちの原因と課題
荷待ち時間が発生する主な原因として、以下の3つの理由が挙げられます。また、それぞれが複合的に重なり合って長時間の荷待ちを発生させている場合もあります。
①運用ルールの不備:早着順の受付、ドライバーの付帯作業、ドライバー到着後の出荷作業など。
➁物流施設のキャパシティ不足:入出荷能力の不足(作業員/バース)、非効率なバラ作業、狭小な待機場所など。
③アナログな管理方法:受付簿の手書き記入、紙の書類の受け渡しなど。
荷待ちの発生に伴う課題としては、主に下記の3つが挙げられます。
①業務の非効率化:入出荷作業の停滞に影響され、本来の物流センターの処理能力が発揮されません。それによりトラックの稼働率も下がり輸送効率も低下します。
②ドライバーの拘束時間:荷待ち時間が発生することによりドライバーの拘束時間が長くなり、時間外労働の可能性が高まります。
③コスト面での損失:長時間の拘束でドライバーの人件費、燃料費が増加し、トラックの稼働率低下による輸送コストの増加など、荷主の物流コストに影響がでます。
※出典:国土交通省,「トラック・物流Gメン」について
先述した荷待ちの原因を放置するとこれらの課題が生じ、最終的には荷主の物流体制の持続可能性が損なわれてしまうでしょう。そのため、荷主は真剣に荷待ち時間の短縮に努める必要があります。
※関連記事▶トラック・物流Gメンとは?改組の背景と荷主企業が知るべき対応策
※関連記事▶「物流2024年問題」とは?その要因・影響・対策をまとめて解説
この章では、荷待ち時間の短縮策を「簡易策」と「抜本策」に分けて整理します。
簡易的な解決策と抜本的な解決策の違い
手軽に実施でき即効性のある代表的な解決策としては、「受付時間の延長」が挙げられます。
例えば、受付時間を1時間前倒しすることにより、早朝の荷待ちの車列の解消スピードが早まり、荷待ちの緩和を図れます。この方法は、現場の運用の調整がつけば即座に実施できる点がメリットです。
ただし、多数のトラックが早朝に集中する状況は変わらないため、根本的には解消されないというデメリットがあります。
抜本的に荷待ちを解消するためには、仕組みの変更を図る必要があります。代表的なものとして、「トラック予約受付システムの導入」が挙げられます。
荷待ち時間の短縮を図るためには、まず現場の実態を把握することが必要です。しかし、入退場時間や荷役の開始/終了時間をアナログで把握しようとすると、大変な工数がかかるでしょう。
一方、トラック予約受付システムを導入すれば、これらの作業は効率的に実施できるようになります。そのうえ、入出荷現場への指示やドライバーの呼出しも効率的に行えるようになり、ドライバーの拘束時間の削減に直接的に貢献します。
加えて、バース予約もシステム化することで、トラックの入場時間の分散化を促進可能です。予約時の事前情報で作業計画を立案できるため、作業効率の向上も期待できます。
トラック簿は、デジタルで受付やバース割り当てができ、事前にバース予約をすることも可能です。バースの混雑が解消され円滑な倉庫運営が可能となります。
※参考:株式会社ハコベル,ハコベルトラック簿
受付、呼び出し、作業開始、作業完了、退場時刻を記録し、待機時間や作業時間などを自動でグラフ化してくれます。実績管理、データ分析機能が備わっていることで、現状と課題を可視化することができます。
ハコベル株式会社が展開する物流DXシステムである「配車計画」や、他社のTMS(輸配送管理システム)とのAPI連携が可能です。これにより、業務に必要なデータを、システム間でシームレスにやりとりできます。
※参考:株式会社ハコベル,システム連携(API)
トラック簿独自の仕様として、「複数箇所積み降ろし」作業に対応できることが挙げられます。大規模な施設内の複数箇所で作業を行う場合でも、ワンストップで受付を完了させられます。
※参考:株式会社ハコベル,複数箇所積み降ろし
他社のトラック予約受付システムは、一般的に1年単位の契約が前提です。一方、トラック簿は1か月から契約できます。また、プランやオプションの変更にも柔軟に対応し、必要に応じて機能を組み合わせられます。
荷待ち時間の短縮は重要な課題であり、荷主は社会的責任の遂行が問われています。荷待ち時間の課題を抜本的に解決するならば、トラック予約受付システムの導入を本格的に考える必要があるでしょう。
本記事で紹介した「トラック簿」は、トラックの予約受付に関わるさまざまな機能が備わっており、独自の優位性も確立しています。現在の運用課題を解決すべく、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか?