
トラック輸送では、荷物の準備や荷役作業の順番待ちなど、荷主側の都合によって荷待ちが発生することがあります。このような荷待ちに対して、運賃とは別に収受するのが「待機時間料」です。
待機時間料を適切に扱うには、料金の算出方法だけでなく、どの時点から待機時間として計測するのか、どのようなケースが対象になるのかを理解しておく必要があります。
本記事では、待機時間料の基本的な仕組みや計算方法、ケース別の起算点を解説します。運送事業者が請求する際のポイントや、荷主が請求された際の確認事項、待機時間料を削減する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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【特定荷主向け】物流効率化法の荷待ち・荷役対策
荷待ち・荷役対策の「必ずやるべきこと」と「必要に応じてやること」の境界線をお伝えします

待機時間料とは、荷主などの都合によってトラックに荷待ちが発生した場合に、運賃とは別に収受する料金です。
物流業界では、2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用され、輸送力の不足が懸念されています。こうした「2024年問題」への対応には、長時間の荷待ちを減らし、ドライバーの拘束時間を短縮することが重要です。
また、改正物流効率化法(物効法)では、荷主や物流事業者などに対して、荷待ち時間・荷役等時間の短縮に向けた取り組みが求められることになりました。荷待ち時間の削減に加え、待機時間料を適正に収受することは、運送事業者の収益確保やドライバーの待遇・労働環境の改善にもつながります。
ここでは、待機時間料の基本的な仕組みや運賃との違いについて解説します。

待機時間料とは、ドライバーが集貨先や配達先に到着したものの、荷主の都合によって荷待ちが発生した場合に、運賃とは別に収受する料金です。
国土交通省は、2017年の標準貨物自動車運送約款の改正で、運送の対価である「運賃」と運送以外の役務に対する「料金」を区分し、料金に区分されるなかでも荷待ちへの対価を「待機時間料」として明確化しました。

待機時間料と運賃は、対価が発生する対象が異なります。国土交通省では、運賃を「運送の対価」、待機時間料を「荷待ちに対する対価」として区分しています。
つまり、トラックで貨物を発地から着地まで運ぶことへの対価が運賃であり、発地・着地において荷主の都合で待機が発生した場合の対価が待機時間料です。
待機時間料は、待機した時間や車種などによって金額が異なります。また、待機時間の長さによって適用される料金も変わるため、算出方法を正しく理解しておくことが重要です。

ここでは、待機時間料の具体的な算出方法を解説します。
待機時間料は、荷主側の都合による待機時間が30分を超えた場合に発生します。標準的運賃の原価には、30分の待機時間が見込みとして含まれているためです。そのため、実際の待機時間から最初の30分を差し引いて料金を算出します。
なお、待機時間料は車種によって異なり、小型車(2トンクラス)の場合は30分ごとに1,680円と設定されています。たとえば、小型車が1時間待機した場合、料金の対象となるのは最初の30分を除いた残りの30分です。「1,680円×1回」で、待機時間料は1,680円となります。
待機時間料は、積込・取卸時間と合わせて2時間を超えると、2時間を超えた部分に別料金が適用されます。
たとえば、小型車(2トンクラス)で1時間待機し、その後1時間30分かけて手積みを行った場合、合計時間は2時間30分です。このうち2時間を超えた30分については、通常とは異なる料金が適用されます。
小型車の場合、2時間を超えた部分の待機時間料は30分ごとに2,010円、積込料・取卸料は30分ごとに2,400円です。どの作業が2時間を超えたかによって、適用される料金が異なります。
関連:標準的運賃とは?定義や改正のポイント、運賃の計算方法まで詳しく解説

待機時間料を算出するには、どの時点から荷待ち時間として計測するのかを把握しておく必要があります。
ここでは、ケース別に待機時間の起算点を解説します。
荷主から到着時刻や時間帯の指定がない場合、ドライバーが集貨場所に到着した時刻が荷待ち時間の起算点になります。到着後すぐに受付などを行った場合は、受付をした時刻から算定します。
そして、荷待ち時間として算定するのは、起算点から荷役などを開始するまでの時間です。
たとえば、13時に集貨場所へ到着してすぐに受付を済ませたものの、荷役が14時から始まった場合は、受付時刻から14時までの時間を荷待ち時間として算定します。
指定された到着時刻よりも早くトラックが到着した場合は、実際の到着時刻ではなく、指定された到着時刻から荷待ち時間を算定します。
たとえば、到着時刻が10時に指定されているにもかかわらず、トラックが9時30分に到着した場合、9時30分から10時までの30分間は荷待ち時間に含まれません。
10時になっても荷役が始まらず、10時30分に開始した場合は、10時から10時30分までの30分間を荷待ち時間として算定します。
指定された時間帯の範囲内にトラックが到着した場合は、実際の到着時刻から荷待ち時間を算定します。到着後すぐに受付を行った場合は、その受付時刻が起算点です。
たとえば、到着時間帯が10時〜11時で指定されており、トラックが10時30分に到着した場合は、10時30分から算定します。荷役が11時30分から始まった場合、10時30分から11時30分までの1時間が荷待ち時間となります。
指定された時刻や時間帯より遅れてトラックが到着した場合は、実際の到着時刻から荷待ち時間を算定します。到着後すぐに受付を行った場合は、受付時刻が起算点です。
たとえば、10時の指定に対して10時30分に到着し、11時に荷役が始まった場合は、10時30分から11時までを荷待ち時間として算定します。

待機時間料は、トラックに待ち時間が発生すれば必ず対象になるわけではありません。荷待ちが発生した原因や状況によって、待機時間として扱われるかどうかが異なります。
ここでは、待機時間料が発生するケースとしないケースについて解説します。
待機時間料の対象となるのは、荷主の都合によって発生した待機時間です。たとえば、納品先である着荷主の都合により、トラックが到着しても荷物をすぐに取り卸せず、待機が発生するケースが該当します。
待機時間料を算定する際は、待機が発生した場所だけで判断するのではなく、その原因が荷主側にあるかを確認することが重要です。
着荷主の都合で待機時間料が発生する場合は、発荷主と着荷主の間で費用負担の方法をあらかじめ明確にしておきましょう。
運送事業者と着荷主が直接契約していない場合、着荷主側で荷待ちが発生しても、運送契約を結んでいる発荷主が待機時間料を負担するケースが問題視されています。
国土交通省では、運送事業者と契約関係にない着荷主の責任で荷待ち時間などが発生した場合、その対価について運送契約や発荷主・着荷主間の契約で適切に整理することが求められています。(※)
費用負担を事前に取り決めておけば、待機時間料が発生した際のトラブル防止につながるでしょう。
(※)参照:国土交通省|2.政府の取組 ②取引条件改善に向けた取組
ドライバーの到着が遅れたことによって追加の荷待ちが発生した場合、その時間は荷待ち時間から除外されます。荷主などの都合によって発生した待機時間ではないためです。
たとえば、ドライバーの到着が指定時刻より遅れたことで荷役の順番が後ろ倒しになり、通常より長く待つことになった場合、その追加分は除外の対象です。
待機が発生した原因を確認し、荷主などの都合による時間と区別して算定する必要があります。
天候や交通事情など、荷主等の責任によらず発生した荷待ちは、原則として荷待ち時間から除外されます。
たとえば、悪天候や交通事情の影響でトラックの到着が遅れ、荷役の順番が後ろ倒しになったことで追加の待機が発生したケースです。このような待機は荷主等の都合によるものではないため、荷待ち時間から除外されます。

運送事業者が待機時間料を適切に請求するには、事前の取り決めや待機時間の記録などが重要です。請求時の認識のずれやトラブルを防ぐために、必要な対応をあらかじめ確認しておきましょう。
ここでは、待機時間料を請求するときのポイントを解説します。
待機時間料を請求する場合は、荷主との運送契約で料金や適用条件を事前に取り決めておくことが重要です。待機時間料は運賃とは別の料金として扱われるため、どのような場合に発生するのか、どのように算定するのかを明確にしておきましょう。
また、国土交通省の標準貨物自動車運送約款では、運賃・料金等について、運送申込書や運送引受書への記載が定められています。待機時間料についても事前に条件を共有しておくことで、実際に荷待ちが発生した際の認識のずれや請求トラブルを防ぎやすくなります。(※)
待機時間料を請求する際は、荷待ちがいつからいつまで発生したのかを正確に記録しておきましょう。集貨・配達地点への到着時刻や受付時刻、荷役の開始・終了時刻などを記録しておけば、待機時間料を算定する際の根拠として活用できます。
また、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックでは、荷主の都合で30分以上の荷待ちが発生した場合、乗務記録への記載が義務付けられています。日頃から正確な記録を残し、請求内容を説明できる状態にしておきましょう。
待機時間料は、貨物を運ぶ対価である「運賃」と分けて請求することが重要です。国土交通省では、運送の対価を「運賃」、荷待ちなど運送以外の役務等の対価を「料金」として区分しています。
待機時間料は、荷主都合による荷待ちに対して収受する「料金」に該当します。運賃と待機時間料を分けて示すことで、何に対する費用なのかが明確になり、荷主も待機によって発生したコストを把握しやすくなるでしょう。

荷主が待機時間料を請求された場合は、請求された金額だけでなく、待機時間・発生原因・契約内容などを確認することが重要です。請求内容が実際の状況や取り決めに沿っているかを確認したうえで、適切に対応しましょう。
ここでは、荷主が待機時間料を請求されたときの確認事項を解説します。
待機時間料を請求された場合は、まず待機時間と発生原因を確認しましょう。トラックの到着時刻や受付時刻、荷役の開始時刻などを照らし合わせ、待機時間が適切に算定されているかを確認します。
併せて、荷待ちが自社や着荷主などの都合で発生したものかを確認することも重要です。ドライバーの到着遅れによって追加で生じた待機や、天候・交通事情など荷主等の責任によらない待機は、荷待ち時間から除外できる場合があります。
時間と原因の両方を確認したうえで、請求内容を精査しましょう。
待機時間料を請求された場合は、金額が事前に取り決めた契約内容に沿っているかを確認しましょう。待機時間料の単価や算定方法、適用条件などを契約書と照らし合わせ、実際の待機時間に対して正しく計算されているかを確かめます。
国土交通省が示す標準的な運賃では、待機時間料について車種ごとの料金が設定されています。ただし、標準的な運賃はあくまで運賃交渉の参考となる指標であり、実際の契約金額を一律に定めるものではありません。
実際に適用する運賃・料金は、運送事業者と荷主との交渉によって決まるため、契約内容と請求の内訳を照合することが重要です。

待機時間料を削減するには、荷待ちが発生する原因を把握し、物流現場の業務を見直すことが重要です。
ここでは、待機時間料を削減する具体的な方法を紹介します。
待機時間料を削減する方法として、パレットを活用することで荷役時間を短縮し、バースの回転率を高めるのが有効です。
荷物をひとつずつ手作業で積み下ろすバラ積み・バラ卸しでは、荷役に時間がかかりやすくなります。荷物をパレットにまとめておけば、フォークリフトなどを使って一度に積み下ろしできるため、荷役作業の効率化が可能です。
1台あたりの荷役時間が短くなれば、バースを次のトラックへ早く空けられます。後続車両の荷待ち時間も短縮しやすくなり、待機時間料の削減につながるでしょう。
関連:荷役費とは?算出方法や適正か判断する方法、削減方法まで解説
待機時間料を削減するには、トラック予約システムを活用して、車両の到着時間を分散させる方法も有効です。あらかじめトラックの到着時間を予約・調整することで、特定の時間帯に車両が集中するのを抑えられます。
また、到着予定を事前に把握できるため、作業員の配置や荷物の準備もしやすくなります。荷役作業をスムーズに開始できる体制を整えることで、荷待ち時間の短縮や待機時間料の削減につながるでしょう。
関連:トラック予約システムとは|メリットや実際の導入事例を紹介
待機時間料を削減するには、トラック到着時の受付業務を効率化する方法もあります。
たとえば、紙の受付簿をタブレットやシステムによる受付に切り替える方法です。受付情報をデジタルで管理すれば、手続きから現場への連絡、バースへの案内までをスムーズに進めやすくなります。
受付や入場の順番待ちが減ることでトラックの滞在時間が短くなり、待機時間料の発生を抑えやすくなります。
待機時間を正確に把握し、削減につなげたい場合は「ハコベルトラック簿」の活用がおすすめです。
ハコベルトラック簿は、トラックの予約や受付、バース管理などを一元化できるシステムです。受付・呼び出し・作業開始・作業完了・退場の時刻を記録し、待機時間や作業時間を自動で集計・可視化できます。
蓄積したデータから待機が発生しやすい時間帯や拠点の状況を把握できるため、改善すべきポイントを見つけやすくなります。また、バース予約を活用してトラックの到着時間を調整することで、混雑の緩和や待機時間の削減にもつなげられるでしょう。
荷主として知っておきたい トラック・物流Gメンの活動内容と是正指導の基準
ハコベルトラック簿は、トラックの待機時間の把握・削減や受付業務の効率化を目的として、さまざまな物流現場で活用されています。
ここでは、実際にハコベルトラック簿を導入し、物流現場の改善に取り組んだ企業の事例を紹介します。
清和海運株式会社様では、納入トラックが集中し、物量が増えた際には3時間以上の待機が発生することが課題となっていました。
そこで「ハコベルトラック簿」を導入し、トラックの予約や受付、バース管理をデジタル化。ドライバーが予約時間に合わせて入場できるようになったことで、トラックの待機時間は平均30分まで短縮されています。
また、蓄積したデータを活用し、運送会社との打ち合わせや生産性の分析など、さらなる業務改善にも取り組んでいます。
関連:トラック簿の導入により3時間以上の長時間待機が平均30分以下に削減
凸版物流株式会社様では、トラックの入場が特定の時間帯に集中し、待機時間が発生することが課題となっていました。
そこで「ハコベルトラック簿」を導入し、トラックの事前予約や受付をデジタル化しました。入場時間を調整することで車両の集中を分散させ、待機時間の削減につなげています。
また、トラックの入退場や待機時間をデータとして把握できるようになり、現場の状況を可視化しながら業務改善に取り組める環境を整えています。
関連:「改善活動を前向きに」──明るく物流クライシスに立ち向かう、凸版物流 関宿事業所のトラック予約受付システム『トラック簿』導入事例
株式会社埼玉ロジテム様では、紙での受付や電話による呼び出しを行っており、受付業務の負担やトラックの待機時間が課題となっていました。
そこで「ハコベルトラック簿」を導入し、受付や呼び出しをデジタル化。トラックの受付状況や待機状況を把握しやすくなり、ドライバーへの案内もスムーズに行えるようになっています。

待機時間料は、荷主などの都合によって荷待ちが発生した場合に、運賃とは別に収受する料金です。適切に運用するには、待機時間の起算点や算出方法を理解し、発生した時間や原因を正確に把握することが重要です。
また、待機時間料そのものを減らすには、荷待ちが発生している原因を特定し、受付・荷役・バース運用などを見直す必要があります。
待機時間の可視化や削減に取り組みたい場合は、トラックの予約・受付やバース管理などを効率化できる「ハコベルトラック簿」の活用もご検討ください。