物流におけるバースの役割と効率化の方法を詳しく解説!待機時間とコスト削減を実現するポイント

物流におけるバースの役割と効率化の方法を詳しく解説!待機時間とコスト削減を実現するポイント

物流業界ではドライバー不足が深刻化しており、特にバースでの待機時間削減が重要な課題となっています。荷主企業や倉庫事業者にとって、バースの運用を最適化することは、待機時間の短縮や配送遅延の防止、コスト削減につながるでしょう。

本記事では、物流におけるバースの基本的な役割と効率化のための方法を詳しく解説します。

この記事でわかること

  • バースの基礎知識
  • バース管理の具体的事例

1. バースとは

本章では、バースの意味、ヤードとの違い、バースの種類について詳しく解説します。

バースの意味

バースとは、トラックが荷物の積卸しを行うためのスペースを指し、トラックバースとも呼ばれています。この言葉は、船舶が停泊し荷物を積卸しする場所「バース(Berth)」から来ています。バースは物流施設の効率的運用には欠かせない存在で、作業スピードの向上や待機時間削減の鍵と言えるでしょう。

物流センターや倉庫に設置されることが多く、効率的な作業のため入荷用と出荷用のバースを分けているところもあります。

バースとヤードの違い

バースと似た言葉でヤードという言葉がありますが、意味が異なります。

トラックヤードはトラックバースを含む敷地全体を指し、荷物の積み替えや保管を行うエリアを示します。ヤードは主に、商業施設や物流センターに設置されます。

一方、トラックバースはその中のトラック専用スペースを指し、トラックが荷物の積卸しのために接近できる場所のことです。

バースの種類

バースには、高床と低床の2つの形式があり、それぞれ異なる用途や特徴があります。

高床バース

高床バースは、トラックの荷台と同じ高さに倉庫の床を設計しているため、積卸し作業がスムーズに行える点が特徴です。床が地面から高いため、ほこりや湿気が入りにくく、食品や精密機器などデリケートな商品の保管に適しています。そのため主に食品、家具、家電などの配送センターに多く利用されています。ただし、トラックを倉庫内に駐車することはできません。

低床バース

低床バースは地面と同じ高さに倉庫の床があるため、トラックやフォークリフトの出入りがしやすく、車両の出入りが頻繁にある倉庫に適しています。主に運送業や配送業で利用され、特にEC物流センターでの採用が増加しています。トラックを倉庫内に停めたまま積卸しが可能なため、悪天候でも荷物が濡れにくい特徴があります。ただし大雨や洪水時に浸水リスクがあるため、特に低地では対策が必要です。


2. 物流におけるバースの役割

バースは、トラックが迅速かつ安全に積卸し作業を行える拠点であり、その役割は以下の通りです。

積込・荷卸し作業の拠点

トラックが指定の場所で荷物の積卸しを行うことで、効率的な配送が実現します。バースを活用すると物流のスピードが保たれ、後工程へのスムーズな流れが確保できます。

車両誘導による渋滞混雑の回避

バースの位置や誘導システムを適切に管理することで、施設内での渋滞や混雑を回避できます。特に、トラックの待機場所や順序を明確にすることにより物流施設内の交通をスムーズにし、効率的な作業環境を作り出します。

逆にバースを適切に管理できていないと、交通渋滞やトラック待機時間の発生につながってしまいます。国土交通省の調査(※)によると、1運行あたりの荷待ち時間は平均で1時間34分となっており、対策が必要な状況です。

※出典:国土交通省,トラック輸送状況の実態調査結果(概要版),p12

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安全な荷役作業の確保

バースでは、トラックと作業員の動線をしっかり分けることで事故を防止し、安全な作業環境を確保することができます。また、車両が適切に誘導されることで作業者の安全性が向上し、荷役作業の効率も高まります。

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3. 物流倉庫のバースを効率化する方法

荷待ち時間などが発生している場合、バース活用の効率化を検討する必要があります。

以下に、物流倉庫におけるバース効率化の方法を解説します。

トラック予約システムの導入

トラック予約システムを導入し、トラックの到着時間を事前に調整します。その結果、バースでの待機時間が短縮され、積卸し作業をスムーズに行えるようになります。このシステムを活用するとドライバーの待機時間削減にもつながり、配車効率が向上します。

自動化技術の導入

倉庫管理システム(WMS)などのシステムを導入することで、入出庫作業がスムーズとなり、バースでの作業効率向上が期待できます。

自動化技術の一例として、フォークリフトの自動化が挙げられます。トヨタL&Fが開発した「トラック荷役対応 自動運転フォークリフト」は、AIや3D-LiDAR技術を活用し、トラック位置や荷姿の自動認識が可能です。実証試験では、有人作業の約5倍かかっていた作業時間を約2倍まで短縮し、自動運転・荷役における要素技術の目途付けを完了しました。

※参考:株式会社豊田自動織機,トヨタL&F トラックへの荷役に対応した自動運転フォークリフトを開発

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作業フローの標準化

作業フローを標準化することにより、バースでの安全性や作業効率向上が期待できます。また、各プロセスでの動線を整えることで作業者間の混乱を防ぎ、ミスの発生率を低減できます。

入荷と出荷で使い分ける

入荷トラックと出荷トラックを明確に分けることで、混雑を避け、効率的に積卸しできるようになります。特に、入荷と出荷の時間帯を分散させることができれば、施設全体の稼働率が向上し、バース利用の回転率も改善が期待できます。

パレットの活用

荷物の積卸しにパレットを利用することで、効率的な作業が可能となります。フォークリフトによるパレット搬送は手作業による積卸しに比べて時間短縮でき、作業の負担も軽減されます。さらに、パレットを標準化できれば荷役作業の一貫性も保たれます。

帳簿の電子データー化

物流業務のペーパーレス化のため帳票類を電子データでやりとりすることになると、紙の帳票を管理する手間も省けるため、作業の効率化につながります。また、ドライバーや管理者との情報共有がリアルタイムで行えるようになり、業務の正確性やスピードが向上します。

トラックの誘導方式にSMSを用いる

トラックの誘導にSMS(ショートメール)を活用することで、トラックドライバーへの案内をスムーズに行えるようになります。到着予定のトラックに空いているバースや最適な誘導先をSMSでリアルタイムに伝達すれば、待機時間を減らし、施設内の交通を効率的にコントロール可能です。

ピッキングとバース作業の連携

ピッキング作業とバース作業を連携させることで、全体の作業効率が向上します。例えば、ピッキングが完了したタイミングでバースの準備が整っていると積込がスムーズに進み、トラックの待機時間が削減されます。さらに、ピッキングの進捗をリアルタイムで共有するシステムを導入すれば、バース作業員が次に必要な準備を事前に把握でき、無駄のない動きが可能となります。


4. バース効率化の事例紹介

ここでは、ハコベル社が提供するトラック予約受付システム『トラック簿』を活用して、バース効率化を実現した事例をご紹介します。


株式会社ワークマンでの導入事例

詳しい内容が読める事例記事はこちら

8年後の物量増加や労働力減少を見据え、今できる対策’として「トラック簿」を導入した。出荷量は以前よりも増えているが、構内の整理が行われ今まで午後まで待たせてしまっていた待機車両を午前中に処理しきれるようになった。また蓄積したデータにより待機原因の特定がしやすくなり、運送会社との適正な運賃維持にも寄与している。




ダイキン工業株式会社での導入事例

詳しい内容が読める事例記事はこちら

98%のドライバーの待機時間を30分以内に短縮成功。電話やFAXによる予約調整作業、呼出し作業が簡略化。紙の受付簿からの集計作業もなくなり業務工数削減も達成。




5. まとめ

バースの役割や効率化方法を見直すことにより、荷待ち時間の削減や配送の問題解決につながります。トラック予約システムや自動化技術の導入など、自社に合わせたバース効率化方法を取り入れることで、業務効率化が期待できるでしょう。


ハコベル社が提供するトラック予約受付システム『トラック簿』の詳しい内容はこちら

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