物流テックとは最新のテクノロジーやデジタルツールを活用して、効率化、コスト削減、サービス品質の向上を図る取り組みのことを指します。
物流業界は、慢性的な人手不足や2024年問題として知られる時間外労働時間の上限規制など、課題が多い現状にあります。これらを解決するためには、今まで以上に業務の効率化や省人化を進めなければなりません。物流テックを行えば、人手不足の解消やサービスの向上などが期待できます。
本記事では物流テックの概要や主要企業、技術、活用例を解説します。
物流テックとは、最新のテクノロジーやデジタルツールを活用して、効率化、コスト削減、サービス品質の向上を図る取り組みのことを指します。
物流テックが現代社会で注目されている理由は、物流業界の課題を解決するためにIT技術を用いた自動化や省人化が求められているからです。特に大きな2つの課題、EC市場の拡大と慢性的な人手不足を整理しましょう。
経済産業省の調査によると、2022年度(令和4年度)のBtoC-EC市場規模は22.7兆円であり、前年と比較すると9.91%増加しています。また、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は420.2兆円で、前年より12.8%増加していることがわかっています。(※)
※出典:経済産業省,電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
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物流業界が慢性的な人手不足となっている原因は以下の通りです。
※参考:経済産業省・国土交通省・農林水産省,我が国の物流を取り巻く現状と取組状況,p8
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ここでは物流テックで注目される主要企業を3つ紹介します。
下記の3社は物流業界の成長に大きく貢献したスタートアップ企業です。
物流テックを推進している企業を参考に、自社の改善に役立ててみてください。
2013年に設立されたスタートアップ企業で、物流業界のデジタル化と効率化を推進しています。
同社は荷主と配送パートナーを直接結ぶ配送マッチングプラットフォーム「PickGo(ピックゴー)」を提供しており、迅速かつ柔軟な配送手配を可能にしました。また、運送会社向けの業務支援システム「SmaRyuトラック」や、宅配事業者向けの「SmaRyu Post」など、物流業務全般をサポートする多様なサービスを展開しています。
ピックゴーは荷主と配送パートナーを直接マッチングする配送プラットフォームです。
荷主はWebやアプリを通じて配送依頼を行い、登録ドライバーが応募する仕組みで、迅速な配車が可能です。配送中はGPSでリアルタイムの位置情報を確認でき、軽貨物車両や一般貨物車両、二輪車など多様な車両に対応しているのが特徴です。
※参考:
CBcloud株式会社,ピックゴー
国土交通省,物流・配送会社のための物流DX導入事例集,p22
インド発のロボティクスおよび倉庫自動化技術を提供するスタートアップ企業です。物流業界を中心に自動化ソリューションを展開しています。
同社は、AIやロボティクス技術を活用して倉庫や物流センターの効率化を手掛けており、設立以来、グローバルに事業を拡大してきました。現在、北米、ヨーロッパ、アジアなど複数の地域で事業を展開しています。特に物流とeコマース分野での導入が進んでおり、柔軟性のある自動化システムが評価されています。GreyOrange社の自動搬送ロボット「Ranger GTP」は、日本国内の複数の企業で導入されているシステムです。
同社が開発したRanger GTPは、倉庫内のピッキングおよび棚入れ作業を自動化するGoods-to-Person(GTP)型ロボットソリューションです。ロボットが商品棚を持ち上げ、作業者の元まで運搬することで、作業者の移動を最小限に抑え、作業効率を大幅に向上させます。
※参考:Grey Orange,Goods to Person
Infinium Robotics社は、シンガポールに拠点を置くロボティクス企業で、主に倉庫や小売業向けに自律飛行ドローンを活用した在庫管理ソリューションを提供しています。設立当初はエンターテインメント分野や飲食店での配膳ドローンの開発を行っていましたが、現在では物流業界に特化したサービスを展開しています。
同社が開発した在庫管理と棚卸しのための完全自律型ドローンです。複数のカメラを搭載したドローンと自律走行可能な地上ロボットを組み合わせ、人工知能と機械学習アルゴリズムを活用して倉庫内の在庫情報を自動的に収集・管理します。これにより、従来の手作業による棚卸しと比較して、生産性を最大20倍向上させることが可能となりました。
※参考:Infinium Robotics,Infinium scan
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物流テックの主な技術は以下の通りです。
ここでは物流テックを実際に活用した事例を紹介します。
ダイキン工業株式会社では、倉庫内の入出庫作業における人手不足と作業効率の低下が課題となっていました。
これに対し、ハンドリフト牽引型のAGV(無人搬送車)を導入し、資材の運搬作業を自動化しました。その結果、作業効率が大幅に向上し、人手作業の削減にも成功しています。さらに、繁忙期でも安定した運用が可能となり、生産性の向上が実現しました。
※参考:国土交通省,物流・配送会社のための物流DX導入事例集,p9
トランコム株式会社では、保管スペースの不足とピッキング作業の効率化が大きな課題でした。
これを解決するために、自動倉庫システム(AS/RS)を導入しました。その結果、保管効率が向上し、ピッキング作業の自動化にも成功しています。省スペース化を実現するとともに、作業時間を大幅に短縮することができました。
※参考:国土交通省,物流・配送会社のための物流DX導入事例集,p12
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山九株式会社では、手書きの点検記録や作業日報などをデータ化する作業に多くの時間を要しており、月間約6,000枚もの手入力作業が担当者の大きな負担となっていました。
これを解消するためにAI-OCR「DX Suite」を導入した結果、手書き文字を高精度で読み取ることを実現しました。帳票データの自動化が進むことで、月間約400時間の業務時間を削減しています。業務効率が大幅に向上しただけでなく、データの蓄積により業務分析の精度も高まりました。
※参考:国土交通省,物流・配送会社のための物流DX導入事例集,p20
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物流業界には、慢性的な人手不足や時間外労働時間の上限規制による2024年問題など、さまざまな課題が山積しています。これらを解決するためには、今まで以上に業務の効率化や省人化が求められます。こうした中で注目されているのが「物流テック」です。
物流テックを活用することで、EC市場の拡大に対応しながら人手不足が解消でき、さらにサービスの向上も期待できるでしょう。物流テックを推進している企業を参考にして、業務の効率化や最適化に向けた取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。