2024年8月2日
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運送業界が直面している2024年問題とは?影響や課題をわかりやすく解説!

運送業界が直面している2024年問題とは?影響や課題をわかりやすく解説!

近年、ニュースなどで「2024年問題」が多く取り上げられています。2024年問題は、特に運送業界においてドライバーや運送会社、荷主企業に大きな影響が及ぶことが懸念されています。2024年問題に対応するためには、まずは具体的にどのような影響があるかを正確に理解することが重要です。

本記事では、運送業界が直面している2024年問題の影響や課題について詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 運送業界における2024年問題の影響や課題、戦略

1.運送業界が直面している2024年問題とは

2024年問題とは、働き方改革法案により、労働時間の上限が課されることで生じる運送業界の問題の総称です。

時間外労働の上限を設定する狙いは、労働者のワークライフバランス改善や長時間労働の削減などさまざまです。多くのメリットがある一方で、トラックドライバーなど一部の業種では時間外労働の上限が年間960時間に制限されることによるデメリットが懸念されています。

たとえば、トラックドライバーの時間外労働が制限されると、ドライバー1人あたりの走行距離が短くなります。1日に運べる荷物の量が減少することで、運送会社の売上・利益の減少やドライバーの収入減など多くの問題につながるのです。

2024年問題の詳細について下記の記事でわかりやすく解説しています。こちらも参考にしてください。

※参考:厚生労働省,トラック運転者の改善基準告示が改正されます!

関連記事▶ 物流業界の2024年問題をわかりやすく解説!解決策も紹介


2. 2024年問題が運送業へ与える影響

運送業で大きな影響を受けるのは、主にドライバーや運送会社、荷主企業です。この章では、2024年問題における運送業の影響をそれぞれ詳しく解説します。


ドライバーへの影響

ドライバーへの主な影響は収入の減少です。ドライバーの仕事は長時間労働になりやすく、特に繁忙期は時間外労働の増加に伴い収入が増加する傾向があります。しかし、時間外労働が制限されることにより、残業が多かったドライバーの収入は減少することになります。

また、事業者側としても時間外労働を削減するために、シフト制や勤務スケジュールを調整しなければなりません。そのため、ドライバーはこれまでとは違う働き方に対応する必要があるのです。

一方、法定休憩時間の確保が義務付けられることで、労働環境が改善される可能性もあります。事業者側では、所属しているドライバーの労働時間を適切に管理することが求められています。


運送会社への影響

続いて、運送会社への影響について解説します。労働時間の制限により、現行のドライバー数では必要な輸送量を維持できない可能性が出てきます。たとえば、2024年問題に対して何も対策を講じなかった場合、営業用トラックの輸送能力が2024年の段階で14.2%、2030年に34.1%不足するというデータが存在します(※)。

運送会社は、ドライバーの労働時間を正確に把握し適切に管理する必要があるため、その管理工数・管理コストが増加するでしょう。ドライバーの増加に伴い人件費や教育コスト、社会保険料なども増加し、経営が厳しくなる企業が増えることが懸念されています。そのため、業務の効率化や物流システムの見直しなどを検討する必要があるでしょう。

また、時間外労働の制限でドライバーの収入が減少すれば、所属しているドライバーが他の業界や業種へ転職する可能性が高くなります。新たなドライバーを雇用するためには、他企業よりも高い給与を提示する必要があるでしょう。ドライバー不足を解消するために、荷主企業と運送会社との間で運賃増額の交渉を進めることも重要です。

※出典:公益社団法人全日本トラック協会,知っていますか?物流の2024年問題


荷主企業への影響

2024年問題は、荷主企業にも影響が及びます。先述した運送会社における人件費や車両維持費などのコスト増加は、荷主企業に転嫁される可能性が高くなります。運送会社は増加したコストの一部を運送料金に上乗せすることになるため、荷主企業はこれまでより高い物流コストを負担することになるのです。

物流コストが増えることは、荷主企業の利益や売上の減少につながります。負担が大きくなると事業経営にも影響が及ぶでしょう。荷主等への適正な転嫁のために、国のガイドラインでは運賃水準の引上げ幅を提示しています。荷主企業としては適正に対応できるよう対策を検討しておく必要があります。ドライバーの労働時間(待機時間・拘束時間)を削減できるように、荷主側からも一緒にアイデアを出し、積極的に協力することが重要です。

また、ドライバーの労働時間の制限により、商品の配送時間が延びることも懸念されています。これにより即日配送や翌日配送が難しくなることが想定されます。荷主側では、配送頻度の調整や荷待ち時間の削減などを検討する必要があるでしょう。



3. 2024年問題が一般消費者へ与える影響

2024年問題は一般消費者にも影響が及ぶ可能性があります。この章では、一般消費者が受ける影響について詳しく解説します。


頼んだ商品が遅延する

たとえば大型セールなどで配送需要が急増した場合、ドライバーが不足している状態では決められた時間内に配達することが難しくなります。その結果、頼んだ商品が遅延する事態につながります。また、ドライバーの労働時間が制限されることで、再配達や時間指定といった柔軟な対応も難しくなるでしょう。


送料が高騰する

運送業界の人件費高騰に伴い、送料が高騰するケースも考えられます。特に遠距離の配達や再配達、時間指定などのサービスを依頼する際に追加料金が発生することが想定されます。


消費者側も意識改が必要

2024年問題に対応するには、ドライバーや運送会社だけでなく消費者側の意識を改めることも重要です。消費者も運送業への影響を理解したうえで、再配達の削減に取り組む必要があります。たとえば、荷物の到着日時を指定する、自宅・街中の宅配ボックスを利用するといった取り組みが挙げられます。配送料は無料・配送は即日で当たり前という認識を正すことも必要です。

※参考:内閣官房,2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント)

2024年問題の具体的な解決策については、下記の記事を参考にしてください。

関連記事▶ 2024年問題の解決策:物流業界が直面する課題と具体的対策3選



4.まとめ

今回は、運送業界が直面している2024年問題の影響や課題について解説しました。2024年4月からは、トラックドライバーの時間外労働の上限は960時間となります。これにより、ドライバーや運送会社、荷主企業など運送業界全体への影響があります。

また、2024年問題は一般消費者にも影響が及ぶ可能性があり、頼んだ商品が遅延したり、送料が高騰することなども懸念されます。まずはどのような影響が及ぶのかを正確に理解することが重要です。

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