バース予約システムとは?導入メリットや事例を詳しく解説

バース予約システムとは?導入メリットや事例を詳しく解説

物流業界におけるトラック待機時間の長さや混雑などの課題を解消し、業務効率を劇的に改善するのがバース予約システムです。このシステムを活用することで、ドライバーや運送会社がオンラインで予約を行い、物流施設の管理や調整をリアルタイムで行うことが可能になります。

また、国土交通省もバース予約システムの普及促進に取り組んでおり、使用率の向上を推進しています。

本記事では、バース予約システムの概要や機能、導入による具体的なメリット、導入時の注意点について詳しく解説します。さらにバース予約システムの一つである「ハコベル トラック簿」の機能や事例についても紹介します。

※参考:国土交通省近畿運輸局,トラック予約受付システムの使用率向上による長時間労働の改善に向けて,p2

この記事でわかること

  • バース予約システムの基礎知識
  • バース予約システムの活用方法

1. バース予約システムとは

バース予約システムとは、物流現場でのトラックバースの混雑を緩和し、効率的な利用を可能にするシステムです。

ここでは、システムの概要や物流業界の課題について解説します。

バース予約システムの概要

バース予約システムは、物流センターや倉庫におけるトラックの到着時間、バース利用などを効率的に管理するためのシステムです。

ドライバーや運送会社が事前にWebまたはアプリを通じて到着予定時刻を予約し、物流施設側がその情報をもとにバースを割り当てます。これにより、トラックの到着時間が集中することを防ぎ、待機時間や混雑を最小限に抑えることが可能です。例えばバース利用が午前中に集中している場合、午後に予約を振り分けることで、業務の均等化が実現します。

関連記事▶物流におけるバースの役割と効率化の方法を詳しく解説!待機時間とコスト削減を実現するポイント

物流業界における課題

物流業界には多くの課題が長年にわたり存在しており、特にドライバーの負担が大きく、労働環境の改善が求められています。

荷待ち時間

物流施設では、荷物の積卸しにかかる時間が長引く「荷待ち時間」が問題となっています。

国土交通省の調査によると、1運行当たりの平均荷待ち時間は「1時間34分」という結果でした。(※)このような長時間の待機は、トラックドライバーのスケジュールを圧迫し、効率的な輸送を妨げる原因となっています。

※出典:国土交通省,トラック輸送状況の実態調査結果(概要版),p15

関連記事▶荷待ち時間の削減で物流業界全体の改善へ!荷主企業が取り組める効率化対策

拘束時間

ドライバーの拘束時間も大きな課題です。拘束時間には、運転時間だけでなく、荷待ちや休憩時間も含まれます。
長時間の拘束はドライバーの健康に悪影響を及ぼすだけでなく、労働基準法の遵守にも影響を与えます。厚生労働省では、1日の拘束時間を原則13時間以内とする改善基準告示を公布しています。(※)

※出典:厚生労働省,自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト トラック運転者の改善基準告示

関連記事▶2024年問題と労働時間規制|荷主企業が今すぐ知るべき対策

長時間労働

運送業界では長時間労働が慢性化しており、ドライバーの健康や安全性に深刻な影響を及ぼしています。長時間労働は、過労死や交通事故のリスクを高めるだけでなく、労働者の離職率の上昇にもつながるため、業界全体での対策が急務となっています。

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2. バース予約システムの主な機能

バース予約システムには、物流業務を円滑に進めるための多彩な機能が搭載されています。

ここでは、主要な4つの機能について説明します。

予約受付と管理

予約受付と管理は、バース予約システムの中核となる機能です。オンラインでの予約受付から進捗状況の確認まで、効率的な管理を実現します。

項目

説明

オンライン予約の仕組み

運送会社やドライバーがスマートフォンやパソコンを使って簡単に予約が可能。

予約状況のリアルタイム確認

予約状況をリアルタイムで確認できる機能は、物流センター側と運送会社側双方に利便性がある。



バースの割り当てと調整

バースの割り当てと調整機能は、予約済みトラックをスムーズにバースに配置するための重要な役割を果たします。

項目

説明

自動割り当て機能

システムは予約情報をもとに空いているバースを自動で割り当てる。

作業スピードが向上し、人的ミスが減少する。

手動調整オプション

緊急時や特殊な状況に備え、管理者が手動で割り当てを調整できる。

突発的な遅延やトラブルにも柔軟に対応可能。



ドライバーとの連携

システムとドライバーの連携をスムーズにすることで、バース利用の効率を最大化します。通知機能や位置情報共有が業務全体の流れを最適化します。

項目

説明

呼び出し通知機能

ドライバーが順番待ちの際、システムからスマートフォンなどに呼び出し通知を送信する。

ドライバーは自分の番が来るまでリラックスして待機が可能。

位置情報の共有

トラックの現在地や到着予定時刻をリアルタイムで共有できる機能。

倉庫側はこの情報をもとに準備作業を効率化し、受け入れ体制を整えることができる。



データ分析とレポート作成

バース予約システムには、蓄積されたデータを分析し、業務の効率化や改善につなげる機能も含まれています。

項目

説明

作業実績の可視化

待機時間やバース利用率といった作業実績を自動で記録・集計し、視覚的に表示できる。

現場の問題点を直感的に把握することが可能となる。

業務改善のためデータ活用

蓄積されたデータは長期的な業務改善に活用可能。

例えば頻繁に発生する遅延の原因を特定し、具体的な対策を立てる指針とする。




3.バース予約システム「ハコベル トラック簿」の機能

「ハコベル トラック簿」は、3年連続成長率No.1のシステムで、ドライバーの3人に1人が利用しています。ここでは、多くの企業に導入されている「ハコベル トラック簿」の機能について紹介します。

受付・バース割当機能

トラック簿は、トラックの到着時間を分散させる予約・受付機能とバースの混雑を未然に防ぐ仕組みを備えています。バースの混雑は、倉庫内バースの割当業務をデジタル管理することによって解消します。ドライバーはタブレットやPCを用いて簡単に受付ができ、倉庫担当者は画面上で受付状況を確認しながら、スムーズにバースを割り当てることが可能です。複数端末を配置することで、事務所と現場での情報共有も効率的に行えます。

ドライバー呼出し機能

ドライバーの呼出しはワンタッチの操作で完結し、SMS・LINE・専用アプリなどに通知が自動配信されます。電話での個別連絡が不要となり、担当者の負担は大幅に軽減されます。この機能は、画面上のデジタルガイドにより初めて使用する方でもスムーズに操作できるのが特徴です。

実績管理・データ分析機能

受付、呼出し、作業開始、完了、退場までの全工程が自動記録され、待機時間や作業時間はグラフ形式で視覚化されます。CSVデータとして出力でき、KPI管理やレポート作成にも活用可能です。さらにWMSやTMSといったシステムとのAPI連携にも対応しています。

関連記事▶物流効率化のカギ!WMSとTMSを導入すべき理由と選定ポイントを解説

受付時刻制御機能

倉庫ごとに受付開始時間を細かく設定できるため、営業時間外の不要な来場や荷待ちを抑制することができます。これにより、ドライバーの拘束時間が短縮されるだけでなく、CO2排出削減といった環境面での効果も期待されます。

バース予約機能

バース予約機能は、倉庫側が時間を指定する予約、配車担当が行う予約、ドライバー自身がスマートフォンから直接行う予約という3つの方法に対応しており、柔軟な運用が可能です。事前予約によってトラックの集中来場を防ぐことができるため、バースの稼働効率が向上します。

カスタマイズ・通知機能

受付項目は拠点ごとに自由に設定可能で、構内ルールや緊急連絡も任意のタイミングで通知できます。デジタルガイドや通知機能により、対応ミスや問い合わせの削減も期待できるでしょう。

スマホ受付・システム連携機能

ドライバーはスマートフォンから遠隔で受付できるため、現場での負担を軽減できます。事務所と駐車場が離れている場合や満車時でも移動せずに対応できるため、迷惑駐車防止や周辺道路の混雑解消につながります。また、API連携により、WMSなどの既存システムとデータを統合でき、情報の一元管理が可能です。ドライバーはアプリ上で倉庫や荷物情報を事前入力できるため、受付がスムーズに進みます。

例えばインナーバースの場合、受付対応に屋外移動が必要になりますが、遠隔受付により移動がなくなったため、受付作業時間が30分以内に短縮された事例もあります。

※参考:ハコベル株式会社,受付業務の簡素化でドライバーからも好評。運送会社と共に創るセンター運営

複数箇所積み降ろし対応機能

※出典:ハコベル株式会社,ハコベル トラック簿

物流センターなどの大規模な施設では、敷地内に複数の作業拠点がある場合も少なくありません。その際、ドライバーは拠点ごとに個別で受付を行うため、順番が後回しになり待機時間が発生するという課題がありました。

こうした課題を解決するのが、トラック簿の「複数箇所積み降ろし」機能です。この機能を使えばドライバーは一度の受付で済み、管理者はシステム上で各拠点の混雑状況を確認しながら、最適な作業順を割り当てることができます。さらに、作業の進捗状況は色分けされたカードの一覧で管理されるため、タスクの把握や呼出しもスムーズに行えます。この機能は特許取得済みで、トラック簿の特徴的な機能です。

物流業界の課題解決に貢献

トラック簿は、ドライバーの拘束時間削減や待機ストレスの軽減、業務効率化を通じて、物流業界の課題である「2024年問題」への対応を支援します。また、ホワイト物流の自主行動宣言が掲げる「荷待ち削減」「バース予約」「労働環境改善」の3要素にも対応しており、持続可能な物流体制の構築に貢献するツールとなっています

※参考:ハコベル株式会社,ハコベル トラック簿

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4. バース予約システム導入によるメリットと事例

バース予約システムを導入することで、物流業務全体の効率化やコスト削減、働きやすい環境の整備を実現可能です。ここでは5つの主要なメリットを詳しく解説します。

ドライバーの待機時間を事前にコントロール

ドライバーの到着時間が事前に調整されるため、バースでの無駄な待機時間を大幅に短縮できます。これにより運行スケジュールがより正確になり、効率的な配送が可能です。

バース予約システムを導入することで、ドライバーが到着した時点でスムーズにバースへ誘導できるため、ドライバーの長時間労働の軽減や燃料費の削減も実現できます。

導入事例:ダイキン工業株式会社・清和海運株式会社で実際に待機時間が大幅改善

ダイキン工業株式会社では、トラック簿導入の結果、SMSによるスムーズな呼出しにより、ドライバーの98%が待機時間を30分以内に短縮することに成功しました。

また、清和海運株式会社では、トラック簿の導入により3時間以上の待機時間が平均30分以下に削減されました。

※参考:ハコベル株式会社,98%のドライバーの待機時間が30分以内に短縮。トラック簿を活用したダイキン工業の取り組みと今後のビジョン,トラック簿の導入により3時間以上の長時間待機が平均30分以下に削減

リアルタイムでの可視化でバース利用の効率化と施設稼働率の向上が向上

バース利用を効率化できれば物流施設全体の稼働率が向上します。バースの空き状況をリアルタイムで把握できるため、必要に応じて適切な割り当てが可能です。

例えばシステムが繁忙時間帯の混雑を事前に回避するスケジュールを自動生成することで、施設の効率的な運用が実現できるでしょう。

導入事例:クボタ外部倉庫で受付~呼出し業務が劇的改善

トナミ運輸株式会社が運営するクボタの外部倉庫では、トラック簿のスマホ受付機能を導入した結果、ドライバーが上層階まで移動せずに1階の駐車場で受付が可能となりました。その結果、受付作業を効率化でき、ドライバーの負担も軽減されています。さらに、呼出し通知が現場作業者の手元で完結できるようになったため、1日約150台分で2時間半の作業時間削減を実現しました。

※参考:ハコベル株式会社,クボタの物流を支える外部倉庫の存在とバース管理システムの有用性

導入事例:東陽倉庫株式会社ではアナログ管理を脱却し省力化

東陽倉庫株式会社では、アナログだった入退場管理をトラック簿により電子化しました。その結果、呼出しは電話からアプリやSMSに切り替わり、1日1時間かかっていた電話対応が20分に短縮されました。リアルタイムでバースや待機車両の状況が可視化され、作業漏れや伝達ミスも減少しています。高いコストパフォーマンスと手厚いサポート体制も導入の決め手となり、業務効率と対応精度の向上に大きく貢献しました。

※参考:ハコベル株式会社, 電話対応の時間が1/3に削減。決め手は「高いコストパフォーマンス」と「きめ細かいアフターフォロー」

待機場所や周辺道路の混雑緩和

トラックが集中して待機することによる混雑を防ぐことが可能です。周辺道路や待機エリアでの渋滞が減少すると、近隣住民や他の交通機関への影響も軽減されます。

順番待ちを管理することで、トラックの待機場所を効率的に運用し、物流施設周辺の環境改善を図れます。

導入事例:内外日東株式会社で深刻な渋滞を解消

内外日東株式会社・大黒物流センターでは、かつて構内に入りきれないトラックが県道まであふれ、警察からの指導を受けるほど深刻な渋滞が常態化していました。トラック簿導入の結果、予約制が定着し、搬入の時間帯が分散されたため、90%以上のトラックが30分以内に受付を完了できるようになりました。こうして周辺道路の渋滞は解消し、地域住民や交通への影響も軽減されています。

※参考:ハコベル株式会社,内外日東が300社以上の取引先にトラック簿を浸透させることに成功したわけ

データの可視化と改善への活用

システムにより収集されたデータを分析することで、物流業務の課題を明確にし、改善に役立てることができます。

例えば特定の時間帯における遅延や混雑の原因を把握し、次回以降の業務改善に活用可能です。データの可視化により、管理者は現場の状況を迅速かつ正確に把握できます。

導入事例:清和海運株式会社でのデータ活用

清和海運株式会社ではトラック簿導入後、WMSとのシステム連携により庫内業務の可視化を実現しました。モニターに入荷予定数や進捗状況、KPIに対する実績を表示し、現場作業員がリアルタイムに状況を把握できる環境を整備しています。これにより倉庫の残業時間が1時間削減され、ペーパーレス化と働き方改革にも貢献しました。

※参考:ハコベル株式会社,トラック簿の導入から約4年、清和海運の新たな取り組み ~システム連携:データを活用した庫内業務効率化~

物流センターの生産性向上

バース予約システムを導入することで、物流センター全体の生産性も向上します。

トラックの到着時間を調整し、作業員の準備時間を確保できれば、無駄な待機や混乱を防ぐことが可能です。その結果、入出荷作業がスムーズに進行し、物流業務全体の効率化を実現できるでしょう。

導入事例:凸版物流株式会社・大阪物流センターでの生産性向上

凸版物流株式会社株式会社・大阪物流センターでは、トラック簿の導入により、受付から荷卸しまでの時間が平均30分に短縮されました。バース状況の可視化や呼出業務の簡略化により、フォークリフト作業者の負担も軽減され、現場全体の業務効率が大きく向上しています。

※参考:ハコベル株式会社,「待機時間の削減ってどうすればいいの?」──凸版物流 大阪物流センターにおける「等身大の導入事例」から学ぶ、トラック予約受付システムを2週間で定着させる方法

関連記事▶物流の要「物流センター」効率化を図るための秘訣とは?


5. バース予約システム導入の注意点

バース予約システムの導入は多くのメリットをもたらします。しかしその一方で、いくつかの注意点もあるため、それらを事前に把握し対策を講じておく必要があります。

従業員やドライバーへの教育と周知

システム導入の効果を最大化するには、従業員やドライバーへの適切な教育と周知が欠かせません。新しいシステムに慣れるまでの間、現場で混乱が生じる可能性があるため、事前の準備が重要です。

例えばドライバーがスマートフォンやタブレットを使い慣れていない場合、簡潔な操作マニュアルやトレーニングセッションを提供することでスムーズな導入が可能となるでしょう。

コストの発生

システム導入の初期費用は高額になる場合があり、企業にとっては大きな投資となります。ハードウェアやソフトウェアの更新費用、運用維持コストも発生することがあります。

例えば小規模な倉庫でもシステムの設置や設定に費用がかかります。現場の運用に合わせたカスタマイズが必要になった場合は、追加で費用が発生することもあるでしょう。

また、従業員への教育費やシステムを運用するための管理リソースも必要です。

そのため、導入前にはコスト面だけでなく、長期的な業務効率の向上や待機時間の削減によって、どの程度のコスト削減を見込めるかといった投資対効果(ROI)を評価するべきです。

関連記事▶物流システムの全体像|覚えておきたい6大機能と主要システム

協力体制の構築

バース予約システムの導入には、事前に倉庫内だけでなく運送会社やドライバーなど協力会社とのシステム連携が求められます。システムの利便性を高めるには、予約ルールの共有や操作手順の理解など、関係者間での認識を統一する必要があるためです。

特に協力会社が複数存在する場合は、導入初期に説明会やガイドラインの提示を行うことが現場での混乱を防ぎ、スムーズな運用につながるでしょう。

ハコベルでは、経験豊富なカスタマーサクセスが現場担当者向けに操作説明会を実施し、システムの使い方だけでなく、運用時の注意点や協力会社への案内方法までサポートしています。このようにシステムが一方通行の運用にならないよう、外部との連携も含めた体制整備が求められます。

※参考:ハコベル株式会社,ハコベル トラック簿


6. まとめ

本記事では、バース予約システムの概要や機能、導入のメリットや事例、導入時の注意点について解説しました。

バース予約システムは、物流現場でのトラック待機時間や混雑を解消し、効率的なオペレーションを可能にするシステムです。待機時間の短縮、バース利用の効率化、混雑緩和、生産性向上が期待できます。

バース予約システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「ハコベル トラック簿」は、豊富な導入実績と使いやすい機能で、現場の効率化とドライバーの満足度向上をサポートします。バース管理に課題を感じている方、待機時間の削減にお困りの方は、お気軽にハコベルへご相談ください。






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